先日読んだ本の中に、こんな一節がありました。
「好奇心とは、疑問を持ち、新たな可能性を探り、周りのものに心を開き、物事のしくみを尋ねることだ」
これを読んだとき、私は思いました。「これはまさに、学習で成果を出す生徒の姿そのものだ」と。そして同時に、「当塾が育てていきたい生徒像もまさにここにある」と強く感じました。
答えがあふれる時代に必要な“考える力”
今は、スマホを開けばすぐに答えが手に入る時代です。AIの発達によって、検索ひとつで情報にたどりつける便利な社会になりました。私自身、AIの使用に否定的ではありません。上手に活用すれば、可能性を広げる力にもなります。
ただその一方で、最初からAIに頼ってしまうことで、「考えなくても答えは得られる」という感覚が当たり前になってしまうのではないかと危惧しています。学習において大切なのは、答えそのものよりも「その答えに至るまでの思考のプロセス」だと思うからです。
「問いを持つ力」が人を育てる
当塾では、テスト後の授業や面談などで、生徒と一緒に学びをふり返る時間を設けています。その際、私が心がけているのは「答えを先に教えないこと」です。
もちろん、プロの指導者であれば、結果を見て「こうしたほうがいい」ということはすぐにわかります。しかし、それを一方的に伝えるのではなく、生徒が自分自身で考え、気づくまで“待つ”ようにしています。
なぜなら、自分の結果を見て「なぜこうなったのか」と疑問を持ち、次に向けて「何ができるか」を自分で探し出すこと。それこそが、学びにおいて最も大切な成長だからです。
このような力は、短期間で身につくものではありません。だからこそ、私たちは「時間をかけて育てる」ことを大切にしています。
未来を変える“学びの時間”のつくり方
当塾の卒業生の中には、高校進学後や社会に出てから大きく飛躍していった生徒がいます。もちろんその成果は、高校の先生方や職場環境など、周囲の支援によるものが大きいと思います。ただ一方で、「考える習慣」や「学びの土台」が、中学時代の学習の積み重ねの中で育まれた結果でもある、というふうにも思っています。
最初から成績が優秀だったわけではなくても、3年間という時間の中で、「学び方そのもの」を身につけた生徒たち。彼らが自立した学習者として育っていったのは、長期的な視点で学び続けたからこそ得られた成果だと考えています。
教育は、即効性のあるものではありません。じっくり時間をかけて育てていくものです。だからこそ、早めに学びの土台を築いていくことが大切です。中1・中2から通塾を始め、日々の学習の積み重ねを習慣にすることで、中3になってからの成長が大きく変わってくるのです。
AI時代だからこそ求められる「問い」の力
今は「タイパ(タイムパフォーマンス)」が重視される時代です。できるだけ早く、無駄なく、効率的に。そんな価値観が広がっています。
でも一方で、「じっくり考える時間」「自分の中に問いを持つ時間」は、失われつつあるようにも感じます。
AIが活用される今だからこそ、必要なのはAIを活かす力――つまり「良い問いを立てる力」です。そして、その力は泥臭い試行錯誤の学びの中でこそ育つものです。
当塾は、そんな“本質的な学び”を通して、将来どんな時代でも自ら学び、考え、道を切り開いていける生徒を育てたいと考えています。
もちろん、思うようにいかないこともあります。
でも、だからこそ焦らずに、今できることに一つひとつ丁寧に取り組んでいきたい――そう思っています。
子どもたちと共に、学びの時間を大切にしながら、これからも歩んでいきたいと思います。