米国の弁護士、人権活動家キンバリー・クレンショーは、「本来は異なるものを、あたかも同じであるかのように扱うと、同じであるものに異なる扱いをしたときと同様の不平等が生まれる」と言った。デヴィッド・M・バス著『有害な男性のふるまい』は、性的対立の大部分は、進化の結果形成された根本的な性心理の男女差に由来する。その隠れたルーツを明らかにする。▼性的な不均衡はすべての哺乳類に存在する。だが人間の場合、女性側の投資がより重く期間も長い。その結果、繁殖メカニズムにおける不均衡が増大、男女の性心理の不均衡につながった。また、配偶者防衛への努力が異なる。男性は相手の魅力や若さが、女性は収入やステータスが、ライバルに奪われまいとする努力をレベルアップさせる要素となる。▼『飛ぶのが怖い』の著者、エリカ・ジョングは、「馬鹿な女とつきあう賢い男はよく見るけど、馬鹿な男とつきあう賢い女はめったに見ない」と言った。著者は、男性の性心理にはいくつもの側面がある。男性たちは、女性を欺くこともできるし、誠実な求愛行動を行うこともできる。男女の性心理と違いを知ることが、対立を軽減していくうえでは不可欠だと考える。▼フェミニストの学者は、性的対立には男性の権力が深く関係していることを強調する。だが男性のステータス、リソースへの追及は、一部には女性がそうした男性を好んで選択した結果でもある。この要因を無視することは、対立の軽減を妨げることにつながる。しかし、女性の配偶者選好には男性の支配を弱め、男女平等を促進する影響力があることは間違いない。