卒業~入院⑥変化~

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娘に会いに行く。

 

昨日の事が遠い過去になってる。

認めたくない自分。

 

昨日とは打って変わり、賑やかな病院。

 

とても精神的に病んでいる方たちがいるとは思えない清々しさ漂う待合室。

ホテルのラウンジにも似た環境。

そこを通り過ぎ奥の廊下に向かう。

そこからは一変して、静かな空間が奥に長く続く。

 

娘に会える喜びがない。

恐怖しかない。

 

携帯や外界との接点の取れる物は一切持つことが出来ない。

病院生活の中で症状が改善されたと思われる者に対して、時間を決めて持つことが出来る。

 

そんな状況なので、今まで携帯を手離すこともそんなことになるなんて考えたこともないだろう娘のことを思い、

連絡が取れなくて不安だろうとテレホンカードを買う。

ジュースもカードで買うらしく、ジュース購入カードも買う。

 

今まで親らしいことをしてきたこともない。

何を持っていけばいいのかすらわからない。

それでも手ぶらで行くことが罪悪感で商品を眺める。

 

何のジュースが好きなのか。

一緒にお菓子を食べながら話なんてしたことはない。

何のお菓子が好きなのか知らない。

 

知っていると思っていた娘が、より遠く感じられる。

 

お菓子ひとつとジュースを買い、届ける感覚。

娘に会いに行くのに、知り合いの子供にお菓子を届けに向かう気分。

 

教えられた通りにインターホンを押し、ドアを開けてもらう。

 

「許可証を見せてください。」

 

病棟に入るには、許可証が必要。

そんなこと誰も教えてくれなかった。

とりあえず今日は入れてくれた。

 

面会室に通され、娘を待つ。

 

部屋に入って来た娘は、早速抱き着いてきた。

膝の上に座り、甘えてくる。

 

お菓子を渡すと喜ぶ。

三歳児のようだった。

 

この子は誰の手も借りずに、自分が一番良かった時期に戻った。

本能なのか演技なのか...

 

4歳から、構い遊ぶことがなかったことを思い出した。

私の子育ては、彼女の中では3歳で終わっていた。

 

甘えたかったんだね。。。

 

彼女の変化を見逃してはならない。

ここからが私の子育てで、自分も一緒に成長する時だと思えた。

 

人は経験から物事を学ぶ。

子供の成長と一緒に自分も成長していなければならない。

親という器を盾に、盾越しに子供を見ているフリをして全てを拒否していた。

彼女の全てをブロックし、受け入れることを拒否していた。

 

お菓子ひとつも、「おいしいね~。ママにもひとつあげるね!」といってくれる娘。

まるでおままごとのように、楽しそうに話す。

 

(優しい。。。)

 

人の気持ちを汲み取り、優しさで接する。

自分だけでなく一緒に楽しさや美味しさを共有する。

保育園や今までの経験や色々な人の中で教えられ身に付いた優しさ。

 

そんな当たり前のことすら教えていなかった気がする。

 

娘からもらったお菓子が宝物のように思える。

 

(この子はちゃんと優しい子に育ってた。)

 

全てを受け入れよう。

今までもこれからも。

そして今を。

 

彼女は子供ではなく、我が娘でありながら人として生きようとしている。

自ら人生のリセットをかけた。

大人も子供もない。

誰しも一人の人間なんだ。

 

私を選んで来てくれた子。

この子は私の知らない世界を教えてくれるためにこの世に降りて来てくれた子。

 

今目の前にいる子を見よう。

育てよう。

そして一緒に生きよう。

生きて行こう。

 

不安だと感じていたのは自分だった。

全てを娘のせいにして、救われたかったのは自分だった。

 

そう思えた。

 

続く...