【解説】あなた私のこと好き? 1度目と2度目の真意 | 恋心、お借りします

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【解説】あなた私のこと好き? 1度目と2度目の真意

 

はいどーも!かのかり楽しんでますか?

 

この記事では、千鶴と和也の関係の象徴ともいえる、この言葉「あなた 私のこと好き?」について、解説していこうと思います。

 

180話現在。この言葉、作中では2度登場します。1度目は、二人が出会って初めてのクリスマスの後(32話)、2回目が「俺の理想の彼女はさ」を千鶴が聞いて涙した後(173話)です。

 

千鶴は、和也が自分の事好きかどうか聞きたいんでしょ?

 

いいえ、違います。

 

同じ言葉だから同じ意味ではありません。まったく逆の意味で使われているんですね。でも、どちらも和也のこと”好き”なんだなーって良く分かります。

 

特に、かのかり読者の皆様には2度目の「あなた わたしのこと好き?」という言葉だけで、千鶴は和也に恋してるんだなーと分かって欲しい。千鶴の表情が全く分からなくても、恋してるのは確定です。そんな願いを込めた解説をしてみたいと思います。

 

 

  1度目の あなた私のことスキ?

 

◆レンタル彼女と客の協定 32話

 

1度目の「あなた私の事スキ?」は、クリスマスの後、千鶴が和也との関係を確認したときですね。「はっきりさせたいことがあるの」と言って話を切り出し

 

あなた 私の事スキ?

 

和也が「好きじゃねぇよ」と言うと、千鶴は「だよね!」と即答。和也とは、恋愛する気はない、あくまで単なる協定関係なんだ釘を刺します。


このとき千鶴は、和也が自分に恋愛感情があるのか知りません。そして、和也との関係はあくまでレンタル彼女と客。お隣さんも含めプライベートでの付き合いは基本NG。当然、恋愛もなしのはず。和也がその気ならレンタルしてもらうわけには行きません。

 

また、レンタル彼女として、彼との時間は”楽しい”と感じてますし、和也へのプレゼントを選んでいたときは楽しそうでした。

 

当時のふたりの関係性を説明すると、ざっとこんな感じです。

 

ここで、千鶴は「あなた私のことスキ?」と聞いて何がしたかったんでしょうね。二人の関係をはっきりさせたい、つまり、ふたりが恋愛なしの客とレンタル彼女の関係であることをハッキリさせたい、と言っているというわけですが。じゃぁ、何のためにふたりの関係をはっきりさせたかったのかまで考えてみます。

 

レンタル彼女として 和也と付き合っていきたい

 

究極的な目的はコレなんですね。恋愛感情なしが前提の関係なので、そこをハッキリさせなければレンタルしてもらえないし、好きだと言われると困るんです。和也が「好きじゃねぇよ」と言うと、

 

だよね!

 

この言葉待ってましたと言わんばかりの即答。レンカノでいられて良かったね、千鶴。

 

和也と恋人になる気はマジでないみたいです。

 

まとめると

 

レンタルして欲しい 好きだと困るんだけど!

 

こんな感じの意味です。「あなた私のこと好き?」と言いながら、頭の中ではこう思ってるんですね。恋愛する気はないけれど、客としての和也はめっちゃ”好き”ってのが分かりますね。

 

 

 

  2度目の あなた私のこと好き?

 

◆あなた 私の事好き? 174話

 

千鶴が本当に辛いときにいつも駆けつけてくれたのが和也でした。千鶴は和也の協力で映画製作を成功させ、「小百合おばあちゃんに自分が映画に出ている姿を見せる」という夢を叶えます。和也には感謝しかありません。

 

小百合おばあちゃんを亡くしたとき、その悲しみを受け止めてくれたのも和也。今千鶴は和也を心から頼りにしています。そう思える人は和也だけ。強がりな千鶴には換えのきかない存在です。そして読者なら、千鶴が和也に恋をしていることもなんとなく気づいているはずですよね。

 

二人の関係を決めたあの日から、和也とは恋愛なしの協力関係、彼女は和也の恋を応援する立場にいます。

 

あなた 私の事好き?

 

ここで改めて、わざわざ和也をカフェに呼んで、彼の気持ちを確認してます。では確認して何がしたかったのか。

 

ふたりの関係を見直したい

 

つまり

 

和也と恋愛したい

 

ってことなんですね。ものすごく理屈っぽいですが、それしかありません。このときの二人の関係性と千鶴の行動だけみても、千鶴が和也の恋人になりたいと思っていることが分かってしまうんですね。あら不思議。もう、それくらい大好きなんです。

 

ただし、この言葉を聞いた和也にとっては、1度目のままなんです。この鈍ちんが!

 

このときの千鶴は、ほんとうに和也のことが好きで好きでたまらなく、傍にいて欲しいと思っています(【179話】ずっと傍にいたいって)。しかし、これまでは、和也が自分を好きでいてくれるなんて思ってもいませんでした。だから二人の関係を変えようとは思えなかった。レンタル彼女として彼を応援しながら、片思いしていたんですね(【解説】ずっと深刻だった水原千鶴の葛藤)。それが「俺の理想の彼女はさ」という言葉を和也本人から聞いて、すこしだけ和也は私の事が好きなのかもと思えたんです(20巻 水原千鶴の恋物語 理解度⑥)。そして、その言葉にすがらざるを得ないくらい、好きで好きでたまらないんですね。だからここで改めて二人の関係を見直したかった。和也が好きだと言ってくれるんだったら、ふたりの間の恋愛なしってルールをやめましょうと言いたかったはずです。

 

私と同じ気持ちなら 恋人になって欲しい

 

こういう意味です。

 

もちろんこの時は、あくまで和也の気持ちを確認しようと千鶴は思っているだけです。この場ですぐに恋人になろうとしているわけではありません。でも、その先の目的まで考えると、恋人になって欲しいと願って「あなた私のこと好き?」と言っていることは間違いないんですね。

 

あなた 私の事好き?

 

この言葉で自分が彼を好きだということがバレてしまうかもしれない、でも叶うなら今の関係を変えたい、それくらい勇気と願いを込めた言葉なんですね。それはもう、告白です。千鶴にとっては、「私はあなたが好きです 彼氏になってください」、そう言うのと同じくらいの覚悟の要る言葉なんです。

 

 

 

  3度目の あなた私のこと好き?

 

174話で和也の本当の気持ちを知ることができた千鶴。今はもう、二人の恋愛なしの関係を解消しましょうと、あなたが好きですと、そう伝えるだけで和也と恋人になれます。あと一歩なんです。

 

もし3度目の「あなた 私のこと好き?」を和也に言うことがあるなら、その意味は

 

あなたが好きです 私の彼氏になってください

 

これです!この言葉、期待したいですね。

 

 

 

僕の読み解き方は、感覚的にいうと、”キャラクターの視点でその世界をのぞいてみる”って感じですね。自分自身の視点からそのキャラって何考えてるんだろうなって想像するのではなく、そのキャラクタになってみるという感覚に近いです。

 

作中で描かれる、キャラクターに与えられた状況やキャラクター同士の関係性をちゃんと理解したうえで、行動の”目的”を捉える方法です。

 

極力、自分勝手な経験則や妄想は入れたくないなーと思って読んでます。それでも作品の中で読み解くのに必要な要素はほぼ描かれて、ちゃんと理解できるようにはなっているんです。誰が読んでも、ストーリーやキャラクターの心理に大きな違いはなく読めるように作られているんです。実際それが描かれなければ、多くの人に共感してもらう、キャラ心理に説得力を持たせるなんて不可能だと思います。あーこの状況だったら、誰でもこう思うよね。こうしたいよね。自分もそう思うかもしれない、そんな気分になれます。

 

自分の経験を重ねるのではなく、根拠のない妄想で読むのではなく、この子ってどんな状況にいるんだろう、この子にはあのキャラってどう映ってるんだろう、それでこの子は今何をしたいんだろう―――必要なものは全部描かれています。それらを作品から読み取ってキャラの気持ちを掴む。そう言う読み方ができると物語はもっと楽しめますよ。

 

では、また次の記事で!