『啓示空間』 | 手当たり次第の本棚
2007-01-23 21:54:40

『啓示空間』

テーマ:海外SF・ファンタジイ
京極本のように分厚いこの物語は、英国のSFである。
なぜに1巻本なのか。せめて上下巻で出してくれないものか……(笑)。
重いです。最終目的地も中性子星だし<関係ない

さて、この物語だが、主人公は二人いる。

一人は、かつて、ある特殊な空間から唯一生還を遂げた男、ダン・シルベステ。
名家の一員であり、とある惑星上で権力を握っていながら、古代の異星種族を研究する考古学者でもある。しかし、彼の研究テーマ、アマランティン族の遺跡を発掘調査しているさなか、突然クーデターが発生し、彼は権力を失ってしまうのだった。
その後、相当の期間を経て、愛する妻を得たシルベステは、なんと結婚式の当日、再びクーデターに遭遇してしまう。(いや、テロリズムというべきか)。
旧敵の手にとらわれた彼は、からくも別の勢力の脅迫により、解放されるが、危険な状況のなか、再び特殊空間へ赴く事となる。

もう一人は、元兵士、アナ・クーリ。
とんだ手違いから、間違った場所に送りこまれた彼女は、生きる為に暗殺ゲームに手を染めるが、謎の女に雇われて、本物の暗殺をするために、辺境の星へ向かう事となる。
しかし、その為にもぐりこんだ宇宙船には、疫病に冒された船長と、砲術システムの中に潜む破壊的な未知の「シミュレーション」、サンスティーラーが待ち受けていたのだった。
もともとの乗組員と、虚々実々のやりとりをしながら、彼女は船の砲術士として、本来の目的である「暗殺」のチャンスを狙う。

しかし、これら全ての背景にあるのは、100万年以上も昔、銀河を充たしていたさまざまな生命と文明が、どのような経緯で滅び、その後知性体が育たなかったのか、という事にまつわる謎なのだ。
タイトルの啓示空間は、まさしくその謎に大きくかかわる「不思議な場所」だ。
銀河と人類と異種知性体の関係を、非常にユニークな視点からとらえており、そこらへんは、SF的にも「あっ」と言わせられるようなものだ。
最終目的地の中性子星も、実に凝った仕掛けがほどこされている。

しかーし。
それなりにアクションの連続だし、仕掛けは壮大なのだが、エンタテイメントというには、いささか冗長だ。
なぜかというと、この長さに対して、物語が起伏に欠けるのだ。
盛り上がりがないわけではないが、それぞれが「小出し」であって、全体の長さに見合うクライマックスが存在しない。
さすがに、終盤はスリリングなシーンの連続だけれども、そこに至るまでの道程が、実に長く感じられてしまうのだ。

SF的には、『カズムシティ』よりこちらの方が気宇壮大だけれど、面白さで比較すると、『カズムシティ』の方がずっと面白い。


アレステア レナルズ, Alastair Reynolds, 中原 尚哉
啓示空間
ハヤカワ文庫SF
2005年10月15日初版

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