メグビーメールマガジン 2月号 Vol.95、より

第9章 ~高タンパク食生活の心得も~ -日常生活を例に正しい処方を表示-

【その不足は全身に悪影響】
 まず、タンパク質の生体における役割を見よう。
 血液、骨、筋肉、神経、内臓諸器官から皮膚や爪にいたるまで、タンパク質でできていないものはない。
 したがって、それの欠乏があれば、全身的に悪影響が及ぶ。
 生体の代謝をにぎる酵素がすべてタンパク質であることも見のがせない重要なポイントである。
 タンパク質の欠乏があれば、代謝のスムーズな進行は期待できないといって、過言ではない。
 そしてまたタンパク質は、抗体やインターフェロンなど、感染に対する自衛手段にも利用される。タンパク質が欠乏すれば、細菌やウイルスに対して無防備になるのだ。
 生体の代謝には、タンパク質も、糖質も、脂質も参加する。それらのすべてが酵素を要求することを考えると、タンパク質の比率が低くては、代謝のスムーズな進行にさしつかえる、という結論をださざるをえなくなる。
 エネルギー源が、糖質・脂質だからといって、これだけを食っていたら、エネルギーさえもつくれない。酵素タンパクなしの代謝などは、ありえないからである。
 タンパク質の比率が重要なことは、このような極限のケースを想像すればわかるはずだ。
 
【タンパク食の高・低の比率差】
 タンパク質の比率は、水を抜いて考える。
 すなわち、食品を完全に乾燥したものについて、糖質は何%、脂質は何%、タンパク質は何%、というふうにするのである。
 組織の損失やストレスのない場合、タンパク質の適正な比率は12%である。これは成人の場合であって、子供や妊婦のように、同化が異化よりも優勢な場合、タンパク質の比率の標準は18%である。
 糖質、脂質の合計は、成人の場合には88%、子供や妊婦の場合には82%ということになる。
 高タンパク食、低タンパク食ということばを使ってきたが、タンパク質の比率がこれより低い食事は、低タンパク食といってよい。
 昼食をそばやうどんですます場合を例にとってみよう。
 タンパク質乾燥比率は、そばで12.1%、うどんにいたっては、9.6%にすぎない。これらの数字は、プロテインスコアを掛けてはじめて現実的な意義をもってくる。
 そこで、そばのタンパク質有効比率は、10.3%、うどんでは5.4%となる。どちらも低タンパク食といわざるをえない。
 そばやうどんは、卵でもおとさなければ、きわめつきの低タンパク食である。カレーライスやチキンライスなども、このたぐいと見てよい。
 低タンパク食か高タンパク食かの問題は、毎食についておこる。どんな食事も、タンパク質の比率において、標準値に達していなければ、何らかの障害の原因となるはずだ。
 昼は簡単にすませ、夕食にご馳走をたべる、というありふれた食習慣は、健康管理上は感心できるものではないのだ。

【体重1㎏あたり1gが必要】
 毎食のタンパク質の比率が、12%なり18%なりの水準を保っていることだけでは、高タンパク食とはいえない。
 それは、必要条件であって十分条件ではない。タンパク質の絶対量がもし不足していたなら、異化と同化のバランスがとれなくなるではないか。
 数年前まで、国連のWHOは、前記のように、成人のタンパク必要量を、体重1kgあたり1.01gとしていた。私はこれを採用したいと思う。
 それもあっさり、1㎏あたり1gとする。体重60㎏の大人は60gということだ。
 むろんそれは、プロテインスコアを掛けて、60gとする必要がある。
 かりに、卵だけでこれをまかなうとすれば、472gとなる。大型の卵で8個というところだろう。
 現実の食生活では、卵2個分程度のタンパク質は主食や野菜からとれると見れば、確保すべきタンパク食品は、体重10㎏あたり卵1個の見当となる。
 そば、うどんの例によってわれわれは、プロテインスコアがやっかいな問題を提起することを知った。
 スコアの低値は、第一制限アミノ酸からくる。食品の組み合わせによってこれを補えば、プロテインスコアは上がる。
 タンパク質を10g摂ることは大変である。メチオニン、システイン、すなわち含硫アミノ酸が、一般に不足しがちになる。少なくとも毎日1個の卵をとるのが賢明だ。
 ところで、大豆は植物のうちでは優秀なタンパク質だが、枝豆をつまんでタンパク質をとったつもりになってはまちがいだ。
 大豆にはタンパク消化酵素トリプシンを阻害する物質がふくまれている。
 これを90%除去するのにさえ、120度で30分も煮る必要がある。
 大豆のタンパク質を効果的に利用するためには、とうふ、みそ、なっとうなどのように、高度な加工品の形にすべきである。ここにも古人の知恵がうかがわれよう。
 私が本書でいう高タンパク食とは、毎食のタンパク質の比率と、タンパク質の1日量との両面から見て、基準値を割らない食事をさす。

 これを最低限度と考え、ストレスなどでタンパク質要求量の増大があったら、それに応じてゆく心構えの食事に対して、高タンパク食の名をつけたいのである。
 これは、国連の指示ではなく、科学の教えるところなのだ。本書の意味での高タンパク食主義者である私の家では、昼食のときなど、配合タンパクと牛乳とで、タンパク質の1食割当量をとることにしている。
 200mlほどの牛乳に20gの配合タンパクを加え、ビタミンCと砂糖とで調味し、シェーカーでよくまぜればOKだ。
 これは、手っ取り早いばかりでなく、うまくもあり、完全食でもあり、理想的な食事だ、という自信がある。

【高タンパク食20のメリット】
 ここで最後に本書のしめくくりとして、高タンパク食のメリットを列挙しておく。特別な病気のある場合は別として、いちおう健康を保っている人についての期待を列挙する。
①貧血しにくい。
②血圧が正常に保たれやすい。
③ホルモン分泌が正常に保たれやすい。
④細菌やウイルスに感染しにくい。
⑤内臓障害がおこりにくい。
⑥内臓が下垂しにくい。
⑦筋肉が劣化しにくい。
⑧姿勢が悪くなりにくい。
⑨リューマチになりにくい。
⑩出血がとまりやすい。
⑪骨が劣化しにくい。
⑫虫歯になりにくい。
⑬疲労しにくい。
⑭公害や薬害にやられにくい。
⑮シワになりにくい。
⑯老化を減速する。
⑰消化不良をおこしにくい。
⑱食欲不振になりにくい。
⑲傷のなおりがはやい。
⑳ストレスに強い。

【スープやみそ汁の効用】
 洋食のフルコースでは、最初にスープがでる。和食でも、みそ汁や澄まし汁がでる。
 このようなタンパク質を最初に口にすると、タンパク消化酵素が十分に分泌されるので、高タンパク食には有利である。
 最初に糖質を口に入れると、血糖値が高まるために、糖尿病患者でなければ、膵臓から大量のインシュリンが分泌される。
 そのために血中のブドウ糖が肝臓や筋肉にどんどん吸収され、血糖値が十分にあがることができない。
 正常人の場合、血糖値が適当に高く、ブドウ糖が脳や神経系に十分ゆきわたると、覚醒レベルは高く、気分爽快である。
 このように、インシュリンの分泌が抑制される食事が、正常人にとっては望ましい。その条件を満足させるためには、糖質をむやみにとらないばかりでなく、食事の最初に適量のタンパク質をとるのが理想だという。
 このままでデリケートな心掛けは健康人には必要とはいえまいが、病人の場合には、案外大きな意味をもつにちがいない。
 知人に、30歳を越したばかりの慢性膵炎の女性がいる。
 彼女の経験談だが、多忙のあまり、ケーキとコーヒーをやったのが、昼食になってしまうようなとき、重大な故障がおこる。
 3時間ほどのちになると、例外なしに、冷汗はでる、心臓はドキドキする、手足は震えるで、膝ががくがくして歩けなくなることさえある。
 何も食わずにいれば、こんなことはおきないという。
 これは低血糖の症候群であって、糖質を主とする食事が引きおこしたインシュリン過剰による障害にちがいない。
 低タンパク食の欠点が、このケースでは拡大増幅されたわけだ。
 彼女の場合、高タンパク食をとっていれば、発作はおきない。健康人であっても、このような話に耳を傾けるのが賢明である。
 このような情報は、意外なところで価値をあらわすものだ。
 
【三石巌 高タンパク健康法(絶版)P232~P249より抜粋】

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