主流派手話通訳者への反論 | 手話通訳者のブログ

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「主流派」というのは、彼らがそう名乗っているわけではない。
派遣者寄りと思われる人たちを、俺が勝手にそう呼んでいるだけや。

彼らは、
「私たちは通訳者だから、手話通訳時には言葉を補ってはならない」
と言う。
どういうことか。
例えば、手話通訳者が聴者とろう者の間にいて通訳していて、聴者が「オスプレイ」と言った、とする。
手話通訳者は「オスプレイ」と表す。
それでおしまい。

ちょっと待った。それ、ろう者に通じるんか? そりゃ、すぐに理解するろう者もいるやろ。でも、「えっ、何?」という顔をする人が大半だと思う。伝えることが手話通訳者の仕事やろ?

すると、主流派通訳者はこう答えた。
「補足する場合はあるけど、指文字でオスプレイと表すだけ。手話や言葉を追加したり言い換えたりする行為は通訳ではなく、許されないこと」


これについては、主流派と真っ向から対立している。

もし、俺なら・・・
例えば、会話の中に「オスプレイ」が何度も登場している場合。
最初に表す時は新しい手話を使うし、会話のタイミングを見て、指文字も表す。
ろう者の表情に常に注目する。
「えっ、何?」
という表情をしていたら、会話の合間に補足説明を行う。

アメリカから購入した飛行機。沖縄の基地に配備されている。ヘリコプターみたいなやつ。数年前はよくテレビのニュースに出ていた。過去に何回も墜落している。沖縄の人たちは怒っている。

ろう者が「ああ、あれか」という表情をして、「沖縄」+「飛行機」と表すと同時に口話で「オスプレイ」と表す。

聴者が次に「オスプレイ」と言ったら、さきほどろう者が表した表現をそのまま使って「オスプレイ」と表す。
ろう者がすんなり理解しているようだったら、今回の通訳においてはずっと、この表現で「オスプレイ」を表す。

これが、俺のやり方や。

手話通訳者の仕事は、「正しい手話を表すこと」ではない。
目の前の聴者が話していることを「ろう者に伝えること」が仕事なんや。
必要と判断したら補足説明するし、言葉(手話)も補う。