卒業~入院⑨本番~

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レッスンはいつも通り。

何事も無かったかのように済む。

 

友達との会話もレッスンの取り組みも何も変わらない。

 

ただ、笑顔だけは寂し気に見えた。

 

先生たちにいつ話そうか。

今日は娘がいるからやめようか。

それとも娘が目の前にいる時に話した方がいいのか。

 

結局、今日はやめる。

でもこのまま内緒には出来ない。

 

服で隠してはいるが、手や足は包帯だらけ。

いつまでも隠しておけない。

まして、7月の暑い季節。

1人長袖の娘。

違和感を感じないことはない。

でも、誰一人娘の変化には関心がない。

だからこの場ににはいられる。

来ることが出来る。

そんな場がひとつでもあってよかった。

 

帰りの車の中、お腹が空いたという娘に、大好きなマックを買う。

 

嬉しそうに食べる娘。

いつもより楽しそうに話をする。

 

そんな娘を見て、不憫に思う。

 

情けなのか。

自分が情けないのか。

 

そんな気持ちを払拭するように声をかける。

 

「このまま家に帰ろうか?」

 

問いかけた時の娘の顔を見る。

どこか期待している自分。

帰りたいと言うと思っていた。

きっとそうだと不安を隠す様に笑顔で問いかける。

 

でも娘の返答は違った。

 

「家に帰ったらきっと私、死ぬと思う。

ママの優しさはわかるけど、私病気なんだ。

私が死んでも世の中は変わらないという気持ちは死んでない。

私一人がいなくなっても、何も変わらない。

そんな気持ちもわかろうとしない世の中やママの側にいたら、

私、今度はホントに死ぬと思う。

そうなることが怖いから、私は病院に帰る。

今日レッスンに行ってよくわかった。

私は結局ひとりぼっちなんだってわかったよ。

笑顔で話してくる人に笑顔で答えるだけ。

自分の気持ちと裏腹に接してるだけ。

感情なんてないよ。

辛いだけだから。」

 

泣きそうよりもショックだった。

 

これからが本番なんだと思った。

 

続く...