歴史と改革が息づく川越工業高校

6月21日、川越工業高校で行われた学校説明会に参加しました。今回の会は、中学生と保護者の方を対象とした説明会でしたが、塾関係者も参加できるとのことでしたので、芝原塾の柏葉先生とともに見学させていただきました。
当日は、6月という早い時期にもかかわらず、なんと474名が参加。昨年度よりも多いとのことで、受験生や保護者の関心の高さがうかがえました。

 

はじめに、染谷校長先生より学校の歴史や教育方針についてご説明がありました。川越工業高校は、1908年創立の埼玉県内最古の工業高校で、令和9年度には120周年を迎えます。長い伝統を受け継ぎながらも、時代に応じた教育改革に力を入れており、令和8年度からは進学にも対応できる新たなカリキュラムが導入される予定です。今後は、就職だけでなく大学進学も視野に入れた学びの場として、さらに進化していくとのことでした。

 

工業高校ならではの特色ある学び

説明会では、普通科高校との違いや、工業高校で学べることについて、具体的な事例を交えてご紹介いただきました。

川越工業高校では、1・2年次に普通科目が約6割、工業科目が約4割の割合で授業が行われます。3年次になると、普通科目と工業科目がほぼ半々となり、より専門的な学習が深まっていきます。

また、在学中に国家資格や専門的な技能資格を取得することができる点も特徴の一つです。たとえば、「甲種危険物取扱者」や「第3種電気主任技術者」など、通常は社会人になってから取得するような高度な資格にも、高校在学中に挑戦することができます。これにより、卒業後すぐに即戦力として活躍できるスキルが身につきます。

学科ごとの専門的な取り組み

川越工業高校には、以下の5つの専門学科が設置されています。それぞれの学科で、特色ある学びが展開されています。

■ デザイン科

  • 織物(テキスタイル)の基礎や染色技術の習得

  • 浴衣を制作し、ファッションショーで発表

  • 川越ハーフマラソンのポスター・タオルなどのデザイン

  • 地域広報紙「広報川越」の題字制作などの地域連携

■ 化学科

  • 水溶液を使った化学分析の実験

  • 液体分析器や電子顕微鏡を使用した観察

  • ルビーやサファイアなどの人工宝石の製作

■ 建築科

  • 木材加工や木造建築の設計と模型づくり

  • 建築士による設計指導やプレゼンテーション実習

  • 高所作業など、実際の現場に近い技能体験

■ 機械科

  • 金属加工、旋盤による精密部品の製作

  • コンピューター制御による機械加工や3Dプリンターを使った製作

  • アーク溶接・ガス溶接などの実技習得

■ 電気科

  • 電気回路の基礎学習および工事実習

  • 電気工事士資格の取得(第2種は全員合格実績)

  • 電気自動車や自動運転模型、VR教材の開発

地域と連携し、社会とつながる学び

川越工業高校では、地域との連携を大切にした学びも行われています。たとえば「川越産業フェスタ」では、生徒が講師役となり、来場者にものづくりを教える体験型のブースを出展しています。液体窒素を使った実験ショーや、東洋大学と連携した山車の制作、ミニ電車やプロジェクションマッピングなど、さまざまな取り組みを通じて社会とつながる力を育てています。

また、埼玉県のマスコットキャラクター「コバトン」は、当時の川越工業高校の生徒がデザインしたもの。さらに、Suicaの開発に携わった方や、ウォークマンの開発者など、同校出身の卒業生が社会で大きな役割を果たしていることも紹介されました。

 

進学にも就職にも強い進路指導

川越工業高校では、生徒一人ひとりの進路希望に寄り添った丁寧な指導が行われています。就職先はもちろん、大学への進学にも力を入れており、多くの指定校推薦枠を持っています。以下のような大学への進学実績もあります。

  • 武蔵野美術大学

  • 女子美術大学

  • 東京造形大学

  • 実践女子大学

  • 東京電機大学

  • 東洋大学

  • 日本大学

  • 千葉工業大学 など

また、課題研究などで取り組んだ内容を活かし、総合型選抜(旧AO入試)で進学する生徒も多くいます。夏休みや冬休みには、5教科の補習授業も行われ、基礎学力の向上もしっかりサポートされています。

就職については、実に多くの企業があるので、川越工業高校のホームページでご覧ください。

現在、女子生徒の割合は全体の約2割。とくにデザイン科では女子の比率が高く、今回の説明会でも女子生徒の姿が多く見られました。

 

まとめ:専門性を活かして、未来へ進む

川越工業高校は、技術と実践を大切にしながら、生徒の将来の選択肢を広げる教育を行っている学校です。普通科とは異なる学びの中で、専門的なスキルを身につけ、資格取得や地域活動を通じて社会と関わりながら成長していける環境が整っています。

「将来、ものづくりや技術の世界で活躍したい」「大学進学と専門性の両方を目指したい」と考える中学生にとって、川越工業高校はとても魅力的な選択肢の一つになるはずです。興味を持たれた方は、ぜひ公式ホームページや今後の学校説明会などもご覧になってみてください。

一人ひとりの努力が報われる場所を目指して

6月16日、杉戸高校の教育関係者対象の学校説明会に行ってきました。

杉戸高校では、「普通の生徒が普通の青春を」「光る原石を見つけて育てる」というキャッチフレーズを掲げ、特別な才能を持った一部の生徒だけでなく、すべての生徒に等しくチャンスがあるという考えのもと、教育を実践しています。

今回紹介された進学実績も、この言葉を裏付けるものでした。

慶應義塾大学に一般入試で合格した生徒は、決して学年トップではなく、日々地道に努力を重ねたタイプ。お茶の水女子大学や上智大学、群馬大学に進学した生徒たちも同様で、「一見すると目立たない生徒が、地に足のついた取り組みで結果を出した」と担当の先生は説明をされていました。成績が決してトップではない生徒が難関大学に合格する姿は、「努力が報われる学校」である杉戸高校の大きな魅力です。

 

授業では1時間55分の6時間授業に加え、「カセットシステム」を導入し、土曜授業を設けずに週33時間の授業時間を確保。少人数授業やコーチングの導入など、生徒の学びに合わせた多様な指導法も取り入れられています。表面的な学力ではなく、学びの過程に丁寧に寄り添う体制が整っているように感じました。

 

育てたいのは「学び続ける人間力」

杉戸高校が目指す生徒像は、単なる進学実績にとどまらず、社会に出たあとも活躍できる「人間力」を持った人材です。掲げられている5つの力、すなわち「主体性・協調性・発信力・共感力・継続力」は、それぞれが学校生活や将来に直結する重要なキーワードです。

なかでも協調性と継続力については、学校としても課題意識を持って指導に取り組んでいるとのことです

協調性を育てるために、朝日新聞の論説委員を講師に招いた「集団生活講座」を実施。通学範囲の広がりによって異なるバックグラウンドを持つ生徒が集まる中、互いの違いを認め合う姿勢を学んだとのことでした。

また、継続力については「子どもの数が減っている今だからこそ、粘り強く取り組むことが価値になる」という考え方のもと、継続して粘り強く取り組むことを大切にしているとのことでした。

杉戸高校の教育は、こうした姿勢を身に付けさせることによって、「できる子を伸ばす」だけではなく、「今は普通の生徒が、自分の力でできるようになっていく」ことに価値を置いているように思います。

こうした学校の取り組みは、検定試験の結果などにもあらわれてきているようで、数検準1級っへの複数合格や、英検1級の1次試験合格などの結果にもあらわれてきているように思います。

 

生徒がつくる学校、生徒が育てる文化

杉戸高校のもう一つの大きな特徴は、「生徒主体の文化づくり」です。令和7年度から導入された新しい制服は、生徒たちが4年かけてデザインに関わったものです。初期にプロジェクトに関わった生徒たちはすでに卒業していますが、完成した制服を見て、関われたことを喜んでいたという話も紹介されていました。こうしたプロセスそのものが、生徒にとって大きな成長の機会となっているように感じます。

 

高校入学後すぐに実施される「スタートアッププログラム」もまた、生徒主体の姿勢を育む内容になっています。たとえば、英語だけを使って生活する「校内留学」では、ALTの先生と会話しながら英語でのやり取りに挑戦。最初は不安を抱えていた生徒も、身振り手振りや単語だけでも通じることを実感し、しだいに楽しみながら取り組むようになっていったそうです。

また、トヨタ自動車の常務によるリーダーシップ講演会や、「宇宙船が月に着陸したら持っていくべきアイテムは?」というテーマでのコンセンサスゲームを通し、他者との意見の違いを受け入れ、議論を深める力を学びます。このプログラムの生徒満足度は99%と非常に高く、その効果がうかがえます。

 

そのほかにも、EUの訪問プログラムへの参加、税に関する作文コンクール、劇団四季の鑑賞会、科学の甲子園への出場など、さまざまなイベントを通じて、学びの場は教室の中にとどまりません。地域との連携を大切にしながら、多くの実践の場を用意しているのも杉戸高校の魅力です。

まとめ

杉戸高校は、創立50周年を迎えるにあたり、新しい一歩を踏み出そうとしています。特別な才能を求めるのではなく、「今は普通の生徒でも、努力を続けることで夢を実現できる」ことを大切にしている学校です。目の前の生徒たちの小さな可能性を信じ、育てようとする姿勢は、これからの時代にこそ求められる教育の形と言えると思います。

主体性と継続力を育みながら、生徒たちが自分の人生をデザインしていける力を身につける――。杉戸高校は、そんな“ふつうの生徒が、ふつう以上に輝ける場所”として、地域と共に歩みを進めているように感じました。

 

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品格とあたたかさがにじみ出る生徒たち

6月12日、埼玉県立久喜高校の教育関係者向け説明会に参加してきました。

受付を済ませて校内に足を踏み入れると、まず感じたのは、生徒たちの落ち着いた雰囲気。通りすがりに自然と挨拶をしてくれるその姿に、「ああ、こういう空気の学校なんだな」とすぐに伝わってきました。

説明会の冒頭では、今年4月に赴任された上田誠治校長先生が「久喜高校の生徒には品格がある」とお話されていましたが、それは決して大げさな表現ではなく、日常のちょっとしたふるまいに表れるものなのだと実感しました。

 

久喜高校では「なでしこの心」を教育の核として大切にしており、「困難にもくじけず、何事にも頑張る」「人にやさしく、思いやりを持つ」という価値観が生徒たちに根づいています。それが学校行事や日常の関わり、そして部活動の姿勢にも表れています。生徒同士が応援し合い、仲間の努力を尊重し、がんばることを恥ずかしがらない──そんな校風が、生徒たちの豊かな人間性を育んでいるように感じました。

女子高ならではの穏やかさと、前向きなエネルギーが共存する、まさに「心の通った学校」だと思います。

 

地域に根ざし、学びに全力な環境

久喜高校は、伝統を大切にしながらも、学びの環境はとても先進的です。全教室に電子黒板とプロジェクターが完備されていて、iPadも一人一台。ICTをしっかり活用しながら授業が行われています。天然芝のグラウンドや、焼きそばやおにぎりなどが買える「なでしこキッチン」など、日常生活の面でも充実しており、生徒たちがのびのびと学校生活を送れる環境が整っています。

2024年度には学習室に48席の個別ブースも新たに整備され、静かな環境で集中して自習できるようになりました。これはOGからの寄付によるもので、卒業生と在校生とのつながりが今も生きているのは、伝統校ならではの魅力です。

また、地域との関わりも積極的で、小学校での学習支援やスポーツ体験活動、JRC部によるフードドライブや防犯キャンペーンなど、多くの生徒が社会貢献活動に関わっています。こうした地域とつながる経験を通じて、学力だけでなく人間力も育てている点が印象的でした。

多様な進路に対応した、丁寧で具体的なサポート

久喜高校が本気で取り組んでいるのが「進路指導」。そのサポートの細やかさには、驚かされます。1年生からすでに「自己理解」や「職業・学部研究」が始まり、進路について“まだ先の話”ではなく“今から考えること”として扱われているのが特徴です。スタサポや模試の振り返り、適性検査、卒業生の話を聞く機会などが豊富に用意されていて、自分の将来像が少しずつ具体化していきます。2年生では志望理由書の作成や小論文演習などが始まり、3年生になると模擬面接やプレゼン対策、入試スタイル別の個別指導へと発展していきます。

 

進学先としては、四年制大学が6割超、女子大が他校と比べて多く、看護・保育・医療系への進学率も高いのが特徴です。専門学校も看護・歯科衛生・美容系など、将来に直結する職業を目指す生徒が多く、明確な目的を持って学んでいる印象があります。

指定校推薦の枠は在校生数を大きく上回っており、自分に合った入試制度(一般選抜・学校推薦・総合型)を選んで進路実現を目指すスタイルが確立しています。平日の放課後や夏休み中の課外講座もとても充実していて、部活動と両立しながら受験対策ができる環境がしっかり整っていました。

学習室は平日19時まで、土曜も指定日には開放されており、赤本や進路資料も自由に閲覧可能。皆さんの学びを支える体制が整っている学校だと思ました。

 

↑天然芝のグラウンド。天然芝はなかなか見かけない。

 

まとめ

今回の説明会を通して感じたのは、久喜高校には「生徒を大切に育てる文化」が確かに存在しているということです。日常のちょっとしたふるまいに表れる優しさや品のよさ。そして、将来に向けた進学の道を一緒に考えてくれる環境。どちらも生徒の“今”と“未来”をしっかり見つめているからこそ、実現できているのだと思います。「がんばることを応援してくれる」「一生懸命を笑われない」──そんな空気の中で、自分らしい進路を選び、安心して努力できる学校。それが久喜高校の最大の魅力ではないでしょうか。

 

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学びの枠を越える「昌平・ボーダレス・プログラム」

6月9日に行われた昌平高校の塾対象説明会に参加してきました。今回の説明会で大きな注目を集めたのが、来年度からスタートする「昌平・ボーダレス・プログラム」です。このプログラムでは、正規授業を月曜から金曜に集約し、土曜日は探究活動や講座、補習などに充てるという柔軟な時間割を導入。さらに、2学期制を採用することで、授業時間数を維持しながらも、より自由度の高い学びを可能にしていきます。

大学入試が多様化し、推薦や総合型選抜、英検利用などが広がる中で、教科書でも学びをベースに置きながらも、それだけでは通用しなくなってきていることが背景にあるようです。

昌平高校では、国公立大学81名、早慶上理98名、GMARCH193名といった合格実績を出していますが、城川学園長先生からは「まだ道半ば」との言葉がありました。これからの時代に求められる“越境型の学び”を、本格的に動かしていこうという強い意志を感じました。

探究と推薦に強い昌平へ──IBの学びをベースに

説明会では、探究活動の取り組みについても詳しい説明がありました。これまで昌平高校のIB(国際バカロレア)コースで実施していた「正解のない問いに挑む学び」や「根拠をもって考える力」を、今後はコースを超えて全体へと展開していくそうです。

IBコースの生徒たちは、例えば「西パプアの独立運動と国際社会の関わり」といった大学レベルのテーマで論文をまとめた生徒さんもいるそうです。IBコースは、全員が推薦入試で合格を果たしているとのこと。こうした実績を生かしつつ、全学年で段階的に探究力を育てる仕組みも整っています。

高1で探究の基礎を学び、高2で「みらい甲子園」に挑戦、高3では個人研究に取り組む流れが確立され、地域連携による「地方創生探究プロジェクト」では、杉戸町との協働フィールドワークやファイナンス講座なども用意されています。

英語を使った発表やグループワークも行われ、進路に直結する実践的な力を養える環境が整いつつあるようです。

 

入試対策も万全に──英検・情報・記述対策の強化

もちろん、探究だけでなく受験に向けた具体的な対策も進んでいます。特に力を入れているのが英検取得支援で、立教大学をはじめとする私大の入試では英検が大きな武器になっているそうです。高校1・2年生のうちに英検を取得することで、一般選抜でも有利になるケースが増えてきており、今後はさらに取得支援を強化する方針とのこと。

また、共通テストで「情報」の配点比率が高まっていることから、情報科目にも早期から対応し、高1・2の授業に組み込む予定です。加えて、推薦・総合型選抜だけでなく、一般入試で求められる記述力を養うために、課題添削の仕組みも拡充中。「これだけやった」という達成感を持たせ、学びの自信につなげていくとのことでした。

入試の枠にとらわれず、どんな受験方式にも対応できる“進路の幅広さ”も昌平高校の強みと言えそうです。

まとめ

昌平高校が来年度から本格始動させる「ボーダレス・プログラム」は、探究と進学をしっかりとつなげた新しい学びのかたちです。曜日の枠、教科の枠、コースの枠を越えて、生徒一人ひとりが自分に合った学び方を選べる仕組みが整いつつあります。

IBコースで培った探究のノウハウを全体に広げ、推薦にも一般入試にも対応する進路支援も充実。これからの時代を見据えた「越境型の学び」に、昌平高校が本気で取り組んでいることを強く感じました。

進路の幅を広げたい人、ただの進学校では物足りない人にとって、これからますます注目の学校になっていくのではないでしょうか。

6月7日、不動岡高校で開催された教育関係者向け説明会に参加してきました。
この日は学習塾関係者だけでなく、中学校の先生方も参加されるなど、教育関係者が集まる中で、同校の教育の今と未来についての説明がされました。

「伝統」は守るものではなく、活かすもの

説明会の冒頭、関根校長先生からお話がありました。
130年以上の歴史を持つ不動岡高校ですが、「伝統があるだけでは生き残れない」と校長先生はお話をされていました。これからの時代、学校が選ばれる存在であり続けるには、実績と広報、そして進化が不可欠で、その一環として、同校では昨年度からSNS発信の強化や1・2年生年向け説明会の開催、スクールポリシーの明文化などに取り組んできたとのこと。

早くから「自分の進路」を考える中学生のニーズにも応える形で行った1・2年生向け説明会では、想定以上の参加があり、手ごたえを感じられていたようでした。

このような取り組みからは、伝統に甘んじることなく、未来を見据えて動き続ける姿勢を感じました。

 

学問の土台を育む「リベラルアーツ型教育」

不動岡高校の特徴の一つが、文理の枠を超えて学ぶ「リベラルアーツ型教育」です。
新学習指導要領の実施ともに普通科と外国語科が統合された同校ですが、それを機に、リベラルアーツを意識したカリキュラムを展開。1・2年次は広く共通の教養科目を学ぶことを意識したカリキュラムとなっています。

また授業の中で特に重視されているのが「探究活動」です。以下のように、年次ごとにステップを踏みながら、深い学びへと進んでいきます。

  • 1年次:探究の基礎とグループ研究
    SDGsの17目標からテーマを選び、グループで調査・研究を行います。たとえば、「麦わらを使ったストローの製作」といった実践的テーマに取り組み、2023年には「みらい甲子園埼玉大会」で武蔵コーポレーション賞を受賞しました。

  • 2年次:分野別の課題探究
    「地域課題研究」「異文化理解」「理数探究」の3つの課題からテーマを選択し、個人またはグループで探究を深めていきます。教科の枠を超えた視点や調査の方法を学び、発表まで行います。

  • 3年次:文理融合のリベラルアーツ探究
    「文学は飢えた子どもに役立つか」「グローバル人材は本当に必要か」といった、正解のない問いに取り組みます。ディスカッションや調べ学習を通して、最後は一人ひとりが小論文として表現します。

これらの取り組みは、三菱みらい育成財団・東日本グランプリの受賞にもつながっており、高く評価されているようです。

 

教室を越えた「学びのフィールド」

不動岡高校では、学びは教室の中だけにとどまりません。
海外では、フランス、ドイツ、オーストラリア、マレーシア・シンガポールといった多様な文化に触れる研修機会があり、語学だけでなく、異文化理解・主体性・柔軟な発想を育てる場になっています。

また、国内にも探究型のプログラムも多数あります。
「ふくしま合宿」では地域振興やエネルギー問題を考えるフィールドワークを、「グローバル・スタディーズ・プログラム」では、夏休み5日間を英語漬けで過ごす“国内留学”も体験可能。

こうした体験の積み重ねが、生徒の「自分の学び」に対する意識を変えていくのだと感じました。

地に足のついた進路指導と、真面目に向き合える仲間たち

進路指導も非常に手厚く、今年度は国公立大学108名(現役102名)合格、早慶上理74名、GMARCH291名と、埼玉県内でも高い実績を誇ります。
夏期講習は3年生向けに40講座以上、のべ2000人が受講。希望制ながらほとんどの生徒が参加し、共通テスト・私大・推薦など、それぞれの進路に合った講座を受講しています(全て無料)。

毎朝6時半から校舎は開き、あちこちで生徒が自習に励む姿が見られるとのこと。
一方で19:00完全下校を徹底し、学習と生活のバランスも重視。学校全体に「メリハリをつけて努力する」空気が流れています。

生徒の声として、「何事にも全力で挑戦できる」「先生が本気で向き合ってくれる」「行事も探究も、すべてが自分の成長につながる」といった前向きな感想が印象的でした。

最後に

不動岡高校は、「進学校」や「伝統校」という枠だけでは語れない、多面的な魅力を持つ学校です。
しっかりと学びたい、でもそれだけじゃなく、本質的に“考える力”を育てたい——そう思う生徒さんにとっては、まさに理想的な環境だと感じました。

説明会で見えたのは、「不動岡らしさ」を大切にしながら、未来に向けて歩みを止めない姿。
その姿勢が、生徒一人ひとりの力を伸ばす原動力になっているのだと、強く感じる1日となりました。