チリメンジャコ市役所の近くを通ったので、福祉課に立ち寄った。
小川さん、こんにちは。
「あ、たいしさん、こんにちは」
報告書の用紙をください。5枚ぐらい。
「あ、今月から、報告書は電子媒体で提出していただいてます」
えっ!?
「スマホを持っている方なら、福祉課にご登録いただき、ログインいただければ・・・」
そんな・・・年寄りをいじめちゃ、いかんのう。
「簡単ですよ。今日、早速登録してください」
無理・・・心の準備が・・・年寄りを虐めないでくだされ・・・
「何言ってるんですか!登録手話通訳者の中でたいしさんが一番若いんですよ」
いや・・・少し、時間をくだされ・・・今日は勘弁してください・・・
「あはははは!この人が手話世界の狂犬?この一ヶ月で、すっかり印象が変わりました(笑)」
小川さんも、電話で話した印象よりはるかに若くて明るくて、印象変わりました。
「たいしさん、少し、お時間、大丈夫ですか?」
大丈夫です。
「保育園に、通訳に行くことになりまして」
あ、そうなんですか。
「あ、さきほどの話、訂正します。登録手話通訳者の中で一番若いのが私で、次がたいしさんです」
小川さんも登録手話通訳者なんだ。知らなかった。
「保育参観の通訳で気をつけることは何ですか?」
小川さんがもし、全く聞こえなくなって、子どもの保育参観に行ったら、どんなことに困るか。
「・・・・」
何を知りたいか。現地にいる時に、常にそれを考えてください。
「はい」
実はつい最近、保育参観の通訳に行きました。
「あ、そうなんですか」
園庭で、子ども達が、音楽に合わせて楽しく踊っている。
「はい」
ろうママは、「何の歌?」と聞いてきました。
「そうですね。親として、知りたいですよね」
でもマイクの音が割れている上に、何の歌か、全くわかりませんでした。
「・・・・」
通訳者として、反省しています。
「なるほど」
できれば、予め保育園に連絡して、どんな歌を園児達が歌うか、把握していくと良いと思います。
「わかりました!」
親として、何が知りたいか。それを考えて通訳するので、親たちの私語もできる限り通訳します。
「なるほど。周りの状況も伝えないといけないですね。的確なアドバイス、ありがとうございます」
コーディネーターとしても、手話通訳者(派遣通訳者)としても、若い小川さんには期待している。
若い世代が、小川さんに続いてくれれば、チリメンジャコ市の未来は明るいだろう。