卒業~現実~

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家に帰って来た。

やっと家に帰って来た娘。

 

帰って来た当初は、

 

「やっぱり家が一番!」

 

と言っていた娘。

日が経つごとに以前の生活に戻る。

 

毎日毎日同じことの繰り返し。

学校にはもちろん行っていない。

行けない。

 

人に会うのが苦手。

人ごみに入るのが苦手。

何もしたくない。

 

ただ単純に

 

人に会いたくない

合わせたくない

 

だけではない。

 

会いたいけど会えない

会いたくない人がいる

会って何を話したらいいかわからない

 

中傷・罵声から逃げているようにも見える。

 

自分が何をしたかは理解している。

それも、人がやってはいけないことというのは十分承知している。

しているからこそ、どう思われているかというのが気になる。

でも聞けない。

聞いたところで変われない自分。

 

変わるためにはどうする?

変わったところで何をする?

 

考えても答えは出ない。

ただ、『変わる』ということに恐怖が付きまとう。

毎日が怖い。

対処出来なかった時に出てくる逃げ。

そこには『死ぬこと』『いなくなること』しか考えつかない。

そこには恐怖しかない。

仕方なく考えることから遠ざかり、それを苦手と言うようになる。

 

彼女の中で『苦手』とするものは、『恐怖』

 

現実は、彼女の中では戦場。

世間との闘い。

皆が普通にやっていることが出来ない。

今まで出来ていたことが、それが本当にいいことなのかわからない。

 

朝起きる事。

夜眠ること。

薬を飲むこと。

服を着る事。

歯を磨くこと。

片付ける事。

話をすること。

 

日常の全てが当たり前すぎて、その当たり前全てが恐怖。

 

朝目覚める事。(目が覚めてよかったのか怖い)

夜眠ること。(眠れない→眠ると死んでいるかもという恐怖が襲う)

薬を飲むこと。(だるさ・何とも言えない眠気・吐き気が襲う)

服を着る事。(起きていなくてはいけない概念)

歯を磨くこと。(きれいにした場所に繁殖するバイキンがイメージされ怖い)

片付ける事。(神経質な自分が出てくる・見えるのが怖い)

話をすること。(言葉が出てこない・返し方がわからなく怖い)

 

目に見えない恐怖におののく自分は、常に何かに襲われている恐怖が

付きまとう。

 

怯えにさいなまれる。

 

退院してきた時に感じていた違和感。

表立って喜べない現実がここにある。

 

種類は違っても同じ恐怖を感じている。

 

お互い手探りの毎日。

 

この毎日は、私の戦場であり闘い。

大げさかもしれない。

でも、この緊張感を解くタイミングひとつ間違えるだけで、また娘はいなくなるかもしれない。

 

話し方

接し方

 

全てが以前とは違う。

 

とまどいが恐怖になり、行動が制限される。

こちらの不安を感じさせることもタブー。

かといって、無理な笑顔やテンションは、もっと彼女を不安にさせる。

迷っていること自体が間違い。

 

退院したからと手放しに喜べない現実。

 

支える

助ける

力になる

 

言葉ではいくらでも言える

でも、これらの言葉が一番の負担になる

 

気を使っている親

気を使わせている自分

 

娘の気持ちを考えるとどうしたらいいかわからなく、

かといって自分の気持ちを優先するわけにもいかない。

 

吹っ切るといいのか

こだわりを持たない

考えない

自分は自分

 

結局、全て良くなることを願い、普通の生活を望み委ねている自分がここにいる。

 

気持ちが見えないということ。

見えないから見ようとする。

それは彼女にとっては探り。

探っているわけではない。

でも、そう捉える娘。

そして、お互い見せない自分を作っていく。

 

「どうせわからないでしょ」

「わかってくれないでしょ」

 

そうじゃないといっても通じない。

 

それは現実を受け入れたくても自動で発動する「拒否」センサー。

そのセンサーを取り除きたい私。

 

見てみない振りをする世間。

全て敵に見える。

 

口をつぐみ無言でバスを待つ人たち。

何もしていないのに常に見られている感じ。

 

生きづらい現実。

 

互いに目を向けないといけない現実が、娘の命を削る。

毎日毎日、それは止まることなく娘の精神を目に見えない形で削ぐ。

 

早く止めないといけないのは勿論のこと。

でも、その手段が見つからない。

手を変え品を変えることも出来ない。

 

本気の『どうしたらいい』が毎日頭をかすめる。

 

結果、行きつく答えは、

 

「退院しない方が良かったのか。。。」

 

娘が苦しんでいるのに助けられない。

現実から逃げたい私自身がここにいる。

娘同様、怯えている自分がここにいる。

 

この答えが、今後、新たな恐怖を感じさせる序章に過ぎないことを

私はまだ知らない。

 

続く...