鉄不足対策! フェリチン目標値150にアップデート

「メガビタミン健康法」より

 私は心療内科の臨床現場で女性の「鉄不足」に気づきました。うつやパニック障害の症状に悩む女性の多くは、鉄を投与することでみるみる改善しました。そのことから、オーソモレキュラーや糖質制限など栄養関係の書籍を読み漁り、分子栄養学へとたどりついたのです。
  貧血の指標はヘモグロビン値ですが、これは血液中の鉄分を示す値です。そのため、体内で貯蔵されている鉄の量を表すフェリチン値をチェックすることが肝心です。
 フェリチンとは、体の組織の細胞質に存在し、鉄と結合しているタンパク質のひとつです。鉄の満たされ具合をお金にたとえると、ヘモグロビン値は財布のお金、フェリチン値は貯金です。貯金がないことには家計が維持できないのと同様に、鉄の蓄えがないと、心と体の健康は維持できません。
 うつ・パニック障害の症状を訴える女性の患者さんの多くは、著しく低いフェリチン値を示す「潜在性鉄欠乏症」と思われます。心の病と診断される人の中には潜在性鉄欠乏症も多いと考えられますし、潜在性鉄欠乏症が原因で心の病に陥っている人もいます。
 特に月経がある時期の若い女性は、毎月血液と一緒に鉄分を排出していることになり、慢性的で深刻な鉄不足に陥っています。理由のはっきりしないイライラやだるさ、月経前症候群(PMS)の発症の多くは鉄不足が原因です。
  鉄不足の症状は次の通りです。
・イライラしやすい、集中力低下、神経過敏、些細なことが気になる
・立ちくらみ、めまい、耳鳴り、偏頭痛
・節々の痛み(関節、筋肉)、腰痛
・喉の違和感(喉が詰まる)
・冷え性
・朝なかなか起きられない、疲れ
・出血(アザ)、コラーゲン劣化(肌、髪、爪、シミ)、ニキビ、肌荒れ
・不妊
・レストレスレッグス症候群(RLS:むずむず足症候群)
・やたらと氷をガリガリ食べる

  当院ではフェリチン100未満の人には、全員鉄剤を処方しています。一般的な医師は鉄過剰を指摘し「フェリチン100は危険だ」という医師までいますが、これは無知の極みです。
  むしろまだ足りないのではと考えています。臨床を重ね、症例が増えていくにつれ、これまで目標値としていたフェリチン値100では不足ではないかと考え、もう少し高い値を目指す方が良いと判断しています。いったん100に到達して鉄剤をやめると、不調になる人も出ました。そのため、女性は150程度、男性は200程度まで鉄剤を継続した方が、良い状態を維持できるようです。
  鉄のサプリメントは、安価で効果が高いキレート鉄一択です。鉄の過剰症はフェジン静注(鉄剤の注射)の頻回接種でない限り、経口摂取では起こりません。これまでキレート鉄を投与してきた4000人余の患者さんに、鉄過剰症状はひとりもいません。
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50歳未満の女性ではフェルムでフェリチンが200前後に増えても、フェルムを中止すると半年~1年後には100未満に低下します。
そのため、フェルムでフェリチンが100以上になれば、フェルムを毎日投与から隔日投与に減量して継続しています。
フェルム隔日投与でフェリチン値が維持される方がほとんどですが、過多月経がある方ではフェリチン値が低下する人もいます。
従って、半年~1年に一度はフェリチン値をチェックするようにしています。

一回の妊娠出産でフェリチンは50低下しますので、妊娠を希望される方は最低50以上、可能ならば100以上を維持したいものです。

当院で販売しているキレート鉄は、Nowアイアン36mg、Source Naturalsアドバンストフェロケル27mgです。
フェルムは100mgなので、それと同じ効果を期待するためにはキレート鉄36mg*3、もしくは27mg*4が必要です。
Nowアイアンは少し大きなカプセル、アドバンストフェロケルは小さい錠剤です。
大多数の人にはNowアイアンを推奨していますが、カプセルが苦手な人や小さいお子さんにはアドバンストフェロケルを推奨しています。
初回のみ当院で購入してもらい、2回目から同じものをネットで購入するよう伝えています。


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