学びの枠を越える「昌平・ボーダレス・プログラム」

6月9日に行われた昌平高校の塾対象説明会に参加してきました。今回の説明会で大きな注目を集めたのが、来年度からスタートする「昌平・ボーダレス・プログラム」です。このプログラムでは、正規授業を月曜から金曜に集約し、土曜日は探究活動や講座、補習などに充てるという柔軟な時間割を導入。さらに、2学期制を採用することで、授業時間数を維持しながらも、より自由度の高い学びを可能にしていきます。

大学入試が多様化し、推薦や総合型選抜、英検利用などが広がる中で、教科書でも学びをベースに置きながらも、それだけでは通用しなくなってきていることが背景にあるようです。

昌平高校では、国公立大学81名、早慶上理98名、GMARCH193名といった合格実績を出していますが、城川学園長先生からは「まだ道半ば」との言葉がありました。これからの時代に求められる“越境型の学び”を、本格的に動かしていこうという強い意志を感じました。

探究と推薦に強い昌平へ──IBの学びをベースに

説明会では、探究活動の取り組みについても詳しい説明がありました。これまで昌平高校のIB(国際バカロレア)コースで実施していた「正解のない問いに挑む学び」や「根拠をもって考える力」を、今後はコースを超えて全体へと展開していくそうです。

IBコースの生徒たちは、例えば「西パプアの独立運動と国際社会の関わり」といった大学レベルのテーマで論文をまとめた生徒さんもいるそうです。IBコースは、全員が推薦入試で合格を果たしているとのこと。こうした実績を生かしつつ、全学年で段階的に探究力を育てる仕組みも整っています。

高1で探究の基礎を学び、高2で「みらい甲子園」に挑戦、高3では個人研究に取り組む流れが確立され、地域連携による「地方創生探究プロジェクト」では、杉戸町との協働フィールドワークやファイナンス講座なども用意されています。

英語を使った発表やグループワークも行われ、進路に直結する実践的な力を養える環境が整いつつあるようです。

 

入試対策も万全に──英検・情報・記述対策の強化

もちろん、探究だけでなく受験に向けた具体的な対策も進んでいます。特に力を入れているのが英検取得支援で、立教大学をはじめとする私大の入試では英検が大きな武器になっているそうです。高校1・2年生のうちに英検を取得することで、一般選抜でも有利になるケースが増えてきており、今後はさらに取得支援を強化する方針とのこと。

また、共通テストで「情報」の配点比率が高まっていることから、情報科目にも早期から対応し、高1・2の授業に組み込む予定です。加えて、推薦・総合型選抜だけでなく、一般入試で求められる記述力を養うために、課題添削の仕組みも拡充中。「これだけやった」という達成感を持たせ、学びの自信につなげていくとのことでした。

入試の枠にとらわれず、どんな受験方式にも対応できる“進路の幅広さ”も昌平高校の強みと言えそうです。

まとめ

昌平高校が来年度から本格始動させる「ボーダレス・プログラム」は、探究と進学をしっかりとつなげた新しい学びのかたちです。曜日の枠、教科の枠、コースの枠を越えて、生徒一人ひとりが自分に合った学び方を選べる仕組みが整いつつあります。

IBコースで培った探究のノウハウを全体に広げ、推薦にも一般入試にも対応する進路支援も充実。これからの時代を見据えた「越境型の学び」に、昌平高校が本気で取り組んでいることを強く感じました。

進路の幅を広げたい人、ただの進学校では物足りない人にとって、これからますます注目の学校になっていくのではないでしょうか。

6月7日、不動岡高校で開催された教育関係者向け説明会に参加してきました。
この日は学習塾関係者だけでなく、中学校の先生方も参加されるなど、教育関係者が集まる中で、同校の教育の今と未来についての説明がされました。

「伝統」は守るものではなく、活かすもの

説明会の冒頭、関根校長先生からお話がありました。
130年以上の歴史を持つ不動岡高校ですが、「伝統があるだけでは生き残れない」と校長先生はお話をされていました。これからの時代、学校が選ばれる存在であり続けるには、実績と広報、そして進化が不可欠で、その一環として、同校では昨年度からSNS発信の強化や1・2年生年向け説明会の開催、スクールポリシーの明文化などに取り組んできたとのこと。

早くから「自分の進路」を考える中学生のニーズにも応える形で行った1・2年生向け説明会では、想定以上の参加があり、手ごたえを感じられていたようでした。

このような取り組みからは、伝統に甘んじることなく、未来を見据えて動き続ける姿勢を感じました。

 

学問の土台を育む「リベラルアーツ型教育」

不動岡高校の特徴の一つが、文理の枠を超えて学ぶ「リベラルアーツ型教育」です。
新学習指導要領の実施ともに普通科と外国語科が統合された同校ですが、それを機に、リベラルアーツを意識したカリキュラムを展開。1・2年次は広く共通の教養科目を学ぶことを意識したカリキュラムとなっています。

また授業の中で特に重視されているのが「探究活動」です。以下のように、年次ごとにステップを踏みながら、深い学びへと進んでいきます。

  • 1年次:探究の基礎とグループ研究
    SDGsの17目標からテーマを選び、グループで調査・研究を行います。たとえば、「麦わらを使ったストローの製作」といった実践的テーマに取り組み、2023年には「みらい甲子園埼玉大会」で武蔵コーポレーション賞を受賞しました。

  • 2年次:分野別の課題探究
    「地域課題研究」「異文化理解」「理数探究」の3つの課題からテーマを選択し、個人またはグループで探究を深めていきます。教科の枠を超えた視点や調査の方法を学び、発表まで行います。

  • 3年次:文理融合のリベラルアーツ探究
    「文学は飢えた子どもに役立つか」「グローバル人材は本当に必要か」といった、正解のない問いに取り組みます。ディスカッションや調べ学習を通して、最後は一人ひとりが小論文として表現します。

これらの取り組みは、三菱みらい育成財団・東日本グランプリの受賞にもつながっており、高く評価されているようです。

 

教室を越えた「学びのフィールド」

不動岡高校では、学びは教室の中だけにとどまりません。
海外では、フランス、ドイツ、オーストラリア、マレーシア・シンガポールといった多様な文化に触れる研修機会があり、語学だけでなく、異文化理解・主体性・柔軟な発想を育てる場になっています。

また、国内にも探究型のプログラムも多数あります。
「ふくしま合宿」では地域振興やエネルギー問題を考えるフィールドワークを、「グローバル・スタディーズ・プログラム」では、夏休み5日間を英語漬けで過ごす“国内留学”も体験可能。

こうした体験の積み重ねが、生徒の「自分の学び」に対する意識を変えていくのだと感じました。

地に足のついた進路指導と、真面目に向き合える仲間たち

進路指導も非常に手厚く、今年度は国公立大学108名(現役102名)合格、早慶上理74名、GMARCH291名と、埼玉県内でも高い実績を誇ります。
夏期講習は3年生向けに40講座以上、のべ2000人が受講。希望制ながらほとんどの生徒が参加し、共通テスト・私大・推薦など、それぞれの進路に合った講座を受講しています(全て無料)。

毎朝6時半から校舎は開き、あちこちで生徒が自習に励む姿が見られるとのこと。
一方で19:00完全下校を徹底し、学習と生活のバランスも重視。学校全体に「メリハリをつけて努力する」空気が流れています。

生徒の声として、「何事にも全力で挑戦できる」「先生が本気で向き合ってくれる」「行事も探究も、すべてが自分の成長につながる」といった前向きな感想が印象的でした。

最後に

不動岡高校は、「進学校」や「伝統校」という枠だけでは語れない、多面的な魅力を持つ学校です。
しっかりと学びたい、でもそれだけじゃなく、本質的に“考える力”を育てたい——そう思う生徒さんにとっては、まさに理想的な環境だと感じました。

説明会で見えたのは、「不動岡らしさ」を大切にしながら、未来に向けて歩みを止めない姿。
その姿勢が、生徒一人ひとりの力を伸ばす原動力になっているのだと、強く感じる1日となりました。

― 塾対象説明会にて見えた、新たな可能性 ―

6月4日、春日部市ふれあいキューブにて開催された「西武台千葉高校 塾対象学校説明会」に参加してきました。須田秀伸校長先生のご挨拶からはじまり、学校の進学実績や教育方針、そして多様なプロジェクト活動について詳しいご説明をいただきました。

部活・進路・教育の三本柱

西武台千葉高校は今年度277名が入学。部活動の充実も志望理由の一つになっており、バドミントン・陸上競技・ソフトテニス・ボクシングなどが関東・全国大会に出場する実績を誇ります。学習面でも特別選抜コースの併願先は東葛飾、小金、春日部、越谷北など、県内上位校との併願が増えているとのこと。東京科学大や東京理科大(薬学)など難関大学への合格実績もあります。

会のはじめにお話をされた校長先生の言葉が印象的でした。

「生徒も教員もあきらめなくなった。」

私立高校と公立高校の間にあった経済的な壁が小さくなりつつある今、西武台千葉高校では「選ばれる学校」になるべく、生徒・保護者の多様なニーズに応える教育が展開されているようです。

教育の核となる3つのプロジェクト

西武台千葉高校では、普段の学びのほかに、将来の自分の進路に合わせた3つのプロジェクトがあります。

教員養成プロジェクト

将来の教員志望者を対象にしたこのプロジェクトでは、野田市の小学校での学習支援や保育園での読み聞かせ実習など、実践的な体験を重視。日大・文教大の教授による講義や教員採用試験対策講座など、未来の先生を育てる手厚いサポートがあります。

メディカルプロジェクト

医療系を志望する生徒に向けた内容で、現在70名が参加。地元の病院や医師会との連携で、インターンや講演会を実施。看護系志望者には、大学の先生による講義や実技体験も充実しています。

ICT未来創造プロジェクト

高大連携や企業訪問などを通じて、Society 5.0を生きる子どもたちに必要な力を育成。6G時代を見据えたIT教育を行っており、日本科学未来館などへのツアーも行われています。

 

特進・進学の2コースと進路実績

西武台千葉高校には、【特別選抜コース】と【進学コース】の2つがあります。

  • 特別選抜コースは、一般入試対策に重きを置いた授業構成で、文系・理系それぞれに専門的な選択講座を設置。ICTを活用しながら思考力や総合力を育てる取り組みをしています。

  • 進学コースは、総合型・推薦型入試に対応した指導を行い、プレゼン力や表現力を伸ばす内容が特徴です。

どちらのコースも、校内予備校や語彙力強化を図る「ボキャブラ祭り」などのユニークな取り組みで、最後まで生徒の努力を支え続けています。

進路実績としては、4年制大学へは一般入試で233名、指定校推薦103名、総合型・公募推薦計100名超。国公立大学9名、早慶上理・GMARCH27名、日東駒専72名と幅広い進学先があるのも特長です。

 

 

「部活も勉強もあきらめない」そんな生徒の姿勢を、学校全体で後押ししているのが西武台千葉高校の大きな魅力。地域の高校として、そしてこれからの社会で活躍する人材を育てる教育機関として、ますます注目していきたい一校です。

ご興味のある方は、ぜひ説明会や学校見学にも足を運んでみてください。

先日読んだ本の中に、こんな一節がありました。

「好奇心とは、疑問を持ち、新たな可能性を探り、周りのものに心を開き、物事のしくみを尋ねることだ」

これを読んだとき、私は思いました。「これはまさに、学習で成果を出す生徒の姿そのものだ」と。そして同時に、「当塾が育てていきたい生徒像もまさにここにある」と強く感じました。

答えがあふれる時代に必要な“考える力”

今は、スマホを開けばすぐに答えが手に入る時代です。AIの発達によって、検索ひとつで情報にたどりつける便利な社会になりました。私自身、AIの使用に否定的ではありません。上手に活用すれば、可能性を広げる力にもなります。

ただその一方で、最初からAIに頼ってしまうことで、「考えなくても答えは得られる」という感覚が当たり前になってしまうのではないかと危惧しています。学習において大切なのは、答えそのものよりも「その答えに至るまでの思考のプロセス」だと思うからです。

「問いを持つ力」が人を育てる

当塾では、テスト後の授業や面談などで、生徒と一緒に学びをふり返る時間を設けています。その際、私が心がけているのは「答えを先に教えないこと」です。

もちろん、プロの指導者であれば、結果を見て「こうしたほうがいい」ということはすぐにわかります。しかし、それを一方的に伝えるのではなく、生徒が自分自身で考え、気づくまで“待つ”ようにしています。

なぜなら、自分の結果を見て「なぜこうなったのか」と疑問を持ち、次に向けて「何ができるか」を自分で探し出すこと。それこそが、学びにおいて最も大切な成長だからです。

このような力は、短期間で身につくものではありません。だからこそ、私たちは「時間をかけて育てる」ことを大切にしています。

 

未来を変える“学びの時間”のつくり方

当塾の卒業生の中には、高校進学後や社会に出てから大きく飛躍していった生徒がいます。もちろんその成果は、高校の先生方や職場環境など、周囲の支援によるものが大きいと思います。ただ一方で、「考える習慣」や「学びの土台」が、中学時代の学習の積み重ねの中で育まれた結果でもある、というふうにも思っています。

最初から成績が優秀だったわけではなくても、3年間という時間の中で、「学び方そのもの」を身につけた生徒たち。彼らが自立した学習者として育っていったのは、長期的な視点で学び続けたからこそ得られた成果だと考えています。

教育は、即効性のあるものではありません。じっくり時間をかけて育てていくものです。だからこそ、早めに学びの土台を築いていくことが大切です。中1・中2から通塾を始め、日々の学習の積み重ねを習慣にすることで、中3になってからの成長が大きく変わってくるのです。

AI時代だからこそ求められる「問い」の力

今は「タイパ(タイムパフォーマンス)」が重視される時代です。できるだけ早く、無駄なく、効率的に。そんな価値観が広がっています。

でも一方で、「じっくり考える時間」「自分の中に問いを持つ時間」は、失われつつあるようにも感じます。

AIが活用される今だからこそ、必要なのはAIを活かす力――つまり「良い問いを立てる力」です。そして、その力は泥臭い試行錯誤の学びの中でこそ育つものです。

当塾は、そんな“本質的な学び”を通して、将来どんな時代でも自ら学び、考え、道を切り開いていける生徒を育てたいと考えています。

 

もちろん、思うようにいかないこともあります。
でも、だからこそ焦らずに、今できることに一つひとつ丁寧に取り組んでいきたい――そう思っています。
子どもたちと共に、学びの時間を大切にしながら、これからも歩んでいきたいと思います。

地域をフィールドに学ぶ「おがわ学」

埼玉県立小川高等学校は、令和10年度に創立100周年を迎える伝統ある学校です。今回の塾関係者対象説明会では、黒澤拓也校長先生から、今の時代に求められる教育のあり方として「地域から未来へ」「地域から世界へ」という2本の柱を掲げた取り組みが紹介されました。その中心にあるのが、地域を教材とした探究学習「おがわ学」です。

おがわ学は、中山間地域に位置する小川町の特性や課題を、実際に地域の人と出会いながら学ぶ実践的なカリキュラムです。少子高齢化や地域資源の活用といった現実的なテーマを、自らの視点で掘り下げ、答えのない問いに向き合いながら思考を深めていきます。おがわ学を通じて得られた知見や経験は、3年次に実施される「アントレプレナーシップ」の学びへとつながります。ここでは、仮想の会社を立ち上げて商品を企画・開発し、道の駅などで実際に販売、地元の銀行担当者にプレゼンを行い、地域住民を招いた「株主総会」で成果を発表するという、非常にリアルな実践活動が行われています。

こうした学びは、調べて終わるのではなく、考え、行動し、振り返るという学習サイクルが組み込まれており、思考力・表現力・協働力など、これからの社会を生き抜く力を育てるものです。総合型選抜をはじめとする大学入試でも高く評価される内容で、探究的な学びの1つの形とも言えそうです。

 

地域とのつながりが、生徒と町の未来をつくる

小川高校の学びは、学校の中だけで完結するものではありません。おがわ学を軸にした教育活動は、地域全体へと波及し、さまざまな形で地域貢献型の学びへと広がっています。たとえば、小学生に英語や音楽を教える「出前授業」、地域の高齢者に向けた健康増進支援活動など、生徒たちは自らが社会の一員として、地域の課題解決に主体的に関わる機会を多く持っています。

こうした地域連携の取り組みは、学力の向上や学習支援といった面だけでなく、地域の活性化といった町づくりにもつながる重要な役割を果たしています。小川高校の教育が、町の未来を考える力を育み、それを実行に移す力へと変換していく。その過程で生徒たちは、「誰かのために働く喜び」や「社会に貢献する誇り」を実感してけるのではないかなと思います。。

さらに、学習支援ツール「Classi(クラッシー)」を活用した個別最適化学習にも力を入れており、入学時の分析から各学期ごとの成績推移までをもとに、きめ細かな進路指導が行われています。得意分野をさらに伸ばし、苦手分野は確実に克服していく。目標をG-MARCHクラスの大学に設定するなど、生徒一人ひとりの可能性を引き出す丁寧なサポートが印象的でした。

 

↑図書室の隣には、「おがわ学」に関する展示コーナーがありました

世界とつながる日常──DXハイスクールとしての挑戦

もうひとつの柱、「地域から世界へ」という視点でも、小川高校は着実に歩みを進めています。同校は、全国で11校しか指定されていない「DXハイスクール・重点類型グローバル型」の一つであり、埼玉県では伊奈学園総合高校と並ぶ指定校です。この制度のもと、海外の姉妹校との交流が積極的に行われており、国際感覚や多様な価値観を育てるグローバル教育が日常に溶け込んでいます。

2024年度には、インドの姉妹校から生徒を受け入れ、本校生徒の家庭でホームステイを行いました。茶道や華道、うどん作りなど、文化を共有する機会を通して、お互いの国の理解を深める貴重な時間となりました。そして7月には、小川高校から13人の生徒がインドへ訪問予定。ドバイとの交流も予定されているとのことで、まさに「日常にある国際交流」が進行しています。

こうした国際的な学びと、地域を深く知るおがわ学が結びついている点こそが、小川高校の教育の大きな魅力です。「地域に根を張りながら、世界に目を向ける」――この両立こそが、小川高校が目指す教育のかたちであり、これからの時代にこそ必要な力を育む土台になっていると強く感じました。

 

↑東部地区に住む私には、校庭から見える風景に山並みが見えるのは、とても新鮮でした。