最初で「アイツを殺す」と予告し、柿の木の根元を掘ったりしているため、大体の予想がついてしまった。
その行為に及ぶまで隠しておいて、妻の居ぬ間の浮気のように進行した方がまだ良かった。
たとえば、既に愛人に「彼と別れて」と乗り込まれていた妻は、夫が旅行のセッティングをした時点でその計画に気付いていたため、柿の実を割った時、中身を見て舌打ちをし、「爪が甘いわよ。やっぱりダメね、私がいないと」と言いながら柿を平然と始末するとか、意外性がもう一つ欲しかったところ。

この作品を読みながら、遺伝記の「届かぬ報い」を思い出してしまった。
あれは極上のショート作品で、殺した女達が主人公の食べるものの中に身体の一部を忍ばせてくる、という話だった。
「様々な食べ物」と「柿の実」という違いはあれど、殺された女の「執念」を描いたものとして、身体の一部が入っているという点で双方の作品はよく似ている。
それが故にこの作品は分が悪い。
「届かぬ報い」のラストの台詞、「さて。この爪は何番目の女のものだ? 」が、微妙にこの作品のラストと重なるせいかも知れないが。



 発想  0 描写  0 構成 -1 恐怖  0 




怪集/2009 柿の木だけが知っている