評判の悪い手話通訳者 | 手話通訳者のブログ

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昼休みに派遣者の事務所へ立ち寄ると、知らない兄ちゃんが一人で電話番している。

派遣者の事務所はよく人が辞めるので、こういうことは、何回も経験している。
事務所に入っていくと、兄ちゃんが若者らしい生意気そうな視線を投げかけてきた。
「なんや、このおっさん」と目が言っている。

こんにちは。手話通訳者のたいしです。お世話になります。

名乗った瞬間、兄ちゃんの顔が凍りついた。

「あっ・・・たっ・・・・たいしさんですね。いつもお世話になっております」

なに緊張しとるんや。大方、先輩職員から「手話通訳者のたいしには気をつけろ」とでも言われているのだろう。

報告書の用紙がなくなったので、数枚ください。
「ほっ・・・ほほほほ・・・・報告書ですね。少々お待ちください」

(くっ・・・なに怖がっとんのや。笑ってしまいそうや・・・)

「おっ・・・おまっ・・・たっ・・・・お待たせしました」

(なんや、この人、手が震えとるやんか。もうあかん!)

わはははは!

兄ちゃん、ビクッと体を縮めて、「あのっ・・・ぼっ・・・僕、何か変なこと言いましたか?」
いえ、別に。失礼しました。

手話世界は狭い。悪い意味で、狭い。
噂が一人歩きすることも、少なくない。誰かが面白おかしく話を作って追加したりして、実像とはずいぶん違ってしまうこともある。あの兄ちゃんの想像の中で「たいし」は極道のような恐ろしい存在になっていたのかもしれない。