20代前半に日本国内を歩いて旅をした。
その旅の途中に出会い、今もつきあいのある友人が何人かいる。
青森県の野辺地のあたりを歩いていた時に私と同様に大きなリュックを背負って歩いている同世代の男と遭遇しその夜テントを並べて一緒にキャンプをしたのだ。
井野場君という。
その数日後、今度は最北端の大間崎で再度会い、さらに名古屋を歩いている時にわざわざ来てくれて数日旅を共にした。
(その時の写真。右が井野場君)
旅後も何度かであるが顔を合わせている。
2年ほど前にも福島に遊びに来てくれてうちの家族も交えて食事をしたものだ。
ご本人は結婚して現在はご家族と千葉県に住んでおり、毎年年賀状のやりとりもあって、なんとなく彼の家族の名前は頭の片隅に入っていた。
話変わって、うちの長男が今年入学した仙台の学校で登山のサークルに入った。
夏休みに長期で北アルプスを本格的に登るそうで、大きなリュックで準備をしていたのを見て
「どういうルートを行くのか分かる企画書みたいのはないのか?」
と声をかけ見せてもらった。
ページをめくって全体予定に目を通した後、中にあった名簿にあったある名前のところで目が留まった。
あれ、「井野場」。
そして続いた名前が、年賀状でよく見た井野場君の息子さんと同じ名前だったのでなんでびっくり。
長男に聞いたところ、1年上の先輩であるその方は当然知っているが、私の知っている井野場君との関係は分かっているはずもなく、私はすぐにその井野場君に電話したのだ。
「久しぶり!元気」
「あれあれ、どうしました?」
「井野場君の息子さんって、もしかして仙台の学校に行ってる?」
「え?そうだけど何で?」
「あさってから北アルプスに登るんじゃない?」
「ええ?そうだけどなんで??ええ??」
やっぱりそうだ。
「うちの息子、同じサークルの後輩みたい」
「げーーーーー!!びっくりーーー」
四半世紀前に徒歩旅行中に偶然出会った2人の息子が、時を経てそれぞれの住まいとは異なる地域の同じ学校に入り、同じサークルに入ってすでに一緒に山に登っていたとは。
こういうの、確率でいえばどれくらいなものだろうか。