生命大躍進「そして目が生まれた」 要約 | kouseisogoのブログ

kouseisogoのブログ

ブログの説明を入力します。

*****

★今回の番組では我々の持つ目がどうしてできたのか, 高性能な「カメラ眼」に至った理由は何故かについて最先端の研究結果が語られています. 化石から採取された古代生物のDNA解読と 現在のヒトDNAとの比較などにより 進化がどんな過程を経たのか,その一端を知ることができます.

★再放送もされましたが,観ていない方は番組のあらすじだけでも知って欲しいと思い なるべく簡単にまとめたつもりです. (なおDNAと遺伝子は同義語ですが, その時々でバラバラな使い方をしています,ご了承ください

*****

*****

*****

*****

*****

*****

*****

★カナダ西部のロッキー山脈(標高3000mを超える)マーブル・キャニオン. 偶然の山火事があり地表が現れた地域がある. 年代を調べると5億年以上も前のものと判明した.(注1 そしてここで 目を持った古代生物の化石が見つかった.

5億年以上前のカンブリア紀に生息していたエビに似た奇妙な生物オパビニアや ネクトカリス, アノマロカリス(カンブリア紀最大の生物)などの化石である.その目は最初, 光の明暗を感じるだけの機能を持つ単眼だったが, その後しばらくすると その単眼を複数持つ複眼のものも出現した.(化石あり) 伊勢エビに似たアノマロカリスは成長すると体調約50cm, 肉食で足はなく無数のヒレがあり, 海中を泳いでいたと推定される. この時期以前の動物には目はなかったのである.

発見者はロイヤル・オンタリオ博物館 ジャン・ベルナール・キャロン博士

*****

(注1) 地層の年代を知るにはそこに含まれる微量放射性元素の半減期(放射能放出量が半分になる年月)が判明しているので, それを利用しておよその年代を知ることができる. ウラン23845億年, プルトニウム23924000年など.

化石に関しては主として「放射性炭素年代測定法」を用いる.骨に含まれるコラーゲンから年代を測定する.

(注2) *****

*****

*****

*****

★ウォルター・ゲーリングと五條堀孝(ごじょうぼり たかし アブドラ国王科学技術大学 教授)は クラゲの持つ目に注目した. 恐らく最初に目を持った動物は,現在のクラゲに似たものだったと推測されている.(この化石は発見されてはいない?) カサの部分にある光る複数の点, ここが明暗を感じる目に当たる. 拡大すると光る部分の端に黒い三日月状の部分がある.この目はどうして生まれたのか?

★五條堀は驚くべき発見をした.日本の海から採取したウズベンモウソウ(植物性プランクトン:体内に葉緑体を持ち, 光合成をして生きる植物の仲間)に クラゲ同様の黒い三日月形の目を持つことを発見したのだ.あのクラゲの目と似ている. これは同じ由来になるものなのか, 偶然の他人の空似としての進化の結果なのか ・・・・ 二人はその答えをDNAに求めた.

*****

*****

*****

*****

★彼らはウズベンモウソウの目の機能に当たるDNAを解析し, ヒトのそれと比較してみた. すると驚くことに それはヒトの目が持つロドプシン遺伝子と同じ構造であった. しかもそのタンパク質構造は7本のタンパク質柱があるそっくりな造りであった. 二人は考えた. 異なる種がここまで酷似した構造を 全く別の進化過程で偶然獲得することはまずあり得ない.種の壁を超越して, 植物から動物へ移行した結果ではないか. 植物から動物に取り込まれた DNAである可能性が強いと.

*****

*****

*****

*****

★この仮説を裏付ける発見があった.

2014年 米マサチューセッツ州に生息するウミウシの一種(エリシア・クロロティカ)はエサを食べなくても光だけで生きることができる. 動物なのに光合成を持っているのである.このDNAを調べた結果, 何と海草が持つDNAが組み込まれていたのである.

南フロリダ大学 シドニー・ピアース名誉教授

★つまりこのウミウシは海草の持つ光合成DNAを取り込み, 自ら光合成でも生きるよう進化していたのである.

★この事実に基づけば,我々の祖先が太古の昔 植物から目の遺伝子を譲り受けたとしても不思議ではない.

*****

*****

*****

*****

★まだ目を持たない我々の遠い祖先(恐らくクラゲのようなもの)が古代の海を泳ぎ回っていた頃,周囲には目を持ったプランクトンが無数にいた. それらを食物として絶えず取り込んでいると, ある時そのプランクトンDNAが偶然,祖先の生殖細胞内に入り込んだのだ. そして生殖細胞に 目となるロドプシン遺伝子が組み込まれた. 言葉では簡単だが, 実際の過程では 長大な時の経過と無数の失敗があったに違いない.通常ではまず起こり得ないことなのだから.

★しかし無限に繰り返される取り込みの中で,ついに動物は目の機能を獲得したのである. そう, 人間の感覚ではまず起こり得ない確率で ・・・・ .

*****

*****

*****

*****

★植物の光合成を効率的に行う為の「光センサー」たる目が植物プランクトンにもある(光合成を行うことで生命を維持している)ことは 同族として何の不思議も無い. しかしカンブリア代(約55000万年前)に そのプランクトンを食べたクラゲの体内で偶然, 目の遺伝子がクラゲの遺伝子に組み込まれたことは奇跡に近い.この種族間を超越したできごとが, 動物が目を持つ原因となったと考えられる. (この時の目は明暗を感じるだけの機能である)

*****

*****

*****

*****

★動物に最初の目ができた原因はこれで「当たり」がついた. ではその目は如何にして大きな進化をして今の「カメラ眼」となったのか? そこには更に驚くような事件が起こっていたのである.

★化石として知られるピカイアは体長3cm. 小さなミミズのようなヒルのような動物だが, 最初の目を持った脊柱動物, つまり我々と同じ脊椎動物の先祖とされている.その弱小なるが故に, 他の大型の節足動物アノマロカリスなどのエサにされていた. いささか情けない先祖の姿ではあるが, このピカイアの目やその姿が 後にどのような進化を遂げたのかを見てみよう.

*****

*****

*****

*****

★話は最初の目を持ったピカイアから約15000万年後(36000万年前)に飛ぶ. 我々の祖先は大きな進化を遂げていた. ダンクルオステウスというサメに似た巨大な魚に進化していたのだ.体長なんと10m. 重量4t. 海の中では無敵の存在にのし上がっていた.(顔も怖いけど)強靭な歯とアゴで それまで自分達を食っていた節足動物を圧倒的な強さで捕食できるようになったのである. その最大の原因は目の進化だった. 目はかつての敵が持つ複眼から進化を遂げ,敵やエサの姿を より明確に捉えることのできる直径10cmの「カメラ眼」を備えていたのだ. マーシーハースト大 スコット・マッケンジー准教授

*****

*****

*****

*****

3cmのピカイアから10mの魚に変身し, なお周囲をはっきりとらえる進化した目を持つ・・・・・ 何故このような大きな進化を遂げていたのだろうか?節足動物も大型化してはいた. 最大のものは巨大なハサミを持つウミサソリで体長2m. しかし複眼には変わりなかった.もっとも彼の複眼は生命史上最大のものだった.

★だがウミサソリはダンクルオステウスの敵ではなく,我々の祖先と出会えば一瞬のうちにその餌食になっていたであろう.

★節足動物の天下をひっくり返したダンクルオステウス.そこに至るまでには大きな「事件」があったのである.

*****

*****

*****

*****

★それは遺伝子の数がいきなり倍加した,言わば突然変異のおかげであった. 脊椎動物に, 突如として遺伝子の倍加現象が起こったのである. このおかげで体の機能を飛躍的に向上させることが可能になったのである. しかもこの突然変異は2回も ・・・・.

*****

*****

*****

*****

★それが分かったのは,ピカイアの直接の子孫とされる現存のナメクジウオのDNAが教えてくれる.

★米スクリップス海洋研究所リンダ・ホランド研究員は, 現在フロリダ海岸などで散見されるナメクジウオのDNAが, かつてのピカイアにそっくりなことに注目.つまりナメクジウオは我々の遠い祖先ピカイアに非常に近いものであると考えられる. そこからどのような進化を遂げたのか, ヒトのDNAと比較をしたのだ.するとナメ魚の持つ一つのDNAが ヒトでは4つあることが判明した.

★体の基本構造を作るHOX13遺伝子, 目を形作るEYA遺伝子 などが, ナメ魚1個に対しヒトでは4個 ・・・・ ピカイアから数億年を経る間にDNAが倍増する事件が二回も起こっていたことになるのだ.カメラ眼ができることに関与する遺伝子は1800以上にもなるが, 4倍の遺伝子数なら充分可能だと言う.

*****

*****

*****

*****

★子供は両親の遺伝子を半分づつ持って生まれて来る.従って遺伝子の総数は親と変わらない. しかしある時 遺伝子継承時の突然変異によって, 両親の遺伝子を1/2づつではなく,丸ごと持ち込んだ子供が生まれた. (親の二倍の遺伝子を持つ子供)

★通常,そのような変異が起きると その子供は 互いの遺伝子の働きが拮抗して生きられないか, 半数の遺伝子が自然消滅してしまう. しかしこの時は 様々な条件が重複した結果,そうならなかった例が発生したのである. 倍加した遺伝子を持つ子供は身体機能を飛躍的に充実させることができた.

*****

*****

*****

*****

★更にこの突然変異は長い生物史上,これまでに二回発生している. この奇跡的な偶然で 元の親の四倍の遺伝子を持つ子孫を発現させ, 機能的大躍進を遂げることができた. 体格も大きくなり, 目の機能もこれに比例して単なる光センサーから「複眼」を通り越し, やがては我々の持つ「カメラ眼」に進化することができたのである.

★これは脊椎動物のみで起こった事である.節足動物には無いから彼らはカメラ眼を持ち合わせてはいない. 複眼は広範囲を感知できるが 未だに物をはっきり見ることはできない. そして海での勢力を逆転された情勢のまま長く我々のエサになり続け,現在に至っているのだ.

*****

*****

*****

*****

*****

*****

*****

★進化の実態を見ると,我々のそれは突然変異的な「偶然」の重複だった と言えます. しかし生物学的には この偶然は非常に大きな結果をもたらした. 4倍のDNAになったことがどれほどすごい事なのか. 元の1倍の親とは雲泥の差になるそうです.それはあたかも私の小汚い部屋が ベルサイユ宮殿になるくらい, あるいはあの大阪南港の「天保山」(注2が エベレストに出世するくらいすごいことなのです.

★自然界では稀にDNA倍加現象の成功種がいます. アフリカ南部に生息するある種のカエルには 同種でありながら, 原種に比べ体は倍くらいで環境変化にも強く長生きするタフなヤツなんだそうです.

★我々はそれに加え脳の発達も,これまた大きな偶然によって異常に肥大化した結果, 高度な知性を得たものです.(これについては別の機会に) そのおかげで文明が発達し豊かな生活が可能になっています.(逆に要らぬ不幸を生じたかも知れませんがね)

*****

(注2)南港の天保山 標高4.53m. 1888年(明治21)構築. 大阪市の言い分では日本一低い山とのことであるが, 2014年国土地理院が仙台の「日和山」標高3.0mを認定した為 天保山は第二位に格下げ?となった. 同山に関しては有志の「天保山山岳会」が結成されており, その中に「山岳救助隊」もあるが,現在のところ一度も出動要請は来ていない, なお標高に変化を及ぼす影響がある為, 山頂での放尿及び脱糞は 厳禁とされている. イヌのウンチ等も同様の扱いを受ける.ちなみにエベレストは8844m.

*****

*****

*****

*****

*****

★偶然である以上は本人の手柄ではありませんよね.「地球上で最高の知性を持つ人間」を生物学上の事実として述べるならいいのですが, それを誇らしげに述べることは見当違いです.

★また自然を擬人化して「生命を育んだこの大自然・・・・」などの表現も誤解する元になります. 自然は生物の生息都合とは全く無関係に荒れ狂う場合が多くあります. 大勢の人や動物が犠牲になるではありませんか.

★「母なる大地」「無数の生命を育む海」 そう表現したい気持ちは分かりますがこれらは全て人間の身勝手な片思いや幻想が生み出した修辞上の表現であることを忘れてはなりません.日頃こんな表現に接していると つい「その気になってしまう」ものです. どうも我々は詩歌・文学と科学を無意識のうちに重ね合せているんじゃないかと. ここから生まれるイデオロギーがあったならば,少々まずいことですよね.

*****

*****

*****

*****

★進化の過程をたどれば,それは人間にとって実にすばらしい, 大いなる「奇跡」であったことに気付くのですが, しかしあくまで偶然の産物なのです. 非常な喜びや感謝の気持ちはあっても 何も自慢することではない.自然は人間の為にあるのでは無いのです.

★地球の歴史をみると,恐竜時代の到来前, 激しい地殻変動であらゆる火山が爆発し続け, マグマが2000mにまで吹き上げて 全天真っ暗になる時期が100万年も続いた時もあります. (ペルム紀 25000万年前

★この時,地球上の生物の96%が死滅しました. 我々の祖先である全長10mのダンクルオステウスなどはとっくに滅び,代わりにネズミのような動物になってかろうじて生き延びたようです. またしても天敵から逃げ回る生活を強いられた訳です.

★せっかく多くの生命が生まれているのに,灼熱地獄のような環境が100万年も. 1年続いてもウンザリ感があります,それが100万年 ・・・・・ . 一体何の為に? などとつい考えてしまうのが人間です. 無意識のうちに人間中心の自然を想定しているのです.天変地異に「目的」や「意図」はありません. 人間の都合とも全く無関係なのです.

★我々はこの事を覚醒した意識を以て しっかりと認識する必要がありそうですね.