7月28日に任期満了を迎える参議院選挙が近付き、「7月3日公示、20日投開票」などと報じられています。立憲民主党では、物価高への対策を重視し、食料品消費税0%や「食卓おうえん給付金」2万円の支給、ガソリン税暫定税率(1ℓ25.1円)の廃止などを公約に掲げています。けれども、もちろん物価高対策にとどまらず、物価高に打ち勝つ経済をつくって行くことは、それ以上に重要です。

 

 アメリカ経済は、物価高に打ち勝ち、実質賃金がプラスです。一方、日本経済は、物価高に負け、実質賃金はマイナスです。この差は何でしょうか?

 

 アメリカは大国で、規模の経済が働きやすい、日本と異なり直接金融主体で、資本効率が高い等々、様々な理由が列挙されると思いますが、私は、イノベーションを重視する文化とも相俟って、IT・AIや生命科学を初め、成長性が高く、付加価値の大きい、新しい経済や産業の創出に成功してきたことが、最も大きいと考えます。一方で、日本は、近年M&Aなども活発になってはいるものの、安定性を重じる国民性などとも相俟り、付加価値の生み出しにくい、成熟した従来型の産業や事業に得てして止まり勝ちです。

 

 日米株式市場の比較で、米国市場の時価総額上位には、エヌビティアやテスラ、マイクロソフト等、「マグニフィセント・セブン」などと呼ばれる新興企業が並び、新陳代謝が進んでいると評されるのに対し、日本市場では、トヨタやNTT、メガバンクなど、上位の顔触れの変化が少ないと評され、それらは概ね全体を象徴していると考えます。

 

 日本でも、物価高に打ち勝つ経済を創り出すには、成長性や付加価値の高い、新たな産業や事業を大規模に創出し、経済の若返りを図って行く必要があると考えます。例えば、製造業とIT・AIが融合する領域、培養肉・細胞農業やペロブスカイト太陽電池、空飛ぶクルマ等の新たな製造業の領域なども、その対象候補の一つになろうかと思います。

 私も埼玉県に対して、上記の産業創出への取り組みを働き掛けていますが、まだ腰が重いのが実情ではあるものの、今後も粘り強く取り組んで参ります。