だから日本のテレワークは失敗する | 近藤昇ブログ 仕事は自分で創れ!

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「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

 

 

不便の解決のための便利なものが新たな不便を生む。

 

人間とはつくづく進化が好きだと思う。

 

私も含めての話しだが、人間は今の不便を解決するために、新しい便利なものを求める。

テクノロジーの進化はその象徴でもある。

 

ここ数年、ベトナムでも日本でも私の口癖でもありセミナーでもよくネタにしてきたことがある。

“この便利なスマホ、近い将来どうなると思いますか?”

と、参加者に質問する。

 

答えをもらうのが目的ではないので、たいてい話を続ける。

“近い将来無くなります。不便なものは無くなるのが人類の歴史だから”

すると、大抵の人が怪訝そうな表情を浮かべる。

こんな便利なものが無くなる?どういう事?

信じられない。

こんな感じの反応だ。

 

 

正確に言うと、私は全く消えてなくなると言いたいのではない。

進化すると言いたいのである。

今の不便を解決するためにテクノロジーは進化するのである。

だから、思いようとりようで、いつの時代も便利であり不便なのである。

これは仮に江戸時代から考えても同じことである。

 

セミナーの話に戻る。

私なりの体験談を話すると、参加者のうなずきが増える。

なぜ、今のスマホが不便でありデメリットも多いのか?

 

その答えは幾つでもあるが、例えば。

電池切れを四六時中気にしている。

結構なストレスである。

私は、海外出張などが多く複数のバッテリーと充電用のアダプターを常に持ち歩いている。

 

あと、使い過ぎて目が疲れ疲労がたまる。人によっては肩もこる。

指も大変である。重労働である。しかも折角の指をフルでは使わない。

なにより、歩きスマホは危ない。

 

そういう私も、今もどっぷりスマホを使う。

しかし、私は並行して如何に使わなくてよいかも模索している。

ようするに如何にアナログ生活するかである。

だから、いまだにガラケーは手放さない。

(ただ、世の中から消えそうで、私の心配事の一つである)

 

 

 

 

 

今、世界中で関心が一番多い“便利な”テクノロジーは何か?

それはテレワークである。(リモートワークという人もいる)

何をもってテレワークというか?

ここでは長くなりすぎるので、今回は割愛するがIT業界によくあるバズワードの匂いも漂う。

 

今は人類最大の危機である。

人と人の直接の接点回数を日本全体、世界全体の総和で減らす。

今はこれが最重要事項である。

ここまで、毎日毎日メディアや専門家などに教えてもらったら、

流石に大抵の人は理解する。

あとは、真剣に一人一人が実行するだけである。

 

そこで、一番最適なのが、オフィスワークの仕事にテレワークという流れである。

一見自然に思える。素人でも納得がしやすい。

メディアでもにわかテレワーク推奨者が激増している。

しかし、自分がやったことがない人、関係ない人ほど無責任発言が漂う。

まあ、これは世の常ではありますが・・・

 

テレワークは魔法の杖ではない。この有効活用には、そもそもITを仕事に活用するかどうか。どう活用できるかどうかの基本的な論点が必要なのだ。

人の接点機会を減らすために、

オフィスワークを極力オンラインやネットでしましょう。

いとも簡単に言う。現場の本当の苦労も知らずに。

 

当たり前の話だが、

今回の危機の以前から、ITを使いこなしてきている人は積極的に使えばよい。

例えばIT業界の人、おおむね大手企業、普段からパソコンやネットを使って仕事をしている人など、こういう人は100%テレワークすればよい。

 

しかし、そうできない仕事も世の中には沢山ある、できない立場の人も沢山いる。

できない会社も沢山ある。

IT活用がこの20年遅々として進んでいない中小にいきなりは無茶である。

そもそも官公庁や役所も世界の電子政府先進国に比べたら、相当遅れている。

書き出したらきりがないのである。

 

IT活用の下地が不十分な日本で短期間に一斉にテレワークは無理があるのである。

余計なストレスを増長させるだけである。

ただでさえ、心身ともに健全でいないといけない時に。

 

私は長年ITの世界でビジネスしてきたので実体験として分かる。

たいていの事は自分でやってみている。

30年近く前に、SOHOワーカー(今でいうテレワーク)として創業したので、

様々な専門家や政府、自治体の人などの構想や言いたいこともよく分かる。

しかし、理想と現実は違う。

 

一番肝心な日本の中小企業やシニアの事が分かっていない。

そういう人たちは特にテレワークを使いこなすのには時間が必要なのである。

日本は多様で個人差が大きい。

私は、日本全体がいつかできるだけテレワークに変わってほしいと願っている。

しんどい通勤も減って、オフィス以外でも仕事ができる。

楽しいと思う。時間の余裕も生まれる。

 

しかし社会全体が変わるには、最低10年は必要だと思っている。

様々な多様な立場に立って十分な習熟期間をもって、当然にトライ&ラーンを重ねて創意工夫を生み出す。日本独自のものを創る。

じっくりと世の中に浸透していくことが必要だったと思っている。

 

個人のスキルだけでなく、会社が変わらないといけないし、仕事の仕組みも変えないといけない。

(前回のブログで書きましたが)

今回のように在宅勤務が絶対となるとさらに別の課題も浮き彫りになる。

 

すぐできることはすぐにする。時間がかかることは分けて考えて少しずつ実行することである。

対症療法と根治治療を分けないといけない。

もっと、地に足ついた今の日本の現実に即したテレワークの推進が必要なのである。

 

一部の世間が言うように、そんな簡単にしかも短期間に多くの人間が一斉にテレワークにシフトして、今回の危機対策に大きく寄与できると思わない。

実際にすでにこの短期間にでも、私の周りでも混乱や不満やストレスがあちこちに発生している。

まあ、ここで書き出したらきりがないので、近いうちにまとめて書籍などで表現したいとは思う。総力を挙げて出版も準備もしている最中である。

 

 

 

 

 

これ以上書くと長くなるので。

そろそろ、

近藤の解決策は何か?にお答えしようと思う。

というよりもすでに創業時から言っていることと変わらないのではあるが。

 

それは、アナログを見直すことに尽きる。

昔の便利だった時代に戻ることである。

これなら、すぐにできる。

 

もう一度、整理する。

在宅でもオフィス以外のどこででもネット環境を駆使して仕事ができるのはとても良いことである。(ブレインワークスではオフィス外ワークと定義している)

真の働き方改革、会社の改革につながる。会社主導ではなく働く人が主役の時代である。

メリットは沢山ある。だからそれを目指せばよい。

 

しかし今現実ドタバタで起こっていることはこうだ。

危機回避のために、在宅でオンラインで仕事してください。

できるだけ多くのオフィスワーカーに望みます。

特に中小企業も頑張ってください。必要な資金はサポートしますから。

一見バラ色の政策とサポートに見える。

しかし、拙速すぎて今のやり方では混乱を助長するだけになると思う。

嵐が過ぎ去った後、使わないパソコンや無駄なテレワーク環境の山になるのは見えている。

(どこかのIT会社は儲かるかもしれないが・・・)

 

実際は、さきほど書いたように、当事者に余計な負荷、ストレスを増大させているだけ。

もちろん、いままで慣れている人、この際少し高いハードルにチャレンジしたい人はどんどんやればよい。

 

しかし、そうでない人は慌てる必要は全くない。

ぜひ、いますぐ仕事で具体的に実践していただきたいこと。

積極的に電話を使って仕事をすることである。

そしてITの達人もぜひ、電話を使う。お互いさまでデジタルデバイトを埋める。日本らしい協調である。

電話しかなかった時代、つまり、携帯電話が登場してきた時代を思い出しましょう。

特に今のスマホやインターネットで疲れている世代の皆さん、

中小企業にも多いと思うが、あの頃を思い出しましょう。

と言いたい。シニアの方も特にそうだ。

 

公衆電話とポケベルの時代。家庭には固定電話しかなかった時代。

携帯電話の登場がどれだけ画期的だったか。最先端テクノロジーだったのである。

私も創業したばかりのころ。忘れもしない。

こんな便利な時代に起業ができて幸せだと思ったものだ。

あれからわずか30年しか経っていない。

その時代も日本は先進国で世界で一流の国であった。ビジネスも一流であった。

今は、アナログの象徴になったガラケー。その当時の最先端テクノロジーだったのである。

これで十分なのである。

 

なのになぜ、今、いくら世界の大ピンチだからと言って、

なぜ、みんなでテレワークなんでしょうか?と言いたい。

私は、ベトナムやルワンダなどの新興国はいきなりテレワークで良いと思う。

固定電話がなかったりするし、ガラケーもほとんど知らないのである。

当然、日本の昔のようなアナログ環境での成熟したビジネスを経験していない。

 

日本の現実に話を戻す。

ここ数日、世界的にもそうだが、

ネットのスピードがとても遅くなった。

当社は、ずっと前から普通に国内外でテレワークしてきたから、

こんなにネットが混んでいる日本は初体験である。

世界がヘビーに使っているのがよく分かる。

 

そうすると、具体的な対策としてどうするか?

少しの専門知識があればすぐわかる。

画像をオフするのである。声だけである。

画像を使うからネットの負荷がかかるのである。

音声だけ?これって、テレワーク?そうなんです。

何か勘違いが蔓延していますが、実は、オフィスワークで相手の顔が見えないとできない仕事って、あまりないのです。ネットでエンタメを楽しむのとは違うのです。

 

複数で電話で話するというのは少々操作が厄介ですが、

今は、スマホでも普通に複数の会話もできます。ガラケーでもできます。

繰り返すが、テレワークに昔の電話で話する。というのを加えることで、

今の混乱やストレス解決することが沢山あります。

 

もう一つの私の推奨。私の長年のやり方を紹介する。

紙を使う。ペーパレスをやり過ぎて、人間の本来のスキルが衰えている。

メリットは今更言うまでもないが、五感が働く、疲れない。

電話とメール、そして自宅にプリンター。

例えば、会社からの資料が必要であれば、ネット経由で自宅のプリンターに印刷してもらう。

会社も柔軟に考えることだ。仕事の組み換えも必要だ。

一時期アナログにシフトすると停滞する仕事の先送りすることもできる。こんな時こそ、忙しすぎて普段できなかったことをする絶好の機会である。

ITにたけた人が電話を使ってサポートもできる。

会社も進化するときなのである。

 

今回は言いたいことが沢山あって長くなりましたが、

最後にまとめをします。

 

そもそも、本格的なテレワークを普及させるのは時間がかかる。

それを、この危機に一気にというのは日本では無理がある。

IT活用の土台ができていない。

一人一人が頭を切り替えて、この危機の期間を乗り切るために、

アナログでできる仕事を見直してもよいのではと思う。

昔、携帯電話を便利だと思っていた世代は今の日本には沢山いると思う。

その時代に少しだけ、たった1か月、長くても1年戻って仕事する経験のほうが未来の人類にとってよっぽど意味があると思う。

そういう意味では、人間らしさを見つめなおす良い機会であるし、次の進化のための踊り場である。

 

 

 

 

以上