(古瀬経営法律事務所発行のニュースレターをブログに転載します。)
富士急「ド・ドドンパ」の利用者骨折事故
山梨県にある富士急ハイランドの人気アトラクション「ド・ドドンパ」の利用客が、首や背骨等を骨折する事故が相次いでいたとの報道がありました。
(NHKのWEBサイトから抜粋)
しかも、骨折事故は昨年12月から発生しており、この事故が明るみに出たのも、山梨県が設置した相談窓口への申告が発端だったとのことで、富士急が事故の発生を隠蔽していたことが疑われます。
富士急が早期に事故があったことを公表・報告し、運行停止などの対応をしていれば、怪我人の数もずっと少なく済んだはずです。富士急の不適切な対応が、結果として怪我人の増加を招いたことは間違いなく、これから、その企業体質が厳しく批判され、施設全体の運営にも影響を及ぼし、経営を揺るがす大問題に発展していくでしょう。
過去の企業不祥事
過去の不正と隠蔽がセットとなった事案として、20年ほど前の事例ですが、「ダスキン事件」が思い浮かびます。
2000年10月から12月にかけて、ダスキンが運営するミスタードーナツで販売されていた肉まんに、国内で無認可の添加物が使われていました。ダスキン経営陣は、このことを2000年11月頃に把握していたにもかかわらず、取引業者に6300万円もの口止め料を支払うなどして問題を隠蔽しました。しかし、2002年5月に取引業者からの申告を端緒とした大阪府の立入検査が入ったため、結局、検査翌日に公表する羽目となり、ダスキンには大きな社会的非難が加えられました。ダスキンには、加盟店に対する営業補償、信頼回復キャンペーン関連費用等の出費等で、105億円を超える損害が発生したとのことです。
このように、企業の不正とその隠蔽が経営を揺るがす大問題になった事例は、枚挙に暇がありません(雪印牛肉偽装事件、三菱自動車のリコール隠し事件、スルガ銀行不正融資問題など)。
内部通報制度などなくても、不祥事は糺される
現在では多くの大企業で内部通報制度が導入されていますが、これらの企業では、内部通報制度はなかったか、少なくとも十分に機能していませんでした。しかし、これらの事案では、マスコミや行政などの第三者への通報により、不正は暴かれたのです。内部通報制度などなくても、不祥事は糺されるのです。
隠蔽が伴わない事案であっても、例えば、パワハラが蔓延する企業では、心身の不調を訴える社員が必ず現れます。こうした問題は、SNSや企業情報の共有サイトなどであっという間に広まり、その企業に対しては厳しい社会的評価が下されるでしょう。
内部通報制度は会社を守る制度
不正を隠すためには更なる不正を繰り返すこととなり、いずれは手に負えなくなります。不正は育つのです。不正を断つには、問題が小さい内に対処するしかありません。
いかなる不正もゼロであるという企業など存在しません。その不正を早期に発見し、自ら糺すことこそが、企業へのダメージを最小限に抑える最善の手段です。そのためには、社内に「機能する」内部通報制度を設けておく必要があります。
内部通報制度を機能させるには、「不正は許さない」という経営者の決意と姿勢が最も重要であり、これこそが制度を社内に定着させる鍵となります。社内のリソース制約がある場合には、法律事務所など外部に通報窓口を設けることも検討事項です。
内部通報制度について詳しい情報を希望する方は、当事務所までご連絡下さい。
(ニュースレター完全版はこちら(pdf)をご覧下さい。)
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