8月の読書メーター
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ナイス数：10
マルドゥック・アノニマス９
中国製作版のドラマ『三体』をAmazonプライム・ビデオにて鑑賞。2023年配信開始（全30話）。
劉慈欣の世界的ベストセラーSF小説『三体』3部作のうち，1作目をドラマ化したもの。『三体』は今年（2024年）の3月にNetflix版が配信されたが，本作はそれに先駆けて映像化された大型ドラマである。
あくまでも個人的な感想だが，Netflix版とは比べ物にならないくらい面白かった。30話もあるだけあって，原作（1作目）のあらゆるシーン，あらゆるセリフをほぼ全て忠実に再現している（と思う）。原作にとても忠実な作りで，原作ファンも納得の出来栄えなのではないだろうか。
正直に言えば，本作にはNetflix版のような派手さはない。テンポもゆったりとしている。ただしその分，主人公をはじめとする登場人物たちの心情がとても丁寧に描写されていて，ドラマとしての見ごたえは十二分にある。
特に現代と過去のエピソードをほぼ同じボリュームで描いている点が圧巻だ。さらにバーチャル世界を舞台にしたエピソードもけっこうな分量なので，実質的には3種類の物語を内包していると言える。多くのアメリカ製ドラマが1シーズン10話前後で完結しているのに対して，この中国版『三体』が30話もあるのは伊達ではない。
原作の『三体』は『三体2 黒暗森林』，『三体3 死神永生』と進むにつれて人間の想像力の極地と言える驚異的な宇宙世界を描写する。その世界を中国版『三体』の続編は、いったいどのようにして映像化するのだろうか。次作への期待はふくらむばかりである。
