新聞で、野生のニホンザルを集落から追い払う「モンキードッグ」についての記事を読んだ。
そのモンキードッグとして活躍する一匹の犬「ブチ」の人生は波乱に富んでいる。
記事からそのあらましを紹介すると。
山深い三重・奈良県境の里。
ブチは野良犬だった。
家畜の鶏を襲うなど、村人にとっては問題児だった。ただ警戒心が強く、機転が利き、素早いブチを保健所も捕まえることができない。
それは写真付きで回覧板が回るほどだったという。
ブチの転機は、そこに住む63歳の女性との出会い。
人を見ると素早く、逃げ出すブチが、その女性だけには寄っていった。
その女性はブチを家に連れて帰って飼うことにした。
ブチはそれでも人に慣れない。
今まで人から散々終われた経験がそうさせているのだ。
そんなとき、その女性はモンキードッグの取り組みを知る。
「訓練士に指導して貰うと少しはなつくかも」
その女性はモンキードッグの取り組みに応募する。
ブチは訓練の褒美となる餌を、人の手からは決して口にせず、訓練は困難を極める。
忍耐強い訓練が、ブチと訓練士との間で、続く。
毎日、一歩ずつ距離を縮め、半年後、ブチは人の愛情を信じる犬になった。
猿を追い払い、しかし命を奪ったり、傷つけたりすることのないよう共存への「使命」を託されたのがモンキードッグ。
ブチは訓練の末、その18頭の内の1頭に認定された。
ブチら18頭の出勤回数はこれまで、52回。
自治体によると、認定犬を買う集落には、猿が姿を見せなくなったと言う。
ブチの持つすばしっこさと機転がモンキードッグとして活かされているに違いないと思った。
ミルトン・エリクソンの逸話で、ジョーというならず者がある女性との出会いをきっかけに変わっていくという逸話がある。それを思い出さされた。
<メタファー>
転機
一つの出会いが人を変える
粘り強い訓練が行動を変える
やっかいものが役に立つ存在へ
強みを活かす
参考:日経新聞 12月4日「愛惜しまず、里の番犬」
「ミルトンエリクソンの心理療法セミナー」