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2005-03-30 12:05:35

〈太陽の女王号〉、宇宙に消える

テーマ:海外SF・ファンタジイ
先日、アンドレ・ノートンが亡くなったという報に接した。
ノートンは、上質のエンタテイメントSFを数多く世に送り出して来た人で、私は、〈ビーストマスター〉も〈魔法の世界エストカープ〉も好きだけれども、やはり、原点はなんといっても、〈太陽の女王号〉であった!

松本零士の美麗な表紙と挿絵に飾られたこのシリーズは、2巻までがハヤカワ文庫から刊行された。
これはね。
10代の終わり頃に読むと、むちゃくちゃ、はまるんです( ‥)/

いや、正確に言えば。
第一志望の大学なり、会社なり、それに苦労なく入れた人は、除く(笑)。

なぜなら、この物語は、
苦労して宇宙船乗りの資格を得た主人公が、一流企業に就職できた友人から、憫笑を(あるいは嘲笑を)向けられながら、吹けば飛ぶような個人企業……宇宙船一隻のみで活動し、利益は船員がレベルに応じてその都度わけあうといったような零細なところに、なんとか潜り込む事ができた、ここから始まるのだ。

行く道を全くふさがれたわけではないが、だからこそ、いっそう、挫折感が大きい。
「俺は、こんなところにしか行けないのか」
「俺の努力って、なんだったのだろう?」
冒頭に、こういう失意とか、やるせなさが、いきなり、出てくるわけ。
(どーん!)

想像してみてくれ。
だだっぴろい宇宙港で、黄金に輝くべき未来が、いきなり冴えない、錆び付いたものにかわってしまい、悔しさをこらえている若者を。

10代の終わり頃から20代の前半にかけてであれば、いちどならず、そんな経験をした事って、ないだろうか?
ありますか?
もしあるなら、きっと、主人公にとても感情移入できると思うんだよな。

いわば、「夢」と「現実」の落差。
そのショック。
そこでなんとか踏みこたえようとする若者の姿が、そこにあるのだ。

そして、個人的どん底に立ってしまった主人公が、いかにして大人になるための道を歩んでいくかがポイントなのですが、その過程が、ノートンの本領発揮ともいうべき、輝かしい冒険につながっていくのだ!

どんな、どん底に思えようとも、こういうスゴイ将来がつかめるかもしれない。そんな勇気を、主人公に感情移入した読者に、ノートンは吹き込んでくれるのだ。

そんなアンドレ・ノートン自身が、私にとっては、〈太陽の女王号〉であったと思う。ノートンに深く感謝し、故人の冥福を祈ります。

■未訳分を含めて全巻紹介されているサイト
BROWNのかけら

■現在、Amazon.comで検索可能な、ノートン作品
・太陽の女王号シリーズ(ハヤカワ文庫SF)
大宇宙の墓場
恐怖の疫病宇宙船
・ゼロ・ストーン(ハヤカワ文庫SF)
ゼロ・ストーン
スター・ゲイト
未踏星域をこえて
・ビースト・マスター(ハヤカワ文庫SF)
ビースト・マスター
ビースト・マスター〈2〉雷神の怒り
・魔法の世界エストカープまたはウィッチワールド(創元推理文庫)
魔法の世界エストカープ
魔法の世界の三兄妹
魔法の世界の幻術
魔法の世界の夜明け
魔法の世界の凱歌
・タイム・エージェント(QTブックス)
崩壊した銀河文明―タイム・エージェント・シリーズ 1
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2005-03-29 21:16:58

『ドラッヘンの騎士』 騎士は己を知る者の為に戦う!

テーマ:冒険・アクション
これはネッカー河沿いの小さな町の、町おこしの話。いや、ネッカー河(ハイデルベルク城下を流れる河)沿いには、小さな町とか村が点在しているのだけど。川に沿って走るローカル線でも、いろいろ見る事ができます。
(そのひとつが、エーベルバッハ)。
そして、どの町にも、風情のある教会が真中にあったりする。
物語の舞台となるハンメルブルク(ハンメル-戦鎚-の町)も、そんな町の一つなのだろう。

で、これらの町って、ただ通り過ぎていっても、どんぐりの背比べに見えたのだけど、なにか町おこしをしようという事になって、何を考えたか!
なんと、州の観光局から引き抜いてきたという、敏腕で妙にコワモテの観光局長が、「町の歴史をもとにしたお祭り」を考え出したのだ。
そもそも、町の起源は、かつてその町を支配していた暴虐な領主を、倒した男が新たな支配者になり、ワイン製造に力を入れて町を栄えさせたのだそう。
この、暴虐な領主ドラッヘンと、これを倒した正義の士ハンメルの戦いを祭のメインにしようというわけ。

ところがなんと!
観光局長がハンメル役に抜擢した「騎士」は、ドラッヘンの子孫だったのだ(‥
先祖の事にこだわりはないと言いながら、やはりなんとなくこだわる「騎士」ロルフ。彼と観光局長ガンツが、町の歴史を調べていくと、なぜか影ながら妨害が入ったりする。
これはなんだか事件の匂いが!(笑)
でも、その事件は現代のものではなく、実はドラッヘンとハンメルにさかのぼるものだったのだ(笑)。

中世の歴史ミステリと、それに揺さぶられる現代の「騎士」の心。
物語の本筋は、こんな感じなのだけれど、テーマは、違うところにある。
ロルフは、中世の騎士をの武芸を保存する、いってみれば、文化保存会の一員みたいなもの、なのな。
だから、「ほんとうの中世の騎士」ではない、という事になっている。
だけど、そもそも、「騎士」とは何者だろう。

真の騎士とは、主君のためでもなく、財宝のためでもなく、ただ、「名誉」のために戦う者だ。
だが、その「名誉」が何かは、騎士自身が、探し出さなくてはならないのだ。
従って、この物語のテーマは、
ロルフが真実の騎士になれるかどうか。
ロルフが探しあてた「名誉」とはいかなるものだったのか。
ここにあるのだと思う。

著者: 青池 保子
タイトル: ドラッヘンの騎士
以下、併載
○女王陛下の憂鬱
○カルタゴ幻想
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2005-03-29 10:41:49

『夜間飛行』 30年代、空を行くのは冒険だった

テーマ:古典・文学

真っ青な空を見ると、吸い込まれそうに感じる事って、ないか?
空は、唯一、人間が肉体の力だけで到達する事はできないところだ。
だからこそ、人は、昔から空に憧れるのだろう。

ところで、私は、旅客機でしか空を旅した事がないのだ。
雲の連なりを見たり、地上を見下ろす事はできるけれども、ただ、それだけ。
旅客機の客室は、空を感じる事がほとんどできない場所だと思う。
もっとも、それを言うなら、現代の飛行機は、多かれ少なかれ、同じかもしれない。

各地に配された無線局や航路設備、あるいは軌道上の衛星から送られるいろいろな情報があり、飛行機そのものも、優秀な自動操縦装置がついていたりする。

コクピットが外気に対してオープンであり、局地的な気象情報と、頼りにならない無線や電信しか頼るものがない、初期の飛行機は、それに比べて、どんなであっただろう。
自機の位置を知るには、眼下の地形、あるいは天測によるしかない。
発動機は、高山の頂を越えるのが「やっと」かもしれない。
飛行機が地上を飛び立ったが最後、1分1分が、冒険であっただろうと思う。

1930年代は、ようやく、飛行機が大洋を横断し、新時代を切り開きつつあった時代だった。
二つの世界大戦の、ちょうど狭間にあって、空はまだ、冒険家だけが行くことのできる場所だったのだ。

昼間でも、小さな飛行機で上空に上がれば、空に溶けこんでしまうような気分になったのではないだろうか。
それが夜間であったなら、鼻をつままれてもわからぬような闇の中、飛行士は、ほんとうに孤独であったに違いない。
見下ろし地上だって、現代よりもっとずうっと、暗いのだ。
そして、当然、夜間飛行は最高度の冒険であっただろう。

サン・テグジュペリの『夜間飛行』は、そんな冒険的な飛行を事業として行う、航空郵便事業にたずさわる人々の物語だ。
まさしく、文字通りのベンチャー企業だよな。
ただでさえ危険な夜間飛行を行う郵便飛行機が、ある晩、南米大陸を襲った未曾有の嵐に巻き込まれてしまう。
上空で生存の道を模索する飛行士。
地上では支配人が、監督が、事務員が、そして飛行士の妻が、それぞれ、未帰還の郵便飛行機に思いをいたしつつ、すべきことをなし、あるいはできぬことに焦燥感を抱く。
彼らのいる土地では、夜空はきれいに晴れているのに、郵便飛行機が遠い空で暴風雨にもてあそばれているからだ。

淡々と描かれるそれらの人間模様は、嵐にもてあそばれる飛行機だけでなく、生きようとする人間そのものが、みな、夜間飛行をしているのであるかのように、透明な「哀切さ」を感じさせる。

著者: サン=テグジュペリ, 堀口 大学
タイトル: 夜間飛行
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タイトル: 紅の豚
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2005-03-28 21:09:46

『クレオールの民話』

テーマ:神話・伝説・民話
マルティニーク島って、知ってる?
この名前を聞いて、ピンと来る人は、なんとなく、少なそうな気がする。
じゃあ、カリブ海なら、どうかな?
これならきっと、誰でもイメージできるだろうと思う。

そう、マルティニーク島は、カリブ海に浮かぶフランス領の島。
だから、島ではフランス語と、それにカリブ海のピジン語であるクレオール語が話される。
人種的にも、フランス人と、黒人、そして中国人やアラブ人の血も入り込んだ混血の社会となっているんだそうだ。
また、今はリゾート地としても知られているらしい。

でもこの本におさめられている民話は、黒人が奴隷としてアフリカから連れてこられてきた頃の話。
当時は、黒人はみんな貧しく、おなかをすかしており、ビケと呼ばれる白人の旦那衆は、大きなお屋敷にふんぞりかえって暮らしていた。

日本に全く奴隷制がなかった、などとは言わないけれども、いわゆる「黒人奴隷」の存在は、全く馴染みがないと思うし、奴隷制社会の明確なイメージも、つかみにくいと思う。
ばくぜんと、
「おそろしく大変で、つらい事なのだろうな」
と想像する事が、できるだけ。

民話の中では、おぞけをふるうような飢餓も、貧しさも、「おはなし」というオブラートにくるまれているけれど、それでも、どの物語にも、空腹のイメージがつきまとう。
民話のことなので、ヨーロッパやアジアの、別の国に伝えられているのと同型の民話は、この中にもいくつもあるけれど、たとえば他の国でなら、主人公が金銀財宝をみつけるようなシーンで、マルティニーク島のおはなしでは、
「ありとあらゆる種類の、いろいろなごちそう」
が登場するのだ。財宝らしきものが付け加えられる事もなくはないけど、メインはあくまでも「ごちそう」。

もちろん、お金があれば、食べ物だって買えるはずだけれど。
それ以前に、ダイレクトに、
「おいしいものをたくさん食べたいな」
という欲求が、底流に流れているのだと思う。
そのことに、かえって、奴隷制と、そこから発する人種差別や貧富の差というものの悲惨さを、感じてしまう。

けれども、それが露骨な悲惨さとして目に飛び込んでこないのは、語り部の語り口そのままに、物語が書かれているからなんだろうな。
時には、クレオール語がそのまま写し取られていたりして、言葉のリズムや語りのリズムを感じ取る事ができる。
これは、楽しい!
とても良い感じです( ‥)/
残念ながら、私は、クレオール語を生で聞いた事はない。
でも、読んで感じるリズムは、カリブ海の暖かな波のよせかえしのように思えるのだ。

目次--------------------------------------------------
雨を呼ぶ少年
きれいな娘は桶の下
魔法使いマダム・ケレマン
かぼちゃの種
ちびっこ大将は音楽家
心臓を干からびさせる女
結婚騒動
グラン・グラン 鳥を吐き出せ
腹ペコの親方イェ
富をもたらすアクラ
水平線のちびジャン
ナニ=ロゼットの甘い口
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著者: パトリック シャモワゾー, Patrick Chamoiseau, 吉田 加南子
タイトル: クレオールの民話
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2005-03-28 17:29:24

『GOSICK IV 愚者を代弁せよ』

テーマ:ミステリ
この物語には金髪の美少女がふたり登場する。
ひとりは言わずとしれた「萌え」ヴィクトリカ。
もうひとりは、これまでそれぞれの巻の冒頭にしか登場する事ができなかった、イギリス人留学生アヴリルである(笑)。

なが~い金髪で、運動なんか全然できなさそうな(そして反射神経も鈍そうな)ヴィクトリカに対し、
アヴリルはショートカットで、
活発で、
いや、それどころか、かなーり、おてんばだったりする。

どっちが好きですか?
そうだなー。
私は、アヴリルだな。
肉質でいうと、ブロイラータイプでぷにふわにゃん、のヴィクトリカに対して、アヴリルは地鶏タイプ。
あたりを走り回っているので、全体に引き締まっています(笑)。

さて、ふがいない主人公一弥は、なんとこのふたりの美少女とつきあいがあるわけだけど、これまた果報であることに、ヴィクトリカもアヴリルも、一弥のことが好きらしい。
もっとも、朴念仁の一弥は、当然そんな事には気づいていないのだけれども。
また、アヴリルは前から、ヴィクトリカの存在に興味を持っていたんだよな。
最初は、クラスに出てこない、「怖い噂のある」クラスメートとして。
次は、一弥が足しげく通っている図書館にいる存在として。
ようやくそのヴィクトリカと遭遇する事を得たアヴリル、彼女は人付き合いに関しても非常に活発そうなので、今後、ヴィクトリカの事を気にしないとは、到底思えないのだ。

すると、もしかして、この先は「三角関係」になるのかっ?
……ただし、自覚しているのはアヴリルだけ、という三角関係だろうけど。
人間関係に関する感覚が一番まともなアヴリルが、最も苦労しそうな予感。
どうなるのか楽しみだね。

なんせ今回も、すでにその片鱗が見えているのだ(笑)。
ヴィクトリカが「人見知り」だというのを知るところまで、こぎつけるのに、彼女はさんざか苦労をするのだが、わかった以上、今度は、いかにしてヴィクトリカと仲良くなるかというのが彼女の、課題ってわけだ。

私は、非常に、期待をしています( ‥)/

さて。アヴリルについて語ってしまいました(笑)。
というのは、この巻、それ以外には語るべきものが何も「ない」のだ。
謎解きがほとんど謎解きになっていないし。
ツッコミどころはこれまでの3冊以上に満載だ。

錬金術についてのヴィクトリカの見解は、まあいいとしよう。
(実際の錬金術については、言いたいことはたくさんあるが)。
オカルトがヨーロッパの古い力だという誤解も、まあいいとしよう。
(オカルトの概念がそもそもなにかというのから考えないといかんし)。
プロテスタントとカトリックが争ったのは15世紀だ~、なんて言っているのも、まあいいとしよう。
(1世紀手前にずれてるよ。ルターもカルヴァンも16世紀の人)。
うむ、いいのだ。
きっと、ソヴュールがある「架空のヨーロッパ」での歴史は、そうなってるのだ。

だが……。
今回の主な舞台である時計塔の中が描写されるたび、私は首をひねらざるを得なかった(笑)。
もしかして、作者は、「ぜんまい」と「歯車」を混同してはいないだろうか?
もちろん、機械式の時計には、どちらも使用されているが。
時計塔の中で、人が飛び乗ったり飛び移ったりする事ができる複数の部品としては、どう考えてもぜんまいより歯車の方がふつうだろう。
この事ばかりは、看過できんぞ~(笑)。

著者: 桜庭 一樹
タイトル: GOSICK (4) ゴシック・愚者を代弁せよ 富士見ミステリー文庫
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2005-03-28 11:00:32

『メイプル戦記』 野球シーズンになりました

テーマ:スポーツ

ふと気がつくと、いつのまにか野球シーズンが開幕していた。
昔は大人が観戦するスポーツとしては野球がまさしく「国民的スポーツ」だったわけだけど、サッカーが台頭して人気が徐々に凋落してきたかと思えば、去年は球団合併だとか新球団参入だとか、いろいろな騒ぎがあったよなあ。
今年はどうなるんだろうな?

私は、野球はどうも苦手で(子供の頃から肩が弱いんで送球が不得意なのだ)、観戦するのもあんまり好きではないし、むしろプロ野球に関して言うと、野放図な野球中継延長でその後の映画番組の開始時刻がずるずる、後ろにずれるのを常に「迷惑」に感じているのだが(笑)。
アマチュアの野球はいざしらず、プロ野球が生き残るためには、いろいろと抜本的な対策が必要なんじゃあないかと感じている。

さて、野球に限らず、スポーツをテーマにした紙媒体の作品は、やはり文学より漫画が向いているよなあ、と思うのだ。
なんせ、文章だと、くだくだと書かなきゃいけない事も、絵ならいっぱつで表現できるからだ。
そのせいか、野球をテーマにした小説はそれほどないのに、野球漫画というのは、とっても多いよな。
なかには、野球漫画しか描いていないんじゃないかとすら思える漫画家がいるほどだ。

そんな、数ある野球漫画の中で、一番異色だろうと思うのが、『メイプル戦記』。少女漫画なんだよね。
もちろん、野球漫画といえば少年漫画の方が多いわけなんだけど、少女漫画にも、決して、なかったわけじゃない。
だが。少女漫画といえども、従来の野球漫画は、野球選手が全て「男」であった。

え。少年漫画の中に『野球狂の詩』があるじゃないかって?
あれも、基本的には、選手、男ばっかりだろ。

ところが、この『メイプル戦記』は、そうじゃない。
今まで野球チームのなかった北海道に、新しい球団ができました。
メイプル製菓が設立した新球団は、入団条件がひとつあった!
それは、「女性であること」。
オーナー(女性)が、野球が好きでタカラヅカが好き。そのあたりの発想から、女性だけの球団を作っちゃった、という話なのだ(笑)。

川原泉という漫画家は、(たまにちょっと鼻につくところもあるけれど)目の付け所がユニークな作品を出し続けているのだけれども、野球漫画でも、こんな面白いものを送り出していたというわけ。

基本はコメディなんだけど、野球好きには、随所で
「にや~」
とできるシーンが、ふんだんに盛り込まれていると思う。
いや、野球が好きでなくとも、川原泉テイストで、どんどん読ませちゃうとは思うけどね。

「女だけで何ができる!」
と息巻く、球界の面々の反応が、いちいち、去年の「いろいろな球界の発言」を連想させるものがあり、そういう意味でも笑えるぜ。

もっとも、メイプル側も、
「女にだって!」
男を見返そうと息巻くあまり、おのれを見失って失敗するなんていう筋もちゃんとあり、決して、ウーマンリブ漫画というわけでもない。ここらへん、ほんとにうまいと思う。

もちろん、漫画で、しかもコメディなのだから、この発想をそのまま現実の球界にあてはめられるとは言わないが、ひとつプロ野球を運営する方々も、このくらいソフトな思考に戻って、現状を考え直してみてもらいたいものだ。
え? ソフトボールじゃあるまいし、ソフトにはなれない?
ハード(硬式)だからいいっていう事ばかりじゃあ、ないよね?

いや、いっそ、野球を見る側から、この漫画に登場する「ハクション大魔球」でそんな旧体質を吹き飛ばす事ができたら、いいかな。



著者: 川原泉
タイトル: メイプル戦記 [文庫版:コミックセット]


※ 海外からのコメントスパムが本記事につくようになった為、本記事についてはコメントの受付を停止しています。あしからずご了承下さい。
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2005-03-27 21:50:20

『呪いの都市伝説カシマさんを追う』

テーマ:神話・伝説・民話
カシマレイコ。
知ってる、この名前?
都市伝説で語られる怖い幽霊のひとりなんだけど、あいにく、私は耳にした事がなかった。
遭遇したのは、女神転生シリーズの中での話だった。
そこで、ハタと困ったのだ(笑)。

いや、別にね、ゲームをやるのに困ったわけじゃあないんだ。
たまたま、メガテンを中心に、ゲームに登場するいろんな神々とか魔物とか妖精とか妖怪とか、そういうもののデータベースを作って、サイトで公開しているんだよな。
都市伝説でも、たいていのものなら、聞いた事があるか、読んだことがあるかしていたんだけど、カシマレイコ、こいつだけは初耳だったのだ!

しかも、調べてみると、あちこちで噂系サイトとか、または怪談集みたいやつに掲載されていることはされてるんだ。ところが、内容がどうもマチマチなんだよ。正体がはっきりしない。
なので、ずっと、カシマレイコという名前が、気になっていたのだ。

ところが、最近松山ひろしの都市伝説の本を購入して、その時に、この本も出ている事を発見した。
読んでみてまずびっくりしたのは、著者はじめ、それ意外にも、カシマレイコを謎の存在として追っている人がいた、ということ。

そして、非常に興味深いのは、カシマレイコという都市伝説の正体をつきとめるために、さまざまな方向から、検証をしているということ。
都市伝説を集めた本やサイトはたくさんあるけれども、ひとつの都市伝説にターゲットをしぼって、その正体を究明しようとしているものは、ほとんどないのだ。
なぜって、都市伝説は噂で伝わるものだろ。
口伝えに伝わっていくうちに、どんどんバリエーションができちゃう。
(また、カシマレイコの場合は、とーくーに、それが顕著だとも言える)
集めるのも大変なら、系統立てていくのも大変な作業だし、まして、原点をみつけようとするのは、噂になっている年月が長ければ長いほど、大変になっていくはずだ。
その過程が、とても面白い。

いろいろある都市伝説の本の中で、「ひとつの噂を調べる」という姿勢を示しているこの本は、希有な存在と言える!

著者: 松山 ひろし
タイトル: 呪いの都市伝説 カシマさんを追う
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2005-03-27 17:55:03

『ラヴクラフト全集7』

テーマ:ホラー
『ラヴクラフト全集6』が出てから、何年くらいたったのだろう。まさか今年になって、7巻目が出るとは、夢にも思っていなかった。
そもそも、文庫版でこの手の全集が出るというのが珍しいと思うのだけれど、そういう企画を、長年にわたって消滅させなかった東京創元社は、凄い。

さて、ラヴクラフトといえば、誰でも
「ああ、クトゥルー神話」
と思い浮かべるだろう。
でも、ここにおさめられているのは、クトゥルーものではない短編ばかりだ。
初期短編集と言っても良さそう。
ちなみに、巻末に付された編・訳者の言によると、この全集は本巻をもって完結するのだそうだ。

腰巻には
「文庫版全集、ここに完結 《クトゥルー神話》の創造主が描いたダンセイニ風の掌編をはじめとする13編」
とある。
確かに、ダンセイニや、あるいはC・A・スミスの作品が好きな人は、きっと気に入るはず。
ただし、これも編・訳者の作品解題を見ると、そもそもラヴクラフトのこれら初期短編の方が時代的にはダンセイニにわずかに先行してるんだって。
うおお。並行進化みたいなものだね。
いずれにせよ、その魅力が損なわれることはないわけで、純粋に、手にとって、その幻想的な物語を楽しめば良いのだ。

そうそう、単にクトゥルーの輩が出てこないというだけではないんだな。
クトゥルーものに共通の、かびくさいような、墓場めいた、おぞましいカラーは、ここにはほとんど見られない。

収録された作品の中で、私が特に気に入ったのは、実に夢幻的な、どことなく哀しい『イラノンの探求』と、『緑の草原』。
得体の知れない恐怖感が漂う『月の湿原』と『あの男』。
そして、一風かわった吸血奇譚である『忌み嫌われる家』。
ピグマリュオンテーマのヴァリエーションともいえる『眠りの神』。

幻想譚としては『イラノンの探求』がすばらしいし、
もし自分で吸血鬼もののアンソロジーを編む事があるならば、入れてみたいなあと思うのが『忌み嫌われる家』ということで、この2篇が一番印象に残ったといえるかな。

しかし、こうしてみると、ラヴクラフトって、ほんとに初期の頃から、
夢と、
狂気と、
歴史。
この3つが興味の中心にあったのだな。

それと忘れてはならないポイントが、科学技術。
え。科学技術? って思うかもしれないけど、蝋管式のレコードを出した話があったのを憶えてる人もいるだろう。
今回も、世界大戦(第一次の方な)に使われた最新兵器を登場人物が手配したり、なんてのが出てくるのだ。
ラヴクラフトはSFとみなされるような作品こそ書かなかったけれども、当時の科学技術の産物には、きっと、充分興味を持っていたのだ。

それにしても、なぜかこの本の前半を読んでいる時、ねむくてねむくてねむくてねむくて……。
爆散しているという花粉のせい?
いやいや、もしかすると、眠りの神の呪いだったのかも(^_^;

さて、それでは、短編集なので、目次を出しておきます。
-----------------------------------------------------
サルナスの滅亡
イラノンの探求

北極星
月の湿原
緑の草原
眠りの神
あの男
忌み嫌われる家
霊廟
ファラオとともに幽閉されて
恐ろしい老人
切りの高みの不思議な家
初期作品
夢書簡
資料:断片
-----------------------------------------------------

著者: H・P・ラヴクラフト, 大瀧 啓裕
タイトル: ラヴクラフト全集7  創元推理宇文庫F 2005年1月21日新刊
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2005-03-27 16:22:36

『空中楼閣の住人』 妖精のいる家に住んでみたい?

テーマ:日本SF・ファンタジイ

ロンドンという街は、ことのほか幽霊屋敷がたくさんあって、話によると、幽霊屋敷マップなんてものが出ているほどなんだそうだ。
また、そもそもイギリス諸島は、めちゃくちゃ妖精譚がたくさんある土地でもある。
ということは、幽霊屋敷じゃなく、妖精屋敷みたいなものがあったとしても、全然不思議はない。

波津彬子の作品は、
ちょっとレトロなものが出てきて、
そのなかに粋が生きてて、
幽霊も妖精も儚げなようでいてその実凛々しくて、
ついでに猫が(ぶさいくな猫ですら)いきいきと魅力的で、
そんなところが非常に好きなのだけれども、今回の新刊は、その要素が全て入っているお得な漫画になっている。

ベースは、妖精譚の有名なバリエーション、「取りかえっこ(チェンジリング)」。つまり、きれいな子供が生まれると、妖精が自分たちの仲間とその子をすり替えて、人間の子供を妖精の世界につれてっちゃった。
これなんですな。
でも、妖精の取りかえっこを、こんな形でとりあげた作品なんて、初めて見た。着眼点が非常に斬新。
ついでながら、その取りかえっこを人間の世界に引き戻す方法も、まことに変わっている。

その世界は充分に異質だけれども、決して邪悪ではなく、一種の怖さを含ませながらも、「夢のように」美しいのだ。

舞台はとあるイギリスの屋敷で、そこの庭は、妖精の世界とつながっている。
その家に住む美術商が、どうやって美しい妻とめぐりあったのか、どうやって結婚したのか。
そして、屋敷の中ではどんな不思議な事が起こるのか?
いやもう、最初から、どっぷりと「雰囲気」に浸れます。

ところで、「庭」というのは、ケルトの妖精譚の影響を受けた騎士物語では、妖精界に通じる「場」のひとつだといわれている。
日本の「開かずの間」なら、たいてい幽霊やバケモノが出る事になっているけれども、イギリスの庭は、妖精の世界に通じる事があるわけだ。
そういう、ちょっとマニアックなポイントをおさえている点でも、この漫画は(というより作家が)面白い。

さて、その「庭」でどんな物語だ語られるのかは、ページを開いてのお楽しみ。

著者: 波津 彬子
タイトル: 空中楼閣の住人  2005年4月20日新刊
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2005-03-27 14:48:04

『アジア音楽の世界』

テーマ:音楽・舞踊
明治時代から、日本人の目は一直線に西洋の方を向いていて、教育を通じ、考え方などは非常に西洋的、西洋中心主義的になってしまったらしい。
でも、生活の根幹から伝統的な日本の文化が失われたわけではなくて、昭和の終わり頃から、ようやく、「西洋文化」を消化吸収し、すっかり日本化する事ができたんじゃないかなあ、なんて思うのだ。

その後、東南アジアが人気の旅行先になったり、琉球文化と沖縄が注目されたり、昨今は韓国が人気だったり、今度は改めて、アジアというものに目を向け始めている時代なんだと思う。
そんな中で、いろいろと、「アジア」の民族音楽を聞く機会が、けっこう増えてきたんじゃないかな。

もっとも、一口にアジアといっても、おおざっぱにいって、西アジア、中央アジア、東アジアがあるわけだ。地球儀をぐるっと回してみるとわかるけど、「アジア」は世界の半分弱を漠然と指している。
だいたい、「アジア」という考え方そのものが、ヨーロッパ的だとも言えるんだけど(笑)。

ともあれ、その「アジア」の音楽について、大学の教養コースレベルの講義をしているのが、『アジア音楽の世界』。
従って、今までまったくアジア音楽に興味のなかった人には、「わけのわからない言葉」が多すぎると思われる。
でも、多少なりとも興味のある人には、絶対に面白いよ。

音楽とは、人の「言語」と、それから「生活のリズム」から発生したものである事が、まず最初に述べられる。
たとえば、日本の文化が腰の動きを中心にした二拍子系のリズムであるのに対して、韓国・朝鮮の文化が肩の動きを中心にした三拍子系のリズムだとか。
農耕民族が偶数のリズムで動き、牧畜民族が奇数のリズムで動くのは、なぜなのか、とか。
日本から朝鮮半島、モンゴル、そしてペルシアにまで存在する、無拍子系の「長唄」について、とか。

広い広いアジアに存在する様々な文化の、共通点と差異が、音楽の世界を通じて、語られているのだ。

著者: 桜井 哲男
タイトル: アジア音楽の世界
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