民主党の「脱原発」に原発全廃は含まれるのか | 実務翻訳のできるアニオタになろう

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 先日、将来の原発比率をめぐる議論について記事を書きましたが、昨日民主党が「脱原発依存」を検討する委員会を立ち上げたということです。

 この委員会でどのような結論が出そうかを予測するため、重要な利害関係者とその意見を整理してみたいと思います。

 まず、委員会の幹部は仙谷由人氏、前原誠司氏、菅直人氏の3人です。このうち仙谷氏は原発全廃に否定的な立場です。前原氏は将来的な原発全廃を目標とすることは否定しないものの、全廃までに要する期間はできるだけ早く取りたいという立場です。菅氏は原発全廃を主張していますが、氏のこれまでの発言をもとにすると菅氏が望ましいと考える原発全廃時期は2025年だと考えられます。

 党内では原発全廃を目指す議員グループが積極的に活動していますが、そのような議員グループが示している原発全廃時期も、おおむね2025年です。当然党内には原発を維持すべきだという議員や、全廃には賛成だがもっと時間をかけるべきだという議員もいますので、おそらく「2025年に原発全廃」が民主党の打ち出す脱原発目標の最大値になるでしょう。

 一方党外で民主党の政策に影響を与えうる関係者については、電力事業者の団体である電事連が2030年に少なくとも20-25%の原発比率が維持されることが望ましいという声明を出しています。経団連はこれより多少穏健ではあっても、原発維持の立場であるので、2030年の原発比率15%以上が望ましいという立場だと推測されます。民主党の最大の支持団体である連合については、加盟組合の中に電事連に近い立場を取る組合から早期の脱原発を目指すべきだという組合までが混在していますので、加盟組合の一体性を保つためには、高すぎる原発比率が目標とされてもいけませんし、原発全廃が目標とされることも好ましくありません。

 次に政府と与党民主党の関係で言えば、政府側も野田首相が「脱原発依存」を打ち出していますが、政府としては経済団体や連合の意見から大きく離れた立場を取ることは政権の後ろ盾を失うことになり好ましくありません。原発比率を減らしつつ、経済団体や連合の意見との隔たりを最小にしたいというのが政府側の立場でしょう。

 最後に有権者サイドでは、世論調査では「原発を段階的に減らし、将来的に全廃すべき」という意見が多数を占めています。さらに、早期の原発全廃を求める脱原発団体や、即時の原発全廃を求める反原発団体も活動しています。

 これら党内外の状況を考慮すると、党内の脱原発積極派が推す2025年に原発全廃という選択肢は党内での支持が十分に広がらず、党の方針は(1)原発全廃を目標として明記せず、代わりに原発の新設と40年を超える稼働を行わない方針を打ち出す。(2)将来的な原発全廃を目標とするが、原発を維持する期間をできるだけ長く取るのいずれかに収斂するでしょう。

 (1)の方針を選択した場合、2030年の原発比率は10%程度か、それをやや下回るレベルになりますが、全廃はされません。(2)の方針を選択した場合には原発全廃までの期間をどれほど長く取れるかが問題となりますが、昨日パブリックコメントが締め切られた「エネルギーに関する選択肢」に示された2030年という時期が目安として機能し、2030年よりも先の時期を目標として設定すると、たとえ将来的な全廃を目標としていても実際以上に原発推進として認識されてしまうので、2030年に近い時期、2030年代前半がリミットになると思います。しかし経済界への配慮から2030年代半ばまでという表現が採用される可能性もあります。

 この(1)と(2)が有力な選択肢ですが、(1)の方が経済団体の立場に近く、内部分裂を避けたい連合や、世論と経済団体・支持団体の双方に配慮したい政府側の利益にも合致するので、(1)が選択される可能性の方が高いでしょう。さらに他党との関係で言えば、自民党も党内外の原発維持・推進派と脱原発派の双方に配慮しなければならないという事情は民主党と似通っており、原発比率や原発全廃時期を政党間で競い合うことは避けたいという点では民主党と利害が一致します。ゆえに、「原発全廃を目標として明記せず、代わりに原発の新設と40年を超える稼働を行わない方針を打ち出す」という点で民主・自民両党が合意する可能性すらあります。

 (2)の「将来的な原発全廃を目標とするが、原発を維持する期間をできるだけ長く取る」が選択される可能性を高めるファクターは、ひとつが有権者と反原発・脱原発団体の民主党議員に対する働きかけです。もうひとつは民主・自民・公明以外の政党の動きです。現在、国民の生活が第一が10年後の原発全廃を打ち出しており、その他みんなの党、共産党など民主・自民・公明以外の政党はおおむね早期または即時の原発全廃を目指す立場です。このような世論と野党の動向が続けば、10年以内~2030年までの原発全廃というエリアの外では票の流出見込みが大きくなり、民主党は将来的な原発全廃を目標とせざるを得ないでしょう。しかしこの場合でも民主党がとる立場はせいぜい2030年までの原発全廃であり、それより早期の原発全廃が民主党の方針となる可能性は低いと思います。

 民主党の検討会で出る結論は、可能性が高い順に①原発の新設と40年を超える稼働を行わない、②2030年代前半から半ばまでの原発全廃、③2030年までの原発全廃で、それより早期の脱原発の目標は望めないと予想します。

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