今日は一いちの日
大道芸人が年取って、
芸もあんまり出来なくなって
生活に困ったから、修道院に入った。
修道士たちは、毎日いろんなことをして
神様のために働いてる。
詩を書いたり
絵を描いたり
学問を研究したり。
元大道芸人は、
皆に圧倒されてすっかり意気消沈、
毎日ぼんやり過ごしてた。
でも、ある時から、
イキイキとしてて楽しそうになった。
不思議に思ったある修道士が、
ある日礼拝堂に入る元大道芸人を
こっそりつけて何をしてるのかを見た。
元大道芸人は、マリア様の前で、
自分の芸を披露していた。
芸がおわって汗だくの彼の額を、
マリア様は台座から降りて
衣の裾でぬぐってやっていた。
自分の全てを誰かに与える日。
この話は、詩人のナプキンて短編集に入ってた話。何十年も忘れられない。
湖乃玻