親方の道具箱―組鑿(くみのみ)- | 耕木杜日誌
2019年02月28日

親方の道具箱―組鑿(くみのみ)-

テーマ:工房

久しぶりに親方の道具の話です。

 

毎年年末年始は工房で物つくりと向き合っている親方。

工房を訪ねると新しい鑿箱!!

こっ!これはもしや!!。
早速取材開始です。

 

実は親方以前、これから取り掛かる仕事で

よく切れる少し幅広の丸鑿が必要になり

「清久」さんを直接訪ねて作ってもらったそうです。相手は北山杉。

その鑿がとにかくとても良く切れる。早速組鑿もオーダーし、昨年末に出来上がって来ました。

普通組鑿は10本組のところ親方のはなんと13本組。

 

箱の材料はもちろん楢。

鑿を納めるくぼみもそれぞれの形に合わせ余分な隙間なく掘られています。

この道具の為に丁寧に作った箱だもの。箱と道具の一体感。静かに凛と納まっています。

美しい。これも静謐…

道具もきっと親方の為に働くんだろうな…

 

物思いにふけっている場合ではありません。

この鑿たち、普通の鑿とちょっと様子が違うと気づいた方。

すばらしい。大正解です!

そう、これは親方の特別仕様。

完全オーダーメイドです。

 

まず刃の長さ。

一般的な鑿より1.5cm長く作られています。

 

理由を尋ねると
組鑿は細かい加工の為に小さく作られるが、親方的には鑿を立てた時、

裏側の垂直面は広い方がより安定した定規となり、抜群に使いやすいそうです。

納得。
 

そして柄は細身。

親方の他の鑿と並べると一目瞭然。

よりスマートで粋な姿になりました。
この方が握りやすく、手に刃先の感覚がより伝わる。無駄な力を使わなくて済むそうです。

力強く鑿を握る人には、使いこなすのが難しいまさに親方仕様です。

因みに柄の材料は白樫です。

 

決して安い物ではありません。

還暦を過ぎた今こそ、さらに飛躍する。

自分に喝を入れるべく道具欲を出し仕事に集中する。気合いを入れて新調したそうです。

届いたらやはりすぐに使いたくて、鑿に恥じない箱を!と正月返上で取り組んだと熱い。

 

この鑿は思う様に良く切れて、楢のような硬い木を削っても刃が痛まない。

使っていて楽しい、と親方。

自分と鑿と木で三者面談の様に会話をしながら仕事をしているそうです。

大事に使ってもらって鑿も頑張っているのですね。

まさに職人は道具で仕事をする。

 

現在工房ではエッジチェアー製作の真っ最中。

この出来たてほやほやの椅子も、

座面と脚の接合部分は鉋ではなく、この鑿で仕上げられました。

ものと会話ができると、こういう時はこうすれば良いとすぐに判断でき、

強引な仕事をせずに済むそうです。

 

「親方の道具箱」

これからも少しずつ他の道具も紹介します。

 

次週はお弟子さん達の道具箱です。

お楽しみに!

(珍しく予告)

 

OKAME

 

耕木杜さんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります