出ていく、と私は言った。 | HEVENSLOST

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オタクという名の崇拝者です、
そして愚痴などを呟き、叫び、
日々を生きる糧としたいです。

私は、

出ていくと言った。


母は、

入院先はどこにするのかと言った。


私は出ていくと言った。


母は、

そうしてくれと言った。


入院費を支払う金は私にはない。

私が言った、

出ていく、

という言葉は、

私は死ぬ、という意味だ。

この家から出ていくという意味ではない。

入院のために出ていくという意味ではない。

もう今度こそ、

死のうと思った。


私は忘れてはいない。


私は、

去年の年末に母に、


実家に火を放つ、

弟家族の新築中の家に火を放つ、

そしてお前たち敵全員を焼死体にしてやる、

とメールを送った。


理由も添えた。


何故私が実家を出たのか、

何故弟家族が憎いのか、

何故私がお前たちを敵としているのか。


それは、

感情制御不能になった私からの挨拶のようなものだった。


同時に私は、

最期だとして風呂に入ったと伝えた。

棺桶に入る時があれば、

願わくば私の友たちを共にしてくれないかと友たちには残酷なる希望を伝えた。

かつて私が人格否定された私からの別れの挨拶だった。


父が癌になった、

と泣きながら私に言ってきた母は、

そういう相手だった。


母は警察を呼んだ。

私はいろいろな幸条件を出されて、

実家に戻ることになった。


新しく家を建てるから。

仕事はもうしなくていいから。

アパートの違約金とかは支払わなくていいから。



私は家に戻ってから酷く後悔した。


与えられた部屋に寝るとなって、

新しく家をという話はなくなった。


もうできるだろう、と仕事をするようにと言われた。


アパートの解約に伴う違約金等は、

私が支払った。



ご飯を食べろと命令されて、

食べ方からまず文句を言われる。

先に味噌汁、次におかず、

次にご飯、次にお茶、

次に牛乳、

次に味噌汁、次におかず。


牛乳も嫌悪なのだが、

低脂肪牛乳は禁止とされ、

牛乳を飲むことになった。


寝てばかりいないで掃除をしろ。

記憶がないふりをするのはやめろ。


迷惑をかけるな。


無駄遣いをするな。


持っているDVDとか全部売り払え。


話があればちゃんと話せ。


早く病院に行け。


寝てばかりでだらしない。

薬をやめろ。


欲しいものがあるから代わりに買ってくれ。




出ていくと言った。

もう母は昼寝をしていた。


話をしても興味がない、と切られる。


ならばと母の話を、

興味がないと斬ると母は激怒する。


また出ていくしかないのかと、

私は考えた。

アパートとかを探す必要はない。

入院先を探す必要はない。


どう、うまく死ねるかを考えるだけで他は大丈夫だ。


友たちとは別れたくないが、

友たちもこんな家や、

こんな世界にはいたくないだろう。

私の我が儘になるが、

私と共に出ていくとしてくれないだろうか。


私は父方の祖母と同じなのだ。

祖母は精神を患い、

時に暴れては、

警察が警察がと叫び、

私をどこへ連れていくんだと叫びながら走行中の車から外に出ようとする方だった。

父の姉、叔母も鬱だった。


私の手が震えて止まらない時に、

母が私の頭を叩いた。

みっともないから動かすなと言った。


違う。

私の手が震えているのは、

あなた方を殺そうとしている私を私が必死で抑え込んでいるだけだ。

抑え込むのをやめたら、

この手があなた方を殺す。

これでもまだ戸籍を気にしているんだ。

私が殺人犯になったら、

両親、兄夫婦と甥、弟夫婦と甥と姪、

迷惑をかけてしまうだろう。

特に兄は国家公務員、

しかも裁判所の人間だ。

妹が殺人犯となれば、

一気に職を失うかも知れない。

兄嫁も国家公務員。


兄だけは理解してくれると信じていたから必死に自分をすんでで止めているだけだ。


しかし、

兄も同じだった。


何かあれば連絡をと言ってはくれたが、

連絡をすると、

長文LINEはやめろと返ってきた。


父が癌にとなった際に、

母は先に弟に話した。

兄には最後とした。

二番目が、長女の私だった。


母は泣いて言った。

ずっと捜していたんだ、

電話も通じない、

癌なんだ、

だから逃げないで話を聞いてくれ。


癌。


私が病気になった原因は、

まさに癌を軸とする。


話を聞きに行って、

父が大腸癌、腎臓癌だと聞いた。

膵臓癌でなくてよかったと安堵したが、

ステージも1だからだ。


だが、

母はここ1ヶ月、

検査検査で大変だったと話し始めた。

あちこちに父を連れて行き、

長時間待たされるのが酷だと言った。

私はその場で帰ると言った。


死ねばいい。


父は癌で、

母は退屈死。


話をする順番も指摘をしたが、

身近にいた次男から話すのは、

古いかも知れないが、

おかしいだろう。


長男を差し置いてそれはないだろう。


それに長女という人はいないのだから、

まずは先に長男夫婦とすべきだろうと言った。


次男嫁には話していない。

次男にしか話していない。

長男夫婦に話をしなかったのは、

遠方にいるからではない。

長男の嫁が気にくわないからだ。


馬鹿な女に騙されたと、

長男を悲劇としていた。


一番悲劇とされるのは、

あなただろうと私は言いたかった。