歯科医師国家試験対策メモ ~血液疾患のまとめ~ | 歯科研修医・若手歯科医師のための口腔外科マニュアル

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歯学部生・歯科研修医向けの口腔外科の小手術に関するコツを紹介します。昔、何もわからなかった時の気持ちや学んだことを記録します。このブログが歯科医師を志す若手の力になれたら嬉しいです。

1)歯科医師国家試験対策メモ ~血液疾患のまとめ~
2)編集後記
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こんばんは。古舘 健です。
今日もご訪問いただき、ありがとうございます!!

前回は、先天異常・発育異常のまとめについてお話ししましたね。文章だけでなく、教科書の写真を確認しながら、イメージと疾患を結びつけてみてください。さて本日は歯科医師国家試験対策メモ「血液疾患のまとめ」について一緒にまとめておきましょう!
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1)歯科医師国家試験対策メモ ~血液疾患のまとめ~

今回は血液疾患についてまとめておきます。血液疾患は細かい検査データを覚える必要はありません。大きく分けると以下の3つです。

血液疾患
① 赤血球系疾患
② 白血球系疾患
③ 出血性素因

この中で、それぞれの疾患がどんな病態なのかを整理しておきましょう。当直や救急では以外にも口の出血が止まらないという患者様や、血液疾患のある患者様の抜歯を血液内科から頼まれることもありますよ。

もし血液疾患を発見したら速やかに血液内科専門医と対診しましょうね。

① 赤血球系疾患
小球性低色素性貧血:鉄欠乏性貧血
正球性正色素性貧血:再生不良性貧血、溶血性貧血
大球性高色素性貧血:巨赤芽球性貧血(悪性貧血)

鉄欠乏性貧血 iron deficiency anemia
原因の特定(消化管出血、妊娠・出産、偏食、胃切除)→鉄剤投与2~3ヶ月間
プランマー・ヴィンソン(Plummer-Vinson)症状
舌炎(平滑舌)、口角炎、嚥下障害
スプーン状爪(spoon nail)
味覚変化

再生不良性貧血 aplastic anemia
多能性造血幹細胞に対する自己免疫疾患の1つ。
全て減少。

溶血性貧血 hemolytic anemia
造血能は正常だが、破壊は亢進:脾腫(赤血球の破壊は脾臓で行われる)、黄疸

巨赤芽球性貧血 megaloblastic anemia
ビタミンB12(→悪性貧血)、葉酸の不足による赤芽球の核酸合成阻害
*ビタミンB12の吸収には胃液中の内因子が必要
Moller-Hunter舌炎(舌乳頭の委縮→平滑舌、灼熱感、疼痛)

② 白血球系疾患 
白血病 leukemia
造血幹細胞のがん
初期でがん化すると白血病、リンパ系細胞の段階でがん化すると悪性リンパ腫
骨髄穿刺液:血球の幼若球(芽球)が25%以上で急性白血病、25%未満で悪性リンパ腫

細胞の分化の方向性で骨髄性とリンパ性に分類される。
骨髄性の血液所見:アウエル小体 Auer body (正常骨髄系白血病に存在する顆粒が棒状に変形したもの)、白血病裂孔(多くの芽球が血液中で観察される)

悪性リンパ腫 malignant lymphoma
Hodgkinリンパ腫(ホジキン病):発症率は悪性リンパ巣の10%、5年生存率は病期分類全体で約80%。ABVD療法。
非Hodgkinリンパ腫(Non-Hodgkin lymphoma,NHL):従来、ホジキン病と言われていたものを除いた悪性リンパ腫。病期分類と悪性度で予後が異なる。形態学的に濾胞性 follicularとびまん性 duffuseに、免疫学的にNK/T細胞とB細胞に分類される。CHOP療法。

*1832年 Thomas Hodgkin氏によりホジキン病が報告された。続いて、Dorothy Reed氏ならびにCarl Sternberg氏によってホジキン病に特徴的なReed-Sternberg細胞(2核以上)が報告された。

③ 出血性素因
一次止血:血管が収縮し、血小板が凝集する。
二次止血:凝固因子が血小板の周囲にフィブリンが形成される。

一次止血の異常
特発性血小板減少性紫斑病 idiopathic thrombocytopenic purpura
点状出血や抜歯後出血。ときに感染症状や自己免疫疾患の合併を認める。

血小板無力症 thrombasthenia(Glanzmann病)
常染色体劣性遺伝。出血時間以外の血小板数ならびに血液凝固検査は正常。

*遺伝性出血性末梢性血管拡張症 hereditary hemorrhagic telangiectasis (Osler disease)
常染色体優性遺伝。出血時間の延長。毛細血管抵抗試験の陽性。

*常染色体優性遺伝と常染色体劣性遺伝について
常染色体優性遺伝
両親どちらかの特徴が現れやすい形質の遺伝子に変異がある場合、子どもの50%にその症状が出る。

常染色体劣性遺伝
両親のどちらも特徴が現れにくい形質の遺伝子に変異がある場合、子どもの25%にその症状が出る。

*毛細血管抵抗試験について
毛細血管の脆弱性を皮膚に生じた点状出血斑を数えて同定する試験方法。陽圧法はRumpel-Leede法。陰圧法は紫斑計法(加藤・上林法)。

二次止血の異常
血友病A/B hemophilia A/B
伴性劣性遺伝
Aは第8因子、Bは第9因子
発生頻度はA:B=4:1で男性にのみ発症。
内因系凝固因子に関与→APTT延長、PT正常
血小板機能は正常なので、出血時間は正常。

*伴性劣性遺伝について
X性染色体にある遺伝子の変異によって起こるが、1対の性染色体のうち、両方に変異がある場合のみ、その症状が出る。

von Willbrand病 von Willbrand disease
常染色体優性遺伝
von Willbrand因子(vWF)は、血小板凝集補助→出血時間延長、毛細血管抵抗試験陽性
vWFは第8因子に結合し、内因系凝固因子に関与→APTT延長、PT正常

DIC disseminated intravascular coagulation 播種性血管内凝固症候群
基礎疾患によって血管内凝固が生じ、引き続き血小板と凝固因子が消費され、線溶が亢進→臓器不全
減少:血小板、凝固因子→APTT&PT延長、AT
増加:FDP、D-ダイマー、TAT(凝固活性化マーカー)、PIC(線溶活性化マーカー)

いかがでしたか。それぞれの項目について自分なりに整理してみてくださいね。

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2)編集後記

雪が降り続いています。
2014年12月7日の青森県弘前市の最低気温はマイナス3度(-3 ℃)、積雪は32センチ(32 cm)です。




雪景色は好きですが、急に降り積もり過ぎですね。
雪かきを頑張ります(><)

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【参考文献・サイト】
「疾病、傷害及び死因の統計分類」 第11章 消化器系の疾患(K00-K93)
www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/
疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(以下「ICD」と略)」とは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。

カラーアトラス サクシンクト口腔外科学 第2版 学院書院

遺伝の詳細 東京女子医科大学付属 遺伝子医療センター
http://www.twmu.ac.jp/IMG/about-gene/details-gene.html

毛細血管抵抗試験 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%9B%E7%B4%B0%E8%A1%80%E7%AE%A1%E6%8A%B5%E6%8A%97
%E8%A9%A6%E9%A8%93

金沢大学 血液・呼吸器内科
http://www.3nai.jp/