「精神健康の基準について」より
- 分裂(splitting)する能力、そして分裂にある程度耐えうる能力
- 両義性(多義性)に耐える能力
- 二重拘束への耐性を持つこと
- 可逆的に退行できる能力
- 問題を局地化できる能力
- 即座に解決を求めないでおれる能力、未解決のまま保持できる能力
- 一般に嫌なことができる能力、不快にある程度耐える能力
- 一人でいられる能力、二人でいられる能力
- 秘密を話さないで持ちこたえる能力、嘘をつく能力
- いい加減で手を打つ能力、意地にならない能力、いろいろな角度からものを見る能力、若干の欲求不満に耐える能力
- しなければならないという気持ちに対抗できる能力
- 現実対処の方法を複数持ち合わせている
- 徴候性へのある程度の感受性を持つ能力、対人関係を読む能力
- 予感や余韻を感受する能力
- 現実処理能力を使い切らない能力
13.徴候性へのある程度の感受性を持つ能力、対人関係を読む能力
徴候性へのある程度の感受性を持つ能力、これは、身体感覚、特に疲労感、余裕感、あせり感、季節感、その他の一般感覚の感受性を持つことと同じである。それらは徴候として現れるからである。
なお、すべての能力は人間においては対人関係化するので、対人関係を読む能力は徴候性を感受する能力と関係している。今、相手が親密性を求めているかいないかがわからないと、対人関係で成功する率が少ない。
対人関係は、ありがたがられる世話とうるさがられるおせっかいとが紙一重の差であるように、徴候性の解読に依存している。これは相手の感情、希望、拒絶などを推察する能力にもなる。
ちょっとした変化や、微妙なサインにも、
せんさいに、敏感に気づけるかどうか。
これは、余裕感というか、気持ちのゆとりが持てているかが、ストレートに影響するところではないでしょうか。
相手の気持ちをおもいやるためにも、
自分のことで一杯いっぱいになっていては難しくなります。
自分がいま、疲れているかどうかを見極める徴候として、
「季節感」に気づけるかどうかを指標にするのもいいですよね。
冬ならば、冷え込んだ朝の空気や、霜柱、空模様や、店の装いの変化など。
枕草子で、「春はあけぼの」「夏は夜」「秋は夕暮れ」「冬はつとめて」とありますが、
そういった季節感への感性が、心の豊かさとして重んじられていたのかもしれません。