我が家の次男くんは
3つ上のお兄ちゃんの泳ぐ姿に憧れ、
小学校1年からずっと水泳の選手コースで
泳いできました。



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それこそ
お兄ちゃんは
小学校6年生まで、



友達と遊ぶ時間もないほど
土日も
ゴールデンウイークも
早朝から練習漬け。




スイミングクラブが
ちょっと遠かったこともあり、



送迎では、
おばあちゃんが送り、
私が迎えに行く日々が
ずっと当たり前のように続いていました。






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シーズンは
ほぼ日曜日が大会で、




私も主人も
この子のおかげで



福岡や
熊本、
長崎
連れていってもらえたり、



6年生の時は
九州大会が沖縄で開催され、
この子は
そうやって大会があるごとに、
先輩方から可愛がってもらっており、



良かったなぁ
と思っていましたし、




なにより、
わたしは
この子の泳ぐ姿が
大好きでした。





そのお兄ちゃんが、


中学校になって
「水泳は辞める」



と言った時、



誰もが
もったいない。
まさか。



そう言いました。

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次男も、
当時小学校4年生になる前でしたが、


「なんで辞めると?
もったいない。」




そう言っていました。




もちろんわたしも
そう思ったことは確かです。




でも、
思い返せば、
この子は
いつ
どんな時でも

一日中練習漬けになろうが、

寒くて
まだ外が真っ暗な時期の朝練の時も



なにも
なにも言わず、




ただ、




練習に向かっていました。



私が
朝、寝坊して起こす時間が遅くなろうが、
絶対文句も言わず、




起こしてくれてありがとう。




そう言っていました。




だから、
もう



解放してあげないと。



何となく
そうおもうのでした。




とてつもなく残念に思う主人をよそに、



わたしは
中学校生活を
笑顔で過ごすこの子の姿をみることが


本当に
嬉しい毎日でした。



まぁ、
少しは今でも


もったいないな、

とは思うのですけれど。

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6年生の頃、



「今日、練習休んでいい?
頭が痛い。」



そういう日が
たまにでてきたことがあります。




わたしは
そういうこの子にいつも




いいよウインク




そう
言っていました。




すると、
本当に嬉しく、
ホッとした表情をするのです。





そんな日は、
いつにも増してわたしにいろんなことを話してくれたり、
いろんなことを手伝ってくれ、




一緒に夕飯作ろうねおねがい




一緒にキッチンにたつこともありました。





わたしにとって
その時間は
とても
とても
貴重なものでした。






そしてまた、
翌日から
当たり前のように
練習に向かう日が続くのでした。




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中学校が始まり、
この子はスイミングの世界から離れ
陸上に専念することになるのですが、







そんなある日、
この子の部屋を片付けている時、
ふと
目に留まった作文に






わたしは
号泣するのです。




それは、
この子が書いた
読書感想文でした。




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~中略

ぼくは、
小学校の頃
ずっと水泳の練習に行っていました。


選手コースだったので、
ぼくは、
友達と遊ぶ時間がありませんでした。


練習もきつかったので、
時々、

休みたいな

と思う日がでてくるようになりました。


そんな時、
お母さんに


休んでいいかと聞くと、


お母さんはえがおで

いいよ


と言って
スイミングに
休みの電話をいれてくれました。



ぼくは、
心がホッとしました。


そして、
お母さんと一緒にご飯をつくったり、
クッキーを作ったりしました。


だからまた
練習に行くことができました。



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この子は
高校1年生になります。




辛い
だとか
行きたくない


とか
一切言わなかった当時のことを



ポツリポツリ
話してくれる度に、




当時
まだちっちゃな身体で
どんなに
いろんなことを独りで抱えていたのだろう
かと、


知らず知らずのうちに
水泳に縛りつけてしまっていたのではないかと
せつなくなることがありますが、




あの時、



いいよ




言えたことが
本当に良かったと
心から思います。



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お兄ちゃんが辞めて
当時4年生だった次男くんは
いつも一緒に行っていた
大好きなお兄ちゃんがいなくなり、



独りで行くことになるのですが、




わたしはこの子に
やってはならないことをしてしまっていることに、
気付くことなく、
3年間が過ぎるのでした。



続く。