内容はかなり好み。
出だしの文体も硬質で、期待しながら読み進めたのだが、里奈と並木のさながら夫婦漫才の如きやりとりに膝が砕けた。
並木が「ムラ社会」の持つ集団的陰湿さを語り出した時、そのまま伏線を暗示させる方向に持っていくかと思いきや、里奈がじゃれて来て中断してしまう。
ここではもう少し並木に「ムラ社会」について突っ込んだ話を展開させても良かったと思う。

ストーリー進行上必要なのかも知れないが、里奈が登場する度にドタバタとした印象を受けてしまう。
まるでテレビドラマやアニメのコミカルなシーンを見ているようで、そこまで過度な演出が必要だろうかと思った。
キャラが立ち過ぎていて、里奈の登場場面ばかりが目立って、苛立たしく感じた。
居酒屋の場面をもう少し整理し、その後を含めた里奈の登場場面のドタバタ感を無くした方が、シンプルに伝わりやすかったように思う。
多分、これは好みの問題もあるのかも知れない。
内容自体は興味深かっただけに少々残念。
ただ、短い時間にこれだけのものが書ける力量は大したものだと、素直に凄いと思った。



 発想 +1 描写 -1 構成  0 恐怖  0 長文力に +1 




怪集/2009 シュレーディンガーの蚊帳