8月17日(土)は日本城郭史学会の2019年度第2回城郭史セミナーがありました。テーマは「改元と大嘗祭 奥山家文書から」です。今回のセミナーは城郭史学会委員の伊藤一美さんを講師に招きました。伊藤さんは鎌倉考古学研究所の理事や横須賀の三浦一族研究会の会長を勤め、地元葉山、藤沢、逗子で教育、文化財に携わってきた方でもあります。
 

 

グリーンンカレッジホール

 

 この日のセミナーは先月と同じ板橋区グリーンカレッジホールで開催です。8月17日はとても暑くて東京では最高気温が35度でした。セミナー会場は冷房があるので外の暑さは関係なく快適でしたが、会場に着くまでが暑かったです。

 

講師の伊藤一美さん(城郭史学会委員)

 

 今年は平成から令和への改元で、春には即位礼があり、秋には大嘗祭があります。城郭史研究のセミナーですが、即位の儀と大嘗祭は今が旬の今年だけの話題でもあるので、敢えてテーマにしたとの事でした。城を中心とした歴史ならばある程度分かります。即位の儀と大嘗祭は言葉は聞いたことがありますが、具体的な内容はあまり知りません。

 今回のセミナーは未知の話題がテーマでした。

 

セミナーの様子1

 

 最初に即位の礼と大嘗祭の歴史と内容について解説しました。

新嘗祭の元は4から5世紀の古代大王時代の収穫祭でした。当時の大型宮殿跡から稲粟、栗、鯛、鯖、桃が発見されています。桃は悪魔を祓う役目があり特別でした。神への捧げ物に使ったそうです。
 新嘗祭が天皇の即位とつながり大嘗祭となっていきました。

 

セミナーの様子2

 

 即位の儀の形は中国風だが内容は日本独自のものになっています。即位式はオープンな儀式であり、春または正月に行われます。朝から開始されて、皇后陛下も同伴されます。文武百官が参加するので多数の人が参加します。
 古来の即位式では近衛府、兵衛府の軍勢が掛け声とともに行進して衛府長官が旗を振って万歳を唱えました。中国では万歳の発声は外国の使者の役目でした。
 令和の即位式では安倍首相が国民の代表として万歳を唱えました。
 

大嘗宮の説明をする伊藤一美さん

 

 大嘗祭は天皇と神だけの人目にふれない儀礼であり、神への報告でもありました。霜月11月に開催されて、裏方は多いですが大嘗宮に入るのは采女と内膳司官人だけで参加人数は少ないです。皇后陛下の出番はありません。

 現在、江戸城の本丸で大嘗宮の建設が始まっています。中には入れませんが、大嘗宮の外からは建物や工事の様子を見ることが出来ます。

 

セミナーの様子3

 

 大嘗祭は大嘗宮で行われて悠紀殿(ゆきでん)と主基殿(すきでん)から成り立ちます。
悠紀殿にはトイレがあり、昔は使ったらしいが、今は使う事はありません。平城京では悠紀殿のトイレ跡が発掘されました。現在は儀式に参加する人は前日、前々日から水を最小限しか取らないで大嘗祭に備えています。
 主基殿の「すき」は次の意味があり、悠紀殿での大嘗祭の次は主基殿で挙行される。
 大嘗祭1日目は夜21時から開始されて、2日目の夜中3時から主基殿にて行われます。

 

 セミナーの終盤になって、下館藩石川家の家老だった奥山家に伝来する文章を使っての大嘗祭の解説になりました。

 

奥山家文書の大嘗會調度図絵巻

 

 1687年貞享4年10月28日に東山天皇の大嘗祭が挙行されました。この絵巻は大嘗祭で出された料理や調度品の絵図と簡単な解説が記されています。大嘗祭の詳しい様子はほとんど知られていません。今思うとこの絵巻は貴重な絵巻でした。惜しいことに終了時間が迫っていたので早足で絵巻を見ました。

 

用意される料理の一覧

 

 様々な料理が出て来ますが、中には変わった料理もありました。その一つに大根を使った人型をした料理があります。

 

人形の野菜とねじり2本

 

 カワラケの箸置きは最高のもてなしだそうです。下の絵図の箸置きは神様をもてなすためのものです。

 

箸置き

 

 鮑、鯛、鰯、鯵の御菜(読みは「おさい」、意味は「おかず」)を平盤一杯に高盛ります。神様に出す料理なので山盛りで出されるそうです。

 

鮑、鯛、鰯、鯵の御菜の絵図

 

 スライドの最後に天皇陛下が皇太子時代に書かれた書籍を紹介しました。皇太子時代のご講演をまとめた本で題名は「水運史から世界の水へ」です。書店でも購入できます。

 

天皇陛下の著書

 

 「即位の儀と大嘗祭」の言葉は知っていても詳しいことは分かりませんでした。西ヶ谷代表も始めて聞く話があったそうです。今年の11月に大嘗祭が行われますが、その時はこの日のセミナーの内容を思い出して、大嘗祭を見ることになるでしょう。 

 なお、当ブログの写真の掲載は伊藤一美氏と日本城郭史学会の了承を得ています。