ちょっと色々、殊に季節感など、あまりにもそれらしくなくて。

 

滅多にはずすことのないヒガンバナでさえ、今秋は未だこんなです。

 

 

 

ということで(←何が?)気まぐれ図書館、えーっと「家族モノ」編?

 

 

⚪家族シアター/辻村深月(講談社文庫)

 

 

近くにいるから傷つけ合う。遠くにいてもわかり合える。
大好きだけど、大っきらい--読めばきっと、あなたの「わが家」に帰りたくなる。

 

真面目な姉を鬱陶しく思う妹。
趣味で反発し合う姉と弟。
うまく息子と話せない父。
娘の考えていることが理解できない母……

あなたの家族もこの中に。家族を描く、心温まる全7編。

 

*講談社BOOK倶楽部:家族シアター

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212819

 

とのことですが、そりゃ家族に限らず、人間関係仲良いばっかじゃないのは当たり前です。と言うか、大抵の人が、合わないところがあっても、そこそこ上手くやっているわけでして。

 

 

「妹」という祝福

サイリウム

私のディアマンテ

タイムカプセルの八年

1992年の秋空

孫と誕生会

タマシイム・マシンの永遠

 

 

という7本の物語。いずれも、結構えぐってきたりしてヒリヒリしたりもするのだけれど、最後は(良い意味で)何となく丸め込まれちゃう、みたいなお話です。


「私のディアマンテ」で、母が娘に、相手は誰だではなく、堕ろしなさいでもなく、ただ「……その人のことが、好きなの?」と尋ねるところとか、「タイムカプセルの八年」の父息子関係というか父親同士の交流というか、好きだな、ってところも多々ありました。

 

 

でもって、以下は「1992年の秋空」からです。

 

「この貝、どのぐらい深いところに沈んでいたのかな。なんで、海の音がするんだろう。貝が記憶して一緒に持ってくるのかな。だとしたら、テープレコーダーみたい」

 

姉がちょっと文系っぽいこと(?)を呟くと、妹は、

 

「貝の中から聞こえる音は、海の音じゃなくて、自分の耳の音なんだよ」

 

とか、やけに理系っぽいこと(?)を言ってしまい、さらに、

 

「よく、貝殻から海の音が聞こえるっていうけど、それを出してるのはお姉ちゃん自身。〜〜〜 ――だからこの音は海の音じゃないし、貝殻の記憶でもないよ」

 

なんて解説までして、けれど、そのうえで、

 

「その音は――」

 

と続けようとしたところで姉の方が耐えきれず・・・という対話シーンがありまして。ああ、分かるなあ、なんて思ったりしたわけですが、実は伏線でして。「その音は――」の続き、最後に出てきます。

 

 

人間関係、好きと嫌いのモザイク模様ですが、人ひとりの性根も文系と理系とにスパッと分けられるもんじゃありませんね。

 

 

 

⚪サイレント・ブレス 看取りのカルテ/南杏子(幻冬舎文庫)

 

 

大学病院の総合診療科から、「むさし訪問クリニック」への“左遷"を命じられた37歳の水戸倫子。そこは、在宅で「最期」を迎える患者専門の訪問診療クリニックだった。命を助けるために医師になった倫子は、そこで様々な患者と出会い、治らない、死を待つだけの患者と向き合うことの無力感に苛まれる。けれども、いくつもの死と、その死に秘められた切なすぎる“謎"を通して、人生の最期の日々を穏やかに送れるよう手助けすることも、大切な医療ではないかと気づいていく。そして、脳梗塞の後遺症で、もう意志の疎通がはかれない父の最期について考え、苦しみ、逡巡しながらも、大きな決断を下す。その「時」を、倫子と母親は、どう迎えるのか?

 

*幻冬舎:サイレント・ブレス 看取りのカルテ

https://www.gentosha.co.jp/book/b11804.html

 

これは重いかなと身構えましたが、ちょっぴりミステリー要素も入っていたりして、案外スラスラと読めました。

 

プロローグ

ブレス1 スピリチュアル・ペイン

ブレス2 イノバン

ブレス3 エンバーミング

ブレス4 ケシャンビョウ

ブレス5 ロングターム・サバイバー

ブレス6 サイレント・ブレス

 

という6(+1)話ですが、きれいに繋がってまして。良い人も良くない人も程良く出てきます。

 

ここでは、今(アラフィフ)の気分で、心に残ったセリフだけご紹介します。

 

倫子の上司にあたる大河内教授:「医師にとって、死ぬ患者は負けだ。だから嫌なもんだよ。君も死ぬ患者は嫌いか?」

 

倫子たち行きつけの定食屋のマスター、ケイちゃん:「私、わかる。人はささやかなのぞみが大切なのよ。だって、この世からいなくなる直前よ。やりたいことやって食べたいもの食べて、思いっきりわがまましたいじゃない」

 

倫子の父が入院している病院の根岸教授:「患者さんには反応がないけれど、本人は音や香りを楽しんでいるかもしれないと想像することはできます。でも僕は同時に、本当は苦しいだけではないのか、とも想像してしまうのです。ただ、それを確認する方法はなく、楽にする治療もない……」

 

大河内教授:「水戸君、もう一度言っておくよ。死は負けじゃない。安らかに看取れないことこそ、僕たちの敗北だからね」

 

 

そういえば、1月に亡くなった義父は、病院にパソコンを持ち込み、意識がはっきりしている内は、ほぼ最後までデイトレーディングを楽しんでました(けど、暗証番号は言い遺しておいてほしかった。いや、マジで)。

 

そんなわけだから、自宅で、というわけにはいかなかったけれど、義母(つまり妻)は、それなりに介護して、ちゃんと看取れて、まあ、良かったと思います。

 

 

 

⚪死化粧 最後の看取り/小林光恵(宝島社文庫)

 

 

逝く人と看取る家族が、「エンゼルメイク」によって、つかの間だが、心のこもった交流をすることが可能となる。それは、長かった戦いの日々の終わりを告げる静かな儀式のようでもある…。ここに収録された7編の物語は、著者が主宰するエンゼルメイク研究会にナースたちから寄せられた実話を、著者がまさしくアレンジ(エンゼルメイク!)したものだ。生と死が溶け合い不思議かつリアルな雰囲気が充満する、傑作小説集。

 

*宝島CHANNEL:死化粧 最後の看取り

https://tkj.jp/book/?cd=70692601

 

これこそ重いんじゃないかと心配しましたが、大丈夫でした。

 

はじめに

「縛らないで!」[顎を縛る習慣について]

「うちが、いちばん」[自宅でできるエンゼルメイク]

父さんの口の色[臓器提供をめぐって]

会わせてほしかった[救急外来でのエンゼルメイク]

「おかみの微笑だ」[特別養護老人ホームでの死]

義母のにおい[病気によるにおいにまつわる話]

オヤジの顔[男性のエンゼルメイク]

 

という7(+1)話です。

 

人生観とか死生観とかに関わる話ですし、もうね、実際に読んでいただいて、それぞれに感じていただく他はないと思います。

 

ちなみに、ですが、一番印象に残っている「会わせてほしかった」から、主人公の同僚、佐久間さんのセリフです。

 

「救急外来でのエンゼルメイクは、ほとんどの場合患者さんの生前の元気なときの顔を知らないでしょ。笑ったところ、目を開けた顔さえも見てないことがある。だから、その人らしくというよりも、人として気の毒ではない状態にという気持ちでやるしかないのよね。悲嘆ケアの資料に書いてあったけど、親が亡くなるときは過去を失い、配偶者が亡くなるときには現在を失い、子供が亡くなるときには未来を失うって」

 

 

哲学畑では「未だ無い未来、最早無い過去」みたいな表現をしたりするのだけれども、本当は、心に描いている未来、胸に遺っている過去、全部含めて現在の自分だよ、とか思う時もあります。

 

失ったようでいて失われていないモノ、人は皆、そいうものに囲まれて生きているんじゃないかしら?

 

 

 

 

 

 

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死化粧の小林光恵さん、実は『おたんこナース』(BCコミック全7巻)の人です。
 
 
*SHOGAKUKAN COMIC:おたんこナース〔BC〕