こんにちは、柚木です。
本日はフレズヴェルクの設計を担当した芦沢勝氏にコメントいただきました!
前作グライフェンで、「デザインの立体へのトレース」と「フレームの内臓」という板挟みに苦悩した
芦沢氏ですが、今回はその経験を活かし、スムーズに進んだかと思いきや……!?
皆さんお久しぶりです!
壽屋プラキットCAD設計担当の芦沢です。
前回のグライフェンに続き、今回はFA初の変形モデル「フレズヴェルク」の開発裏話という名の愚痴(笑)を
披露させていただきます。
【ココがつらかった!フレズヴェルクの変形機構】
設計時に苦労したのはズバリ『変形機構』!
飛行機、戦車、変形後の形状は数あれど、変形キットの設計を手掛けるにあたり、この項目に関して悩まされなかったことはありません。
一般的なプラキットですと、ひじや股間、ひざなどの関節の設計に臨む際は、ダイナミックなポージングを
取れるよう、『出来るだけ可動域を増やす』という設計方針を持って進めて行きます。
ただ、変形キットの際は上記の可動域確保に加え、
●変形の為の『適切な可動角度の選定』
●『それに組み付いてくるパーツの位置出し』
という項目が追加されます。
フレズヴェルクに関して言うと、脚のモモユニットの変形角度と、それに伴うサイドアーマーの角度と位置、などが
挙げられます。
↑腰~脚~サイドアーマーは、それぞれの軸位置が複雑に絡み合っているのです…
脚部のビジュアルをかっこよく見せるために、まず第一に特徴となっているモモユニットの変形角度を決めます。
するとユニットに組み付くサイドアーマーは、ユニットの変形角度に合わせて上下・左右の位置が確定します。
ただこのサイドアーマー、変形後には腰の後部ブレードユニットと連結する機構になっている為、今度は
ブレードユニットの可動角や可動軸位置を調整することになります。
各パーツが綺麗な形で組み付くよう、機首にあたるブレードユニットの形状自体にも手を加えつつ、
『ここだ!』という位置がビシっ決まった矢先、実は、ブレードユニット基部がボディの先端パーツとも接続するよう
になっていることが発覚し、今度はこれに対応できるよう腰全体フレームの角度を調整することに。
すると変形後の腰位置そのものが変わる為、腰フレームに組み付いている脚全体の位置も変わり、
そうなるとモモの位置が変わり、モモの位置が変わるとサイドアーマーが…と見事に振出しに戻り…
さながら未来永劫に続くかのような設計の無限ループに陥るわけです……
こうなった場合、各軸位置の見直しを行い最終調整していくのですが、FAの場合は元フレームが存在するため、
フレームに関わる軸位置は修正できません。
フレームの軸位置が動かせない以上、今度はフレームの軸位置基準で全てのユニットの軸位置の再設計を
行っていかなければならず、場合によっては形状そのものの変更も余儀なくされます。
この様に、たとえ単純な変形機構であっても、「変形前」と「変形後」の形状を両立させなければならない
変形キットの設計は、常に脳内メモリがオーバーヒート状態になります…(ホント大変…)
【ココに注目!フレズヴェルクの変形機構】
…と、度重なる調整に悩まされたフレズヴェルクですが、それは翻って本キット最大の見所ともなっております!
特に脚の変形ギミックに注目していただきたい!
ついさっきも挙げましたサイドアーマーの位置出しもそうですが、機体をデザインされた木下様との数回に及ぶ
打ち合わせの末に採用した、『モモユニット内のリンク機構』!!!これは是非ご覧あれ。
外観には見えない非常に地味ぃ~な機構ですが、これがあることで変形後の全体のシルエット、特に厚みの
調整に大きく貢献しています。
【最後に】
何度も言うようでスミマセンが、フレズヴェルクはFA初の変形キット!組みあげた後も他のパーツとの外装換装で
何度も遊べるFAシリーズに、変形という新たな遊び方を提案するキットとなっています。
人型から大きく離れたシルエットになることにより、今までのFAと並べて飾った際には更なる奥行きを
もたらしてくれるハズ!
芦沢的には、是非スティレット、ラピエールらとの空中戦を楽しんでいただきたく思います。
もちろん、FAならではの3mm軸も健在。MSGシリーズとの連携もバッチリですので、今まで通りのオリジナルFA
作成に加え、オリジナル飛行型FAにも挑戦してみてください!
それではまた。
芦沢



