シーツの上で | kourei123さんのブログ

シーツの上で

シーツの皺は
湾に 扇のような波が押し寄せるように波打っている。交わりが産んだうねり。

ふと、嵐の前の灰色の海の前に佇んでいた彼女の後ろ姿を思い出した。


乱暴な波の上で 揺れながらも、浮き沈みするブイが船に乗るものの目印ならば

乱暴な風に吹かれながらも、毅然と立ち尽くす彼女は 現と幻 への境界線のようだった。

どちらも命綱。


自分が 彼女の何にひかれたのかと 問われれば、 ただ 手を伸ばさずにはいられなかった。焦点を結ばない 彼女の視線の先が 気になって仕方がなかった。それが 自分にとっての答えだった。


シーツの皺が 彼女を包み そのまま灰色の海に連れ去りそう。それはとてつもない力で 奪い去る。
肉体は完膚なきほどに叩きのめされて
生命は幻に還っていく。

後もう少し 彼女を感じていたくて 静かに寝息を立てる肩を自分の胸に手繰り寄せた。

生暖かい風が 二人を包む すでに彼女は 幻の中なのかもしれない では、自分はどこにたっているのだろうか。どこで生きているのだろうか。


今までに感じたことがないほどの すべての感覚が遮断されたかのような孤独。
まるで 自分が境界線にたたされているかのようだ。自ら足を踏み入れてしまった 現と幻の間。白い波間に揉まれるブイが やけに目立つ。

そうか、あれはまた 自分達にとっても 見失ってはいけない。
目印。


私も また誰かにとっての境界線になっているのだろうか。


命綱となっているのだろうか。