基礎から学ぶビタミンEー3.不飽和脂肪酸の自動酸化と脂肪酸ラジカル、および酸素の浪費

三石巌:全業績7、ビタミンEのすべて、より

 1956年頃にハーマンの提唱した「ラジカル老化説」がある。それは、ラジカル(活性酸素)によってつくられる過酸化脂質を老化の主犯と見る学説であり、ラジカルによって引き起こされるDNAの突然変異が細胞の寿命を縮めると見る学説である。ラジカルをさしおいては、老化もガンも、したがって健康も、語れないということだ。
 ここで、ラジカルの攻撃目標として第一に取りあげざるをえない不飽和脂肪酸についての知識を、もう少し深める必要がおきてきた。それをムカデにたとえて、そのからだを、頭部と胴尾部との二つの部分に分けて考えるとつごうがよい。頭部は一個の水素であって、胴尾部は脂肪酸の本体である。
 これがラジカルの攻撃をうけると、首がもげて頭がすっ飛ぶのだが、このとき、水素の頭に二原子の酸素がくっつく。酸素は二原子まとまってくっつくと決まっているから、この反応を、酸化といわず過酸化というのである。
 この過酸化頭はテロ分子の性格を失わず、ほかの不飽和脂肪酸の首をかき、その水素の頭と結合して、初めて暴力のほこをおさめる。ところが、頭をもがれたこの第二の不飽和脂肪酸では、胴尾部が脂肪酸ラジカルとなり、酸素二原子をタックルして、なおおさまらず、テロ分子として活躍する。
 この過酸化胴尾部脂肪酸ラジカルは第三の不飽和脂肪酸にかみついて、その首をかく。そして、その頭の水素分子と結合する。この結合体こそは、過酸化脂質とよばれるものの一つの形だ。
 テロ分子過酸化胴尾部ラジカルは、首をかかれたどれかの不飽和脂肪酸の胴尾部を探して結合する。このときの生成物もまた、いわゆる過酸化脂質の一つの形である。
 ここにおきたテロ分子による混乱は、要するに、不飽和脂肪酸の首をかく行為が、それによって生じた頭部・胴尾部と、テロ分子の増産に発展する形をとるので、不飽和脂肪酸のあるかぎり、終わりがないかに見える。一つの不飽和脂肪酸がやられるごとに二つのテロ分子が生まれて、これがつぎの不飽和脂肪酸の首をかき、それがまたテロ分子を生むという連鎖反応となるのだ。むろんそれらのテロ分子は過酸化脂質となって討死にするのだが、どの攻撃においても、二原子の酸素を抱えこんでいる。過酸化脂質をつくる作業は、酸素の浪費によって成立するのである。
 テロ分子ラジカルがふえると、それが二個結合して不活性化する機会が多くなり、ついにこの連鎖反応は終結にいたる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
かなり難解ですけど、ここは大切なことが書いてありますので理解できるまで繰り返して読んで下さい。
文章がとても迫力があり、この本のハイライトと言える部分です。

ラジカル(活性酸素)が生体膜リン脂質にある不飽和脂肪酸を攻撃する。
→不飽和脂肪酸の頭部、胴尾部それぞれが脂肪酸ラジカルとなる。
→上記2つの脂肪酸ラジカルが、隣接した不飽和脂肪酸を攻撃して脂肪酸ラジカルに変えてしまう。
→上記の連朝反応が続き、瞬く間に焼き尽くしてしまう。
→最後は過酸化脂質となり連鎖反応は終結する。
過酸化脂質=水素+酸素+脂肪酸道尾部、もしくは、二つの脂肪酸胴尾部。

上記反応が起こるとなぜいけないのかを解説すると、
1)細胞膜などの生体膜が通常に機能しなくなる。
つまり、グルコース、アミノ酸、脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が細胞の中に搬入できなくなり、細胞内が栄養失調状態となる。
2)われわれが呼吸により取り入れた酸素の43%が不飽和脂肪酸の自動酸化により浪費されると言われている。
酸素はミトコンドリア内(正確に言うと、ミトコンドリア内膜)の電子伝達系に用いられるのが本来の目的。
しかし、細胞膜、ミトコンドリア膜で酸素の浪費が起こり、ミトコンドリア内が酸素欠乏状態となる。
つまり、細胞内のエネルギー代謝が嫌気性解糖主導となる。
すなわち、ガンが出来やすくなる。

○○の栄養素をたっぷり摂取して、胸郭を緩めて酸素をたっぷり吸っていても、不飽和脂肪酸の自動酸化を抑制しないと細胞内が栄養失調になる。
これ現代医学の盲点となっている部分だと思う。


{59A75326-A4F9-4853-B0E4-2996CDCA2AB8}


元記事はこちら