戦時下で書かれたお父さんの手紙が伝えたこと残したこと | ことりの木ノート vol.2

ことりの木ノート vol.2

日々のくらしのささやかなできごと 人との交流 大好きな手しごと 絵本 やりたいことへの一歩一歩…
色々な糸を紡いでいつか「ことりの木」というぬくもりのある布を織り上げていけたらと思います。
そんな夢への覚え書きノートです。

甘夏書店さん企画

『ikkAまるごとブックマルシェ

 ふるほんピクニック+

   手描きブックカバー展』


4/28から

ふるほんピクニックも

いつもの2階お座敷ギャラリーに

会場を移しました



手描きブックカバー展と共に

ゆったりまったり

楽しんでいただけます


ことりの木文庫も

お引越しと

絵本と本の補充してきました


春色の絵本とともに


今回は戦争を語る絵本や本も

並べさせていただいています


今回お持ちした本の中からこの2冊




『父さんの手紙はぜんぶおぼえた』

   タミ・シェム=トヴ

 母袋夏生 訳

 岩波書店


第2次大戦のさなかのオランダ


主人公の少女のお父さんは

高名な学者でしたが


ユダヤ人であったために

ナチスの侵攻と共に大学を追われ

隠れ家生活をせざるを得ませんでした


家族それぞれ

名前も出身も変えて 


バラバラに


互いの居所さえわからない状態で。


ある日

村の医者のもとに匿われていた

主人公の少女のもとに


別の村に隠れていた父親から

小冊子のように綴じた手紙が

届きます


そもそも

その手紙が無事に届くことも奇跡


地下抵抗運動の人々の働きによりました


この手紙をとっておくことは危険だと

少女は手紙の内容を

全て覚える決心をします


そして

少女を匿っていた村の医師は


この手紙を処分してしまうにはあまりにも忍びないと


地面深くに穴を掘って

隠し続けていてくれたのです


自分の身の危険も省みず。


この美しい本は

主人公の当時の生活の聞き取りと

父からの手紙とで構成されています


父親の愛情のこもった

ユーモアと遊び心たっぷりのイラストと文章

娘を案じ、見知らぬ人の中で1人暮らす娘が少しでも笑顔になるようにという愛情が溢れています


その父の思いを

しっかりと受け止めた少女と


その親子の愛を強くあたたかく包み込んだ医師と。


何人もの

相手を大切に思う愛情と


奇跡によって

私たちが今手にすることのできる

この本を今

読んでいただけたらと思います




『バーバラへの手紙』

 レオ・メーター 

 上田真而子 訳

 岩波書店


こちらも同じ時代のドイツ

ユダヤ人であるために

数奇な、困難な運命を辿り


一時は

アンネ・フランクの隠れ家の隣に隠れ住んでいたといわれるレオ・メーター


この絵本は

逮捕され連行されたウクライナから

娘に送られた手紙です

なんて魅力的な絵と文字


戦時下…それも

捕虜のような状況で描かれたとは思えません


我が身に置き換えて想像すると

辛く胸が痛み

思わず目を閉じてしまうような状況下にもかかわらず


まるで別世界のことのように

手紙の中の世界は日常で

明るく

楽しく

愛に溢れています


その対比の大きさが

そのまま父の愛だと受け取れます



さらにどちらの本も

巻末の作者や訳者のあとがきが

読みごたえがあり

ひとつの作品を読んだような内容を伝えてくれています



“戦争の真なる英雄

生命を救った人々に”


という言葉が深く心に残っています


『父さんの手紙は…』の献辞です


戦時下

明日の我が身もわからないような状況で

誰もが自分のことで精一杯の時に


見返りやお金のためでなく

良心と宗教心の声に従い 

人を助け、命を救った善意の人々がいたことを


心に刻んでおきたいです




さて・・・


“春色の手描きしおり”も

納品してきました


おくるみちゃんの横ですよ        ↑


ブックカバーに雰囲気を合わせて

作ってみました

5月から

甘夏書店さんの通販も始まります


お楽しみに(o˘◡︎˘o)♪︎


一軒家カフェikkAさんの外観

2階が甘夏書店さん&ギャラリーです


なお

火、水はゴールデンウィーク中も

お休みです


くれぐれも

お間違えなさいませんように!