第3地獄を去ったコウユウは、さらに下の地獄に向かって降りていくと、通路はだんだん暗くなり、終いに一寸先も見えぬ真の闇となりました。「うわ~!」
突然、足下が急になり、コウユウは宇崎と共に落ちて行きました。
「おい!宇崎、怪我はしなかったか?」
すると宇崎はようやく目を覚まし、コウユウを見ると
「あいたたた!腰を打った、なんだーお前は?うぎゃ~!黒ざめだー!助けてくれ~!」と叫びだしました。
「なにを言ってるんだ?おまえは?」すると再び国王の声が聞こえてきました。
「ようこそ!幻魔の地獄へ!ここの闇はエンマ地獄の効果を増し、幻を見させるのだ!今までで一番怖い思いをした時のな。
そこの宇崎とやらには、今お前の顔が、一番怖い男に見えているんだろう!怯えて震え上がっておる!最早お前を襲うどころではないな!」
「おい!宇崎、しっかりしろ!」
しかしコウユウ自身も、頭が朦朧とし初め、幻覚が見えて来ました。
闇の中から真っ黒な腕が延びてきて、コウユウの首をしめてきます!
黒い手を振りほどこうと首をふり、手でつかんで力を入れますが、どうにもなりません!
「く・苦しい~!」コウユウは、黒い腕に首をしめられていると思っていましたが、実際は自分で自分の首をしめていました。
コウユウは薄れ行く意識の中で、魔よけの九字を唱えました。
「臨兵闘者・皆陣列在前!」唱えると黒い手は消え、意識は、はっきりしました。
近くに水の音が聞こえ、手を伸ばすと、水たまりがあり、水をすくって、まだ叫び続ける宇崎の顔にかけました。
「おや?光さん?俺は今までなにをしていたんだ?」
「やっと気がついたか?よかった!」
「くそ!2人共、正気に戻ってしまったか!まあい い、このワナらは、絶対に抜け出せんぞ!さらに下の地獄に落ちるがいい!」明かりが点り、2人のゆく先を照らし出しました。
「おい宇崎よ、さっきから地獄をいくつもまわっているが
どこにいっても国王の声は同じ距離からきこえてくる!王は俺達と一緒についてきているらしい。そして声が聞こえるという事はどこかに穴か割れ目があるということだ!
それを探せばどこかに脱出こうがあるかも知れない!」「なるほど!そのとおりだ!次の地獄で声のでどころをさぐろう!」