所々文の粗さが見えたりもするが、内容としてはなかなか面白いと思う。
カチャカチャという翅の音が、滋の精神が次第に壊れていく様を表していて、こういう音の使い方は上手い。
ただ、気になったのは隣の住人の彼女である女の子。
男子学生専用で女性の出入り禁止であるマンションで、隣室だからといって女の子の方から声を掛けてくるのは不自然。
普通は彼氏に迷惑を掛ける事を恐れ、極力見つからないようにする筈で、自分から積極的に声を掛けるという事はないのではなかろうか。
ドアを開けた時に偶然出くわしてしまって、「すみません。他の人には黙ってて下さいね」と口止めをするならわかるが。
また、ラストに滋の部屋に入り込んできた女の子の行動も少々不自然。
滋から人形を奪い取って眺め回してから「汚い」と窓の外に放り投げているが、奪い取ってから放り投げる間に人形をつぶさに観察するというワンクッションが入るため、その行動が妙に冷静に見える。
本当に激昂しているのなら、滋から人形を取り上げたその場で即座に床に叩きつけるなり外に放り投げるなりする方が自然な気がする。
その辺にちょっと都合の良さを感じた。



 発想 +1 描写 +1 構成  0 恐怖  0 




怪集/2009 蝶々妹