勤労奉仕 ~後編~

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勤労奉仕の3日目は赤坂御用地

7時半に集合

雨は朝には上がるという天気予報でしたが、あいにくの雨

 

去年、雨が降った際には

待機後、作業ができず帰宅になったとのこと

今回も帰宅になるのだろうと予想しました。

 

ところが「出発します!!」との号令がかかり

雨の中、整列して動き出します。

ここでの奉仕活動は笹の運び出し作業と落ち葉履き

 

すでに担当の方が切り出してあった分の笹は

あっという間に運び出しましたが

急斜面の崖の中腹に群生する笹や不要なものを新たに切り出し

運び出すことになりました。

雨で靴が土にとられる中、笹を切り

崖に並んでバケツリレーで運びます。

いつしか雨のことも斜面のことも関係なく

2百人近い人間が心を合わせ、どんどん運んでいきました。

終わってみれば靴はドロドロ、洋服も泥だらけになっていましたが

それすら気が付かないほど、夢中で作業を行いました。

その後大量の落ち葉も履き集め、廃棄する作業も黙々とこなします。

 

午後は担当の方の説明を伺いながらご用地を散策

「青山一丁目」というまさに大都会のど真ん中に

こんなに広大な原生林、青々とした美しい庭園

大きな池や風情のある橋などが存在してることに感動を覚えます。

塀を超えればあの国道246、信じられない世界です。

 

まだまだ鮮やかな色を残す紅葉や銀杏は

広大な緑の芝生の上にふかふかの錦のじゅうたんを作り

小雨の恵みを受けた木々たちはみずみずしく

様々な種類の大樹が太く長い枝を伸ばした枝先から

湿って香り高い緑の匂いを放ちます。

 

緑と芝生の織り成す楽園がここに在りました。

それはそれは美しい庭園です。

 

そして写真撮影

秋に園遊会が行われる三笠山での記念写真です。

順番を待つ間贅沢にも芝生に寝ころび

雨上がりの大きな空を眺めることができました。

 

思えばどのくらいこんな風に外で寝ころんでいなかったろう…。

 

水はけのよい芝生の心地よさ

大地のパワーを背中から全身に感じ

地球と一体化する感覚を感じつつ

都会でありながらビルの見えない大きな空を眺めます。

 

元・紀州徳川家の上屋敷

どれだけの時代を経て

どれだけの人がここに立ち

どんな思いで空を眺めてきたのだろう。

 

受け継がれてきた大地

時代の波に翻弄されながら

時々の人々の心は何を目指したのだろう。

そんなことが心に浮かびました。

 

写真撮影の後は皇太子殿下ご会釈

東宮御所に入り、昨日同様に隊列を組み

各グループの団長が前に立って

皇太子殿下の御到着を待ちます。

 

皇太子殿下が部屋に入られると

天皇陛下と皇后陛下の時とはちがう波動で

やはりその場の空気が変わります。

涼やかで柔らかい佇まい、お優しいオーラの中に

強いご意志も感じました。

「お元気でお過ごしください」というお言葉に

労働の疲れが消えていくのを感じます。

 

 

そして、いよいよ最終日

7時半集合。

相変わらず寒い中、もうご会釈はありませんが

参加者の心が「最終日、心を尽くそう」と

一つになっていることを感じます。

 

最終日は宮中三殿に連れて行っていただきました。

宮中三殿とは

賢所(宮中祭祀が行われる天照大御神様をお祀りしているところ)

皇霊殿(皇霊祭が行われる歴代天皇・皇族の霊が祀られているところ)

神殿(天つ神、国つ神、国中の神様がお祀りされているところです。)

のことを言います。

 

宮中三殿にさしかかるあたりから曇天だった雲が切れ

賢所あたりでは陽がさして、出来過ぎた感がありましたが

普段何も霊的なものを感じることのない私でも

「まっすぐ空に(天に)通じている」ことを感じながら

最敬礼をさせていただきました。

 

生物学研究所では陛下御自身がお田植になる田んぼにも

入らせていただきました。

新嘗祭の時に使われるお米を育てる田んぼです。

休憩の時にはここでも芝生に寝ころび、悠久の時を想います。

 

そして大道庭園には盆栽作品が500鉢以上

樹齢600年を超える徳川家光が愛蔵したという盆栽

「五葉松 三代将軍」を始めそれは見事なものばかり

三代将軍家光公が愛でた松が、目の前にある不思議

 

午後にはたまたま開催されていた宮内庁の文化祭も拝見でき

信任状捧呈式の馬車列を目の前で見られるという

幸運にも恵まれました。

 

皇居のすべての建築物にはシンプルさゆえの美を感じます。

各国の国賓をお迎えし、おもてなしする場所でもありますから

壮麗で華やかで重厚な建物でも不思議ではないのに

一切無駄をそぎ落としたシンプルな中に

最高峰の技術を駆使した質の高い建築美

あらゆる風景がどの角度からも

美しく見える工夫がされています。

 

午後は乾通りの両脇の落ち葉を

参加者全員、必死に掃き清めました。

 

 

終わってみて一番に感じたことは

清々しさと幸福感

あらためて労働の喜びとは何かを

心でなく体で味わう機会であったこと

 

西洋では神の意に逆らい

禁断の実を食べてしまったが故の罰として労働がありますが

日本で「はたらく」ということは

「傍(はた)を楽(らく)にする」こと

自分の為でなく誰かのために働くことが目的であり

傍を楽にすると働くことが喜びに変わるのだという事

 

 

天皇陛下の為とか、日本人だからという理由で

皇居の清掃が楽しかったわけではなく

単純に「誰かのために」体を動かすことの喜びが

心にも体にも満ち溢れた4日間でした。

 

西洋の文明が入ってくる前

ハリスが下田近郊の漁村に着いた時の日本人の印象は

「日本人は丁寧であり、不潔さというものが少しもない」

と言いました。

 

幕末から明治時代の初めにかけて日本を訪れた外国人は一様に

日本の美しさと清潔さ、人々の幸福そうな暮らしぶりと

日本人の優しく誠実な人柄に驚嘆したそうです。

 

質素でも、誰もが幸福そうに暮らしていたという事は

誰かのために

守りたい大切なことのために

自分が身を挺して働くことを

楽しんでいたからなのではないでしょうか。

 

シンプルに暮らす幸せ

心の断捨離

ほんの少しできたように思います。