2014年11月、全国各地津々浦々から川越の小江戸蔵里に集結した2000の人間や狐たちで盛り上がった第一回「狐宵祭(こよいさい)」。
川越は、人間たちが起こす賑やかなお祭りはたくさんありますが、
この街に巣くう狐たちが全国の狐に呼び掛けて、
人間たちと一緒になって楽しむお祭りはこれが初めてのことで、
(狐宵祭 http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-11959605213.html )
あの日一日限りの宴が終わり、来年また会おう!と散り散りにそれぞれの地へ戻って行った狐たち。
それからはまたいつも通り、普段は人の目をはばかりながらの平穏な毎日で、
狐宵祭の楽しかった思い出を時に振り返り過ごしていた。
陰から日の当たる表を羨ましそうに見上げながら、
「また狐宵祭がやりたい。。。」
「また狐たち、人間たちで集まれたたら楽しいのに」
狐たちはみな、密かに思いを膨らませていた。
狐宵祭を開催したことで、確実に狐界の動きは活発になり、
2014年末には夜の川越散策を敢行。
川越の狐たちの結束はさらに強くなり、狐宵祭を主催した黒狐さんや紅狐さんを中心に
「河越藩狐衆」を結成し、表舞台に出ていくことが増えていった。
「河越藩狐衆HP http://kawagoe.okitsune.com/ 」
小さな思いの繋がりは日を追うごとに各地の狐を巻き込み、
いつしか大きなうねりとして大きくなっていたこの半年間でした。
気がついたら、その数は60匹を超える規模になっていた河越藩狐衆。
集団をまとめている二匹の狐、
河越黒狐さんは、
『川越のとある着物屋に住み着く
「遊びと廚二病」の象徴として祀られた
河越城の裏の城主を目論む黒狐の神。
時折店主の身体に憑依しては方々に遊びに行ったり。
白狐と対の時は面が普通に変わります
装束に身を包むのは「カッコイイから」』
河越紅狐(コーコ)さんは、
『何者をも支配せず
何者にも支配されず
どこまでも孤高に自由に生きよ』
(紅狐さんは、2015年5月赤羽馬鹿祭りにも参加。写真はTwitter ID@im8714さんからお借りしました♪)
この二匹の狐を中心に各地に巣くう多種多様な狐が集まっているのが河越藩狐衆。
紅狐さんは同じく5月、「小江戸蔵里キャラクター祭」の応援にも駆けつけ、司会を務めていました。
そして、今年の狐宵祭への布石も着々と打たれ、
河越藩狐衆たちの「大きな規模でなくてもいいから定期的に祭りを開こう」というアイディアから、
狐宵祭の機運を高める意味でも、毎月一度の市「狐宵市(こよいいち)」を開いていくことになった。
「狐衆は多種多様な才を持った狐が多く存在する。
その狐達を顔魅せと称し毎月1回市を開催する。
その魅力に思う存分魅了されるが良い」と語る黒狐さん。
それが、【河越藩狐衆 月初ノ顔魅セ 狐宵市】だったのです。
2015年5月7日、テレビで紹介されたことでいつにも増して人が溢れる蔵造りの町並みの一番街、
喧騒をよそに一番街の北端、札の辻交差点から北に進むと、
観光客の姿はぱたりと見えなくなりますが、
さらに歴史の古い江戸時代の木造建物が残る落ち着いた雰囲気のエリアになります。
そこにひょこんと現れた一匹の紅い狐。
おめかしを整えた河越藩狐衆の狐たちは、
市の会場となる喜多町会館に向かって歩いて行きます。
見ると、会館の前には開場までまだ時間があるにもかかわらず、
その時を待つ人間たちの行列が既にできていた。
早くから来て待つ先頭の人は
「狐のイベントには初めて来ました。Twitterで狐が盛り上がっているので気になっていました。
人外装飾商さんと狐面堂さんが目当てです」と話す。
狐たちが催すイベント、狐宵市に興味を抱き川越までやって来たのだといいます。
昨年の狐宵祭から半年、あれからますます狐に親しむ人は増え続け、
着物やコスプレに合わせる形で狐を楽し無のが定番になりつつある。
狐に関連するイベントも各地で多数開催されていて、
吉原の狐楽市、深川のお化け縁日などなどどこも大盛況、
川越の狐宵市のことも開催前から人間たちの間で楽しみにしている声がTwitterに溢れていた。
狐好きは多くはTwitterで交流していますが、だんだんとリアルの街に浸透し、
新しくも古い、古くて新しい文化として根付こうとしています。
じわじわと広がる熱気を応援しようと、昨年の狐宵祭に引き続き狐宵市でも、
大学いも川越いわたさんは新富町店、時の鐘店ともに
この日だけの限定コラボ商品、お狐大学芋とお狐サブレを用意して応援していました。
会場の喜多町会館内には手作りの狐アイテムがたくさん並び、雰囲気はあの狐宵祭のよう。
河越藩狐衆の狐たちは、やって来る人間たちに楽しんでもらおうと、
せっせと会場準備の真っ最中でした。
この日は交通誘導狐として現場で動いていた紅狐さん、
早速大学いものお店はどこにあるか人間さんたちに訊ねられ、さすが河越藩の狐だけあって詳しい。
道順を丁寧に説明したりと大忙しの様子。
(次から次と記念写真を撮られる人気ぶり)
前の道を走る車も、窓から物珍しそうに
「狐たちがまた何か催してるみたいだね」と会館を見る人が絶えません。
狐宵市というのは、狐衆に所属する狐達が毎月一回、自慢の品を持ち寄り開く小物市。
ハンドメイドや限定物等が並び、実際に目で見て購入することが可能で、
出店者と実際に面と向かって交流できる場でもあります。
狐面を求めている人は、好きな作家さんのものを手に入れたいし、
作家さんは季節を取り入れて折々で作る狐面が変わっていくので、
シリーズで全部揃えたいという人も多い。
この日出店していた作家さんは、狐宵祭に出店していた狐にイベント自体初めて出店すり狐がいて、
いろんな狐がいました。
狐面堂、
だいきょ屋、
人外装飾商、
雨馬玩具店、
ひめ小町、
幽玄有心、
JK狐、
狐日和、
狐宵祭にも出店していた狐面堂さんやだいきょさんはこの市でも話題のブース。
狐面堂さん。
『狐面のお店、だから狐面堂。
狐宵市にも狐のお面を持って参加します。
お面以外にも狐のあれやこれやを持って参ります。
白い狐や黒い狐、可愛い狐に美人な狐、
素敵な狐グッズがありますのでどうぞ足を止めてご覧ください』
だいきょさんの狐面は5月のデザインフェスタでも長蛇の列の大人気で、
この日は大小40ほどの狐面を出品。
「ちょっと、そこのお前さん。
化けてみゃせんかい?」
『彩り鮮やかで愛嬌たっぷりなお面が沢山います。
ひとつひとつ手作りなので模様や色が異なります。
是非、運命のお面を見つけてください』
数多くのファンを抱えるだいきょさんの狐面は、
抽選制で購入することができるため、整理券を手に入れようとする人が外に多く並んでいました。
狐面の制作は、型に和紙を重ねて貼っていき、ペイントしてコーティングする。
目を開ける部分にも気をつかうなど細かい工程も多い。
大量生産ではない一点一点手作りの狐面は、「同じものは一つもないです」と話します。
雨馬玩具店さんの狐面は、作り込みが半端ない。
和紙を貼ってから何度も何度もコーティングして、その後研磨することで表面の滑らかさを出していく。
その滑らかさはうっとりするほど美しいです。
『水煙草屋になったり玩具屋になったりしてる
雨馬玩具屋(うるまがんぐや)です。
色んな市で仕入れた材料を元にアクセサリーや
狐面を作っています。
狐のお仲間を求めて川越藩までやってきました。
お立ち寄りいただければ是幸いです』
以前は周りに狐の面などを作る作家さんはほとんどいなかったのと比べて、
「今は狐の作家さんが格段に増えて嬉しい」
と今の狐の熱気を肌で感じています。
人外装飾商さんは、
『人外に変身できるアクセサリー、狐耳イヤーフックなど
日常を少し“不思議“に変える装飾品を扱っております』
竜の夢。さんは、
『主にレジンなどの樹脂や切り絵を使用した作品を扱っております。
一つ一つ個性の違う作品作りを心掛けておりますので、
その中で皆様と良き出逢いがあれば幸いです』
狐日和さんは、狐作家として初めての出店。
『狐メインのイラストや小物、アクセサリーなどなど。
レトロでほっこりする狐グッズをお届けします』
狐宵市は新たな作家である子狐たちの発信の場でもあります。
外を見るとさらに人が増えて、並んでいるのはほぼ100%というくらい女性でした。
そこにまた続々とやって来て列が長くなっていく。
地元の人だけでなく、遠方からの方も多くいるようでした。
12時。紅狐さんが
「狐宵市始めまーす!!」と宣言すると、詰めかけた人間さんたちがどっと会館に入っていき、
河越藩狐衆たちによる第一回狐宵市が始まりました。
人外装飾商さんはスタートからまっ先に行列ができたブースで、
あまりの殺到になんとわずか20分で完売するという盛況ぶり。
他のブースの狐雑貨も見る見る人の手に渡っていきます。
だいきょさんに差し入れする人間さんたちがいたりして、作家さんにファンが多いのが分かります。
そして、だいきょさんの狐面の抽選まであと少しの時間。
昨年の狐宵祭の時には160人以上の人が並んでいましたが
今回はどうでしょうか。
「ちょっとどれくらいの列になっているのか見てこよう」
だいきょさんが外に出て確認しに行くと、そこには・・・
駅から近い小江戸蔵里ならまだ分かりますが、
一番街からさらに北、静かなエリアにこれだけの行列ができるのは今まで見た事ない光景でした。
抽選が始まると、だいきょさんが抽選箱を持ち、一人一人に引いてもらう。
「ダメだった~!」
「当たった!よかったー!!」
悲喜こもごもの声が上がります。
狐宵祭があれだけ盛り上がり、河越藩狐衆の結成、狐宵市の毎月開催、と広がっているのは、
やはり川越という街ならではだと思わされる。
蔵造りの町並みが残る川越は、着物を着て街を散策するのは見慣れた光景になっていて、
老舗の呉服屋から新しい感覚の着物屋もあり、
それに気軽にレンタルできるきものや沙羅さんといったお店もある。
「きものや沙羅 http://kimonoya-sara.tumblr.com/ 」
毎月18日は川越きものの日で着物を着ていると街の様々なお店、場所で特典が得られます。
また、川越には数えられるだけでも60以上の稲荷神社があり、昔から狐の街でもありました。
川越まつりの天狐の舞も祭りには欠かせません。
(川越まつり2014 http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-11942874282.html )
狐のイベントは場所との融合がとても大事な中で、
川越の土壌にもともとこういう文化があり、その上に咲いた現代の狐宵祭という花。
会場となっている喜多町会館近辺の雰囲気と狐の相性も良く、
目の前に広済寺があることも雰囲気を深める。
第一回狐宵市、終わってみればほとんどのブースが完売状態で、
改めて今、狐の熱気が感じられた一日でした。
イベント初出店の狐日和さんは、
「ほとんど売れたので嬉しかったです。これからも出店したいです!」
狐面堂さんは、
「たくさんの方に来て頂き嬉しかったです。
今後もタイミング合えば狐宵市に出店していきたいです」と話していました。
最後に、第一回の狐宵市の開催に花を添えようと、
狐宵祭にも登場した天心流兵法狐衆さんたちが、再び川越にやって来て
広済寺駐車場にて演武を披露しました。
短刀、脇差、打刀、太刀、三尺刀(大太刀)、槍の6種類を解説も交えて魅せました。
狐宵市、これから毎月始めの日曜日に開催されていきます。狐たちの奮闘、覗きに行ってみてください♪
「河越藩狐衆」