この本には2話入っていて、「玩具修理者」がホラー小説短編賞を受賞した短編です。これはただただ気持ちの悪い話で、どうでも良いんですが、二つ目の「酔歩する男」が読みたくてこの本を買ったんです。タイムトラベラーの話だからです。ただ、この登場人物は、タイムトラベルの能力を持っているわけではなく、「時間を認識する能力」「時間を制御する能力」を欠如してしまった病人なんです。同じような話が以前にありましたね。「タイムトラベラーズ・ワイフ」(後に邦題が「君が僕を見つけた日」に変わり、映画にもなりました。これも自由に好きな時に行けるわけではなく、突然跳ばされてしまうんです。しかもどの年・どの日に跳ぶのか分からないんです。

この「酔歩する男」は寝てしまうと全くつながりのない日に跳んでしまうんです。事故で亡くなった女性を助けようとする話ですが、悲しくもあり、ちょっとしたオチもあります。そしてパラレル・ワールドについても考えさせられます。

しかし、「酔歩する男」という題名は分かりにくいですね。以前に「ジャンパー」という映画がありましたね。一瞬で別の国、別の土地にジャンプする男の話で、それがどうした?・・・としか言いようのない話でしたが、この「酔歩する男」こそ「ジャンパー」ですね。

玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも……死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く……。現実なのか妄想なのか。生きているのか死んでいるのか――その狭間に奇妙な世界を紡ぎ上げ、全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。

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