『銀河乞食軍団 外伝3 キャットントン星系宝船事件』 | 手当たり次第の本棚
2009-07-19 19:23:49

『銀河乞食軍団 外伝3 キャットントン星系宝船事件』

テーマ:日本SF・ファンタジイ
ホラーSF的なテーマとして、ボディスナッチというやつがある。
つまり、なんらかの手段を用いて、いつのまにか、宇宙人が地球人と入れ替わってしまう、というやつな。
ミスター・ジョーンズは、一見なんら変わりがないように見えるのに、どことなく、おかしい。
ある日を境にヘンになってしまった。
それは……!
……物語の手法としても、ホラーの形式が使われる事がよくある。

今回の巻タイトルになっている話は、よくよく考えると、まさしくそれなんだけれど、正体のばれ方が、なんかまぬけだ。
手法は間違いなく、ボディスナッチで、ホラーSFだけれど、語り口は、どちらかというと、人に化けたはいいもののしっぽを出してつかまる民話の狸そのものなのだ!
だいたい、キャットントンという名前からして、なんか民話的な響き。
とっても冷酷らしいんだけど、間が抜けている。
ある意味、空恐ろしさとコミカルが同居しているこういう話は、銀河乞食軍団の本領かもしれない。

次の話、『金平糖錨地、美男子騒動』は、衛星軌道で式を挙げ、宇宙船でハネムーンはどうですか、という結婚式のプロデュースを金平糖錨地が手がける、というところから始まる。
トップから末端の見習いまで、全て女性という金平糖錨地ならではの仕事だろうか。
しかも、その結婚式を発注したお金持ちというのが、真のお金持ち(今時でいう、セレブ)ではなく、いわば成金で、くだけた庶民的な感覚も持っていて、というクラスなのが、いかにもこの物語らしい。
だが、そんな平和でロマンティックなネタだけで終わるわけがなく、なんとその結婚に、ヘンなところからケチが付いてしまうのだ。
夢いっぱいのロマンティックなイメージとオチのギャップがすばらしい。

巻末は『金平糖錨地、天麩羅効果プラスティックス騒動』。
いきなりあたりまえの話だが、宇宙空間では非常の場合のごくごく短時間を別とすれば、肌を宇宙にさらすわけにはいかない。
何がどう悲しかろうと、どう洗練されたデザインだろうと、全身を宇宙服で覆わなくてはならないのだ。
わかってるよ。
わかってますってば。
でも、それって、やっぱり、絵になりにくいじゃないか。
あー、まあ、軍艦とか航空機とか、そういうメカメカしいものの絵が好きな人は別かも。
でも、女の子を出すなら、やっぱそんな無骨なものに包まれていない姿を描きたい!
切実です。
たとえば、高千穂遙は、〈ダーティペア〉で、主人公二人組の美しいボディをさらすために、なかなか面白い言い訳的な説明をつけているのだけれど、ここに登場する天麩羅効果が、そりゃもう素晴らしい。
もちろん、単なるガジェットでしかないけれど、素敵なガジェットは、それだけで価値があるのだ。


『銀河乞食軍団 〈外伝3〉 キャットントン星系宝船事件』 (野田昌弘作)
ハヤカワ文庫JA321
1990年5月15日初版

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