【179話】ずっと傍にいたいって | 恋心、お借りします

恋心、お借りします

(自称)水原千鶴を応援する会の会長。
頑張りますので、イイね下さい。

【179話】ずっと傍にいたいって…

 

 

「彼女、お借りします」179話のレビュー二つ目です。今回は、「ずっと傍にいたいって」っていう千鶴の言葉にフォーカスしてみます。

 

和也にカレシ欲しくないのか?と聞かれた千鶴は、「いいなと思う」と答えた後、こう続けます。

 

 

◆ずっと傍にいたいって 179話

 

それに…

たぶん思う

好きになったら 付き合いたいって…

ずっと傍にいたいって

 

完全に恋する乙女な千鶴ちゃん、めっちゃ可愛い、、、。

 

ちゃんと千鶴を見てきた読者なら分かりますね。和也の傍にいたいと感じているからこそ、こう言ったんです。

 

19巻 水原千鶴の恋物語 理解度⑤」で、僕は、あの夜和也の前でたくさん泣くことができたときから、千鶴は和也が好きで好きで傍にいて欲しいと思ってますよって解説してきました。

 

そちらの記事では、あまり理屈っぽい解説はしたくなかったので、それとなく伝わるように誘導したんですが、今回はなぜ千鶴がそう思っているのか一つ一つ丁寧に話していこうと思います。

 

 

 

  小百合おばあちゃんの死と孤独

 

千鶴(一ノ瀬ちづる)には両親がいません。父親は小さいころに家を出ていき、母親はそのあとすぐに亡くなってしまいます。そのあとは、祖父(おじいちゃん)と祖母(小百合おばあちゃん)に育てられてきました。

 

千鶴にとって、おばあちゃんとおじいちゃんは、自分の一部であると言っていいほど大切な存在でした。

 

おばあちゃんは自分を育ててくれた母親であり、理解者であり、憧れであり、自分に女優になる夢を与えてくれた人です。そして本当は弱さを持つ自分を、唯一さらけ出せる人です。

 

おじいちゃんは、自分の夢を一番に応援してくれる人でした、いつもバカみたいに味方になってくれる人でした。おじいちゃんとの約束―――女優になって映画に出ている姿を見せるという約束を、絶対叶えたいと頑張るほど大切な存在だったのです。

 

千鶴は、3年前におじいちゃんを、そしてとうとう唯一の肉親であるおばあちゃんを亡くします。

 

大切な2人を亡くした千鶴には今、心から頼れる人が誰ひとりいません

 

 

  自分の弱さを受け止めてくれる人

 

千鶴は強がりで他人に弱さを見せるのが苦手です。ですから、小百合おばあちゃんを亡くした悲しみを、仕事仲間にも役者仲間にも大学の友達にも見せようとはしません。ひとりでずっと泣いていたはずです。

 

でも、その悲しみは、ひとりで泣けいて晴れるものではなかった。へいきっへいきっと自分に言い聞かせながら、どこかブレーキをかけていたんじゃないでしょうか。

 

千鶴には心の底から頼れる人がいない。弱い自分を受け止めてくれる存在がいない。

 

だから大切な人を失った悲しみを誰にも吐き出すこともできず、ずっと抱え続けてしまったんです。

 

僕らの周りには当たり前にいる、両親だったり恋人だったり親友だったり、心から頼れる人が誰一人いない。いつだって味方でいてくれる人がいない。だから、寂しいんです。

 

 

 

そんなときに傍にいてくれたのが和也でした。

 

和也は千鶴が自分の夢を諦めそうになったときいつも駆けつけてくれました。諦めるなんて言うな!俺が金集める 水原は出ろ!そう言って千鶴を支えてくれたのです。

 

強がってはいても、本当は和也を頼りたい。小百合おばちゃんを亡くしたときから本音ではそう思っているんです。

 

 

◆「俺の理想の彼女はさ…」 19巻164話

 

和也との楽しい時間も終わるというとき、きっと寂しい気持ちが募ってきたと思います。

 

そのとき和也が、「俺の理想の彼女はさ」と言って、”ずっとあなたを見てきた あなたに励まされてきた だからもし本当に悲しいなら 泣いて欲しい 頼って欲しい”と言ってくます。

 

小さなころおばあちゃんにギュッと抱きしめてもらって安心できた、それと同じものが和也の傍にはありました。

 

千鶴は和也の前で、泣いて泣いて泣いて、大切な悲しみを素直に吐き出すことができました。

 

 

 

◆「すっきりしちゃった」 166話

翌日、千鶴は晴れやかな笑顔を見せます。

 

もう千鶴にとって和也は、自分の弱さを受け止めてくれるたった一人です。

 

もし今後、和也を失ったら、千鶴はまたあの寂しくて寂しくて仕方がない日々に戻ってしまいます。だから千鶴は和也を絶対に失いたくないし、ずっと傍にいて欲しいと感じるんです。

 

 

 

ずっと傍にいたいって…

この言葉は、あの夜「俺の理想の彼女はさ」と一生懸命に言葉を尽くしてくれた和也に対する答えだと思います。

 

この鈍チンがああああ!と盛大に和也に突っ込みを入れつつ、ふたりの恋を応援してあげてください。

 

19巻 水原千鶴の恋物語 理解度⑤