開院して間もない頃に、奈良でM皮フ科を開業されているO先生が来院してくださいました。私が天理よろづ相談所病院に勤めている頃に親しくしていただいている方で、マゴットセラピーなどでは本を出版していらっしゃる皮膚科の実力も高い立派な先生です。
まだ患者さんが少ない当院に来ていただき、わざわざ患者さんとして受診してくださいました。しかもお祝いのお菓子までいただいてしまいました。
そして、O先生はなんと「背中の粉瘤を取って欲しい」と申し出てくださいました。
粉瘤とは、皮膚の表皮が裏返って、皮下に袋ができてしまう腫瘍です。表皮嚢腫、アテローマなどとも呼ばれます。メスで切除して縫合するという手術法もあるのですが、粉瘤は袋状になっているという構造なので、小さく穴を空けてそこなら内容物と袋の壁を取り除くという手術法もあります。これを「へそ抜き法」と呼びます。
形成外科の先生はメスで切除して縫合する手術法を好まれるようですが、皮膚科領域ではへそ抜き法の愛好家が多いです。4mmくらいの穴が空くことになりますが、これは治癒するときに縮んでニキビの跡形くらいに治ります。縫合線が残らないのも利点です。
O先生の粉瘤もへそ抜き法で手術いたしました。
メールで手術後の経過は良好と聞いていたのですが、昨日はO先生から術後経過の写真入りでメールが送られてきました。ブログでupしても構わないとのコメントも添えてありました。お言葉に甘えてupさせていただきます。
1枚目は術後2日目の写真です。4mmの穴が空いています。

2枚目は術後7日目の写真です。穴がやや収縮しています。きれいな傷です。

3枚目は術後4週目の写真です。傷は治癒しています。時間が経てば、もっときれいになっていくと思います。


O先生、ありがとうございました!
病院ではなく医院での手術はできるだけ簡便ですぐにできる方法が望まれます。最近は近隣の皮膚科からも手術症例を紹介していただいています。
メスを使う手術、メスを使わない手術、サージトロンを使った手術、冷凍凝固による凍結療法、これかを適切に選んで皮膚外科治療を行っていきます。

これえだ皮フ科医院
院長 是枝 哲
http://koreedahifuka.com