6月7日、不動岡高校で開催された教育関係者向け説明会に参加してきました。
この日は学習塾関係者だけでなく、中学校の先生方も参加されるなど、教育関係者が集まる中で、同校の教育の今と未来についての説明がされました。
「伝統」は守るものではなく、活かすもの
説明会の冒頭、関根校長先生からお話がありました。
130年以上の歴史を持つ不動岡高校ですが、「伝統があるだけでは生き残れない」と校長先生はお話をされていました。これからの時代、学校が選ばれる存在であり続けるには、実績と広報、そして進化が不可欠で、その一環として、同校では昨年度からSNS発信の強化や1・2年生年向け説明会の開催、スクールポリシーの明文化などに取り組んできたとのこと。
早くから「自分の進路」を考える中学生のニーズにも応える形で行った1・2年生向け説明会では、想定以上の参加があり、手ごたえを感じられていたようでした。
このような取り組みからは、伝統に甘んじることなく、未来を見据えて動き続ける姿勢を感じました。
学問の土台を育む「リベラルアーツ型教育」
不動岡高校の特徴の一つが、文理の枠を超えて学ぶ「リベラルアーツ型教育」です。
新学習指導要領の実施ともに普通科と外国語科が統合された同校ですが、それを機に、リベラルアーツを意識したカリキュラムを展開。1・2年次は広く共通の教養科目を学ぶことを意識したカリキュラムとなっています。
また授業の中で特に重視されているのが「探究活動」です。以下のように、年次ごとにステップを踏みながら、深い学びへと進んでいきます。
-
1年次:探究の基礎とグループ研究
SDGsの17目標からテーマを選び、グループで調査・研究を行います。たとえば、「麦わらを使ったストローの製作」といった実践的テーマに取り組み、2023年には「みらい甲子園埼玉大会」で武蔵コーポレーション賞を受賞しました。 -
2年次:分野別の課題探究
「地域課題研究」「異文化理解」「理数探究」の3つの課題からテーマを選択し、個人またはグループで探究を深めていきます。教科の枠を超えた視点や調査の方法を学び、発表まで行います。 -
3年次:文理融合のリベラルアーツ探究
「文学は飢えた子どもに役立つか」「グローバル人材は本当に必要か」といった、正解のない問いに取り組みます。ディスカッションや調べ学習を通して、最後は一人ひとりが小論文として表現します。
これらの取り組みは、三菱みらい育成財団・東日本グランプリの受賞にもつながっており、高く評価されているようです。
教室を越えた「学びのフィールド」
不動岡高校では、学びは教室の中だけにとどまりません。
海外では、フランス、ドイツ、オーストラリア、マレーシア・シンガポールといった多様な文化に触れる研修機会があり、語学だけでなく、異文化理解・主体性・柔軟な発想を育てる場になっています。
また、国内にも探究型のプログラムも多数あります。
「ふくしま合宿」では地域振興やエネルギー問題を考えるフィールドワークを、「グローバル・スタディーズ・プログラム」では、夏休み5日間を英語漬けで過ごす“国内留学”も体験可能。
こうした体験の積み重ねが、生徒の「自分の学び」に対する意識を変えていくのだと感じました。
地に足のついた進路指導と、真面目に向き合える仲間たち
進路指導も非常に手厚く、今年度は国公立大学108名(現役102名)合格、早慶上理74名、GMARCH291名と、埼玉県内でも高い実績を誇ります。
夏期講習は3年生向けに40講座以上、のべ2000人が受講。希望制ながらほとんどの生徒が参加し、共通テスト・私大・推薦など、それぞれの進路に合った講座を受講しています(全て無料)。
毎朝6時半から校舎は開き、あちこちで生徒が自習に励む姿が見られるとのこと。
一方で19:00完全下校を徹底し、学習と生活のバランスも重視。学校全体に「メリハリをつけて努力する」空気が流れています。
生徒の声として、「何事にも全力で挑戦できる」「先生が本気で向き合ってくれる」「行事も探究も、すべてが自分の成長につながる」といった前向きな感想が印象的でした。
最後に
不動岡高校は、「進学校」や「伝統校」という枠だけでは語れない、多面的な魅力を持つ学校です。
しっかりと学びたい、でもそれだけじゃなく、本質的に“考える力”を育てたい——そう思う生徒さんにとっては、まさに理想的な環境だと感じました。
説明会で見えたのは、「不動岡らしさ」を大切にしながら、未来に向けて歩みを止めない姿。
その姿勢が、生徒一人ひとりの力を伸ばす原動力になっているのだと、強く感じる1日となりました。