自公連立合意のありえない決定過程
自公連立合意のありえない決定過程
2017.11.03.
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はじめに
未読の方は、まずこちらをお読みください。👉 「11月1日に特別国会召集、というありえない日程」完全版:Geocities、抜粋:アメブロ/ハンゲブログ
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この記事は、10月27日に“特別国会を翌月1日に召集”と報道されたことを受けて、「でも、首相指名で公明党議員が安倍氏に投票する以前に、やらなくちゃいけないことがあるよね」と指摘する必要を感じ、書き始めたものです。 “新内閣をどういう方針で運営していくか”という合意もなしに連立を組むのは、それこそ「理念なき野合」「政権に居座るためだけの野合」「与党でありつづけることが自己目的化した野合」です。 27日時点では、“自公間で、連立協約づくりの交渉が こんな感じで進んでいる”という報道が、全く流れていませんでした。 そこで、「この『ありえない事態』を『ありえない事態だ』と認識できる市民が 少しでも多くなってほしい」と願い、執筆を開始した次第です。
しかし、27日時点で連立協議に関するニュースが皆無であったのも、(Hidyは遅まきながら昨日(2017.11.02.)気づきましたが)当たり前です。 連立合意は、既に締結されていたのですから。
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民主主義諸国における連立合意文書
その自公間での「連立政権合意」を見る前に、民主主義国における連立合意文書というのはどういうものか、それを見ておきましょう。
2013年の前回連邦議会選挙後に締結された、CDU-CSU(キリスト教民主同盟-キリスト教社会同盟)・SPD(社会民主党)間の連立協約です👉 合意文書へのリンクサイト/合意文書「Deutschlands Zukunft gestalten ドイツの未来を形作る」(PDF)。 選挙の投票日から連立合意の成立までの日程については、こちら👉 Geocities。
今年の10月10日に成立した、オランダの4党合意👉 合意文書へのリンクサイト/合意文書「Vertrouwen in de toekomst 未来への信頼」(PDF)。 第二院選挙の投票日は2017年3月15日。
今年の10月24日に成立した、ニュージーランドのLabour・New Zealand First間のアグリーメント👉 合意文書へのリンクサイト/合意文書(PDF)。 総選挙の投票日は、9月23日。
ドイツ語やオランダ語を読めない方(私自身、オランダ語はほとんど分かりません)も、民主主義諸国における政党間の連立合意文書というのが どの程度のボリュームなのか、それだけでも体感なさってください。
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自公連立合意2017
公明党の公式サイト、ニュース>「自公が連立政権合意」(2017.10.24.の記事。連立政権合意全文も掲載されています)。
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二重三重に、ありえません。
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1
まず、合意文書の分量が、論外です。 欧州などで行われている「本物の民主政治」に比べると、日本の政治は「おままごと」「政治ごっこ」でしかない、ということを思い知らされます。 (「本物の民主政治」と言ったのは、欧州・NZなどにおける政治を理想化・神聖視する意味ではありません。 が、それについて読者の皆さんに説明しようという意欲が湧いてきません。 詳説は省きます) 内容的にも突っ込みどころが満載なのですが、それらに対する批判をいちいち書こうという気力すら起こりません。
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2
ボリュームの貧弱さや内容的な空疎さという問題とも密接に絡みますが、決定プロセス(日程のことも含めて)もありえません。 22日の20:00に投票締め切り⇒開票開始。 そして、翌23日の昼過ぎに連立政権合意の文書を決定。 意思決定にかかわった組織・機関も問題です。 上記の公明ニュースを読んでも、自由民主党の公式サイトを調べても(「連立政権合意」の検索結果、10月27日・二階幹事長記者会見、機関紙『自由民主』11月7日号の概要)、各党でどのような決定プロセスを経たのか全く分かりません。 それ自身が論外ですが、選挙の翌日に合意ともなると、幹部党員の会合(公明党なら常任役員会あるいは中央幹事会、自民党なら総務会とか役員会とか)すら開かず、せいぜい「三役」あたりのレヴェルの人たちだけで独断専行した可能性が極めて高いでしょう。
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いや、それでも「半日」というのは、あまりにもスピーディーすぎます。 すでに選挙戦のさなかに、事務レヴェルで、あるいは、両党の「パイプ役」の政治家同士で、“選挙が終わったら…”という話がついていたのでは……今、私はそう疑っています。 もしも私の この疑いが正しければ正しかったで、自公両党の「最低賃金1000円」という選挙公約(あくまで一例です)は、もともと本気ではなかった(連立協約に盛り込むつもりはなかった)ということになります。 そのような事前密約がなかったのならばなかったで、自公両党はお互いの主張をガチンコでぶつけ合いこともせず、“とにかく短時間で合意文書の形を作ること、これを最優先にした”ということになります。
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「今は非常時なのだから、最重要課題についてだけでも さっさとコンセンサスを形成し、新内閣を発足させるべき。 「国難」とまでは言えない「軽め」の諸課題については、おいおい話をつければ良い」――そういう意見があるかもしれません。 仮にその見解が正当だとしても(ちっとも正当ではないのですが)、この自公連立政権合意は合理化できません。 5つの大項目から構成される合意の第1の大項目として挙げられているのは北朝鮮問題ですが、ここはたったの二文で終わっているのです(ほかの大項目も似たようなものですが)。 それでも、自公両党に好意的な見方をすれば、「いつミサイルが飛んでくるかわからない状況では、悠長なことは言ってられない。 大まかな方向性で一致していれば良し。 国防策の詳細の詰めは、今後」と言えるかもしれません。 しかし、合意には「大まかな方向性」すら欠けているのです。
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合意には「米国・韓国・中国・ロシアをはじめとする国際社会と連携・結束して」「毅然とした強い外交力によって」と記されています。 しかし、その外交の方向性について、自公間には無視できない相違があります(詳しくは👉Hidyのウェブサイト「総選挙をめぐる嘘2/3「現実的な安全保障政策」とは?」)。 公明党は口先だけでは「政治、経済、安全保障、文化など様々な分野における協力関係や人的交流を強化・拡大し、未来志向で重層的な新たな日韓関係の構築に取り組みます。」と言っておきながら、選挙の最中に既に 自由民主党の排外主義的・自民族中心主義的な外交方針を容認する肚積もりだった――そういうことなのでしょうか?
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3
加えてありえないのが、マスメディアの対応です。 選挙翌日に連立合意に署名、というありえない事態を、ありえない事態として報道していません。 上にリンクを張った二階幹事長記者会見でも、連立合意に関する質問は一切なし。 たしかに、“首相指名だけで終わらせるのか。 審議もするのか”という問題や「北朝鮮のおかげ」発言など、聞くべきこと、大事なことは、確かに他にもありました。 しかし、第一に、それらの問題についても、通り一遍の問いだけで、ジャーナリストに求められている鋭い追及など、見当たりません(自民党のまとめ方が極端に恣意的でないとすれば)。 第二に、(あくまで、紙面上でのやり取りから得た印象ではありますが)それほどスケジュールが詰まっているわけではなく、しかも、大したことのない質問までしているのですから(「幹事長として…中略…政権運営等にどう取り組むべきかを一言」などという ぼやけた問いの立て方、プロの記者としてありえません)、“連立合意の決定プロセスand/or連立合意の内容をめぐって二階氏を追及する余裕がなかった”という言い訳は通りません。
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私はつい先日「ジャーナリストや多数派政治学者があまりにも鈍感で(民主主義を根本のところで理解できていないから、民主主義に反する事態が発生しても、「おかしいのでは」という感覚が生じない)」と書きました。 要するに、そういうことなのです。 ドイツやオランダやニュージーランドなどでは起こりえないことが眼前で起こっているのにもかかわらず、「変だ」という感覚が生じない。 一般市民に比べたら まだ国外事情に触れる機会の多いはずの記者さんたちでさえ、非民主的な政治文化に骨の髄まで侵されている。 悲しいけれども、そう認めるしかありません。
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お別れの挨拶
お別れの挨拶
というわけで、「日本の有権者の皆さんに向かって日本語で情報を発信する」というモティヴェイションを、私はすっかり失ってしまいました。 そんな無駄なことに時間と労力を割くくらいなら、日本国外で就職するために全エネルギーを集中するべきだ。 国外脱出を果たすことに全力を尽くすべきだ。 そういう結論に達しました。
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Geocities、ハンゲブログ、アメブロ、Twitter、Facebook などで 政治関連記事を日本語でアップすることは、今回が最後です。 政治以外のテーマでの発信も、ほとんどなくなるのではないかと思います(そんな暇があったら、英語・ドイツ語での発信を優先したい)。
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背景
この思いは、最近になって生じたものではありません。 20年、あるいはそれ以上抱えてきたものです。
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目次を立てたときには、そのあたりのことを 多少説明するつもりでしたが、いまや、その気力すら失せています。 ごく簡単にだけ述べておきます。
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ある社会に民主主義が根付くには、長い年月が必要。 かつ 社会変容は一方向ではない(揺れ戻しがある) しかし 人類史の大道を見れば、我々は、〇自由と民主主義を発展させる方向へ、 〇社会的公正を重んじる方向へ、 〇生態系の持続可能性を大切にする方向へ… と進んでいる。
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日本の今後はどうか? 革新と反動のスウィングがありながらも、数十年単位とか百年単位とかで見れば、民主化を果たしてゆくだろう(それが出来なければ、衰退するだけ)。 だが、高々七〇年前に民主主義国になったばかりの日本に(しかも、内発的ではない)、そうやすやすと民主主義が根付くはずもない。 (フランスを見ても米国を見ても、社会が民主主義的に成熟するのが、いかに難しいことか!)
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個人的な幸福を考えると、日本社会の進化のために尽力するより、「まともな社会」に脱出するほうが良いのでは? かつ 世界全体の利益を考えても、今日の日本国の危険性を地球社会に報知するほうが、日本の有権者に向かってものを言うよりも、有益なのでは? (ナチスドイツによるズデーテン併合、日本帝国主義による朝鮮併合←他の列強が容認 ⇒⇒ ファシスト勢力の増長 ⇒⇒ 世界に災厄を振りまく ←この失敗を繰り返さないために、自由民主党とその政府の全体主義性・自国自民族中心主義性を 民主主義諸国に知らしめ、早期に適切な対処を取るよう 警告を発する必要性)
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お礼
というわけで、ネット上で政治関連の日本語情報を発信することは、これで終わりです。
今まで私のブログ記事や動画を閲覧・視聴してくださった皆さん、ありがとうございました。
「いいね」をポチっとしてくださった皆さん、ありがとうございました。
記事や動画を予約してくださった(Hidyをフォローしてくださった)皆さん、ありがとうございました。
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おしまい
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