「核酸医薬は創薬ストラテジーを変える。」

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mipomersenは欧州において承認拒否となりました

EMAのCHMPにおいてmipomersenの上市は認められないという決定が3月21日付けでなされました。


詳細は下記リンクよりご覧いただけます。

http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Summary_of_opinion_-_Initial_authorisation/human/002429/WC500140678.pdf

mipomersenの審査報告

米国FDAにてmipomersenの審査報告(review)が公開されました。

下記リンクからご覧になれます。

非常に参考になります。


http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/nda/2013/203568Orig1s000TOC.cfm

核酸医薬品について

今日は核酸医薬について少し概略を述べようと思います。


1. 核酸医薬の定義


核酸医薬といいますと、医薬品としてのヌクレオシド・ヌクレオチド (核酸の構成単位 = DNAとかRNAの構成単位) と混同されるかもしれませんが、ここではオリゴヌクレオチド (ヌクレオチドが複数連なったもの) を医薬品として用いるものとします。


2. 核酸医薬品の種類


核酸医薬品には様々なものが考えられています (考えられていますというのは、まだ市場に上がっているものが少ないので開発中のものも含めて) 。そこで今回は核酸医薬品の分類について簡単に紹介します。


アンチセンス医薬品

核酸医薬品の代表。もっともクラシックな核酸医薬品と言えます。アンチセンス医薬にはいくつかの種類が含まれ、原理によって3つに大別されます。

①mRNAに作用してタンパク質の合成を抑制する狭義のアンチセンス、②pre-mRNAに作用してスプライシングを制御するエクソンスキップ、③mircoRNA (miRNA) に作用して遺伝子発現を制御するantagomir。

化学修飾核酸の研究の進展により、低用量で有効性を示すことが可能となったことから、ますます期待の高まってきた核酸医薬品の一種です。


原理:①mRNAに結合してタンパク質の合成を抑制します。多くの場合RNase Hという酵素の働きを誘導し、mRNAの分解を介して作用を発現します。②pre-mRNAに結合してスプライシングを制御し、エクソンのスキッピングを誘導します。③miRNAに作用し、種々の遺伝子発現を制御します。


開発状況:最初のアンチセンス医薬品 (一般名:Fomivirsen、商品名:Vitravene) は、サイトメガロウィルスに対する医薬品でしたが、現在は販売されていません。その後、化学修飾オリゴヌクレオチドの研究が急速に進展し、2013年1月29日にFDAにおいて初めての全身投与のアンチセンス医薬 (一般名:Mipomersen、商品名:Kynamro) が承認されました。このアンチセンスは、現在欧州においても審査中であり、近々結論が出ると思われます。

エクソンスキップやantagomirについても第三相試験の段階にある候補化合物があり、期待されています。


アプタマー医薬品

一本鎖の核酸は、高次構造 (立体的な構造) をとることにより、特定の塩基配列や人工核酸を有するオリゴヌクレオチドは特定の高次構造を形成することにより、タンパク質などと特異的に結合することがあります。このようにタンパク質などと結合するオリゴヌクレオチドをアプタマーと呼び、アプタマーの特徴を医薬品として応用したものがアプタマー医薬品です。


原理:標的タンパク質と結合し、そのタンパク質の機能を一般に抑制します。


開発状況:上市されているアプタマー医薬品があります (一般名:Pegaptanib、商品名:Macugen)。


siRNA医薬品

RNAiを利用した医薬品。small interfering RNAの略で、短い二重鎖のRNAです。切れ味鋭いmRNAからのタンパク質合成抑制効果があると考えられ、期待度の高い医薬品といえます。一般に、作用部位にとどけるためのデリバリー担体が必要であるといわれています。


原理:二重鎖RNAがRNAiを誘導することにより標的mRNAからタンパク質への翻訳過程を抑制します。


開発状況:上市された品目はありません。しかし、多くの治験が行われており、近い将来医薬品として上市され可能性があります。


デコイ核酸医薬品

デコイとは、”おとり”という意味です。転写因子などDNAに結合するタンパク質などをおびき出す、おとり核酸を医薬品として応用したものです。

原理:おとりとして転写因子などを捕捉し、遺伝子発現の抑制などを介して効果を発現します。

開発状況:上市された品目はありません


アンチジーン医薬品

アンチジーンとは、遺伝子に対して直接作用することからそのように呼ばれています。アンチセンス医薬品がmRNAに作用するのに対し、アンチジーンは核内に存在するDNAに結合して、遺伝子の根元に直接作用する画期的な遺伝子発現制御法です。しかし、課題が山積しており実用化にはもうしばらく時間がかかりそうです。

原理:DNAと三重鎖を形成して、遺伝子の発現を制御することにより効果を発現します。

開発状況:基礎研究の段階にあり、実用化にはさらなる研究が必要と考えられています。



以上、簡単に紹介しました。他にも核酸医薬品の範疇に含まれるものがありますが今日はこの辺で。