0.ことの始まり

 

 年末年始の休暇中にBLE Micro Proを購入しました。

仕事で東京に出たついでに立ち寄ったキーボード専門店の

遊舎工房さんで現物を確認してからの購入でした。

 

早速、家で手持ちのkeyball61の無線化にとりかかかりました。

 

 

しかし、結果として無線化には断念しました。

ハードウェア的にきつそうと感じたのが理由です。

 

色々と試したことを以下に備忘録として残そうと思います。

 

1.ファームの作成

 

こちらのファームを参考にさせていただきました。

 

Keyball61の無線化に関するもの

https://github.com/Code-Hex/ble-micro-pro-keyball61

 

Keyball44の無線化に関するもの

 

電池はCR1632を2個並列、電源電圧は3Vの供給です。

ボールは右手側にあるため、トラックボール側をマスターとして、

まずは右手側だけUSBからの5V供給でトラックボールを動かしました。

 

当初はクリックができなかったので、Keyball44を無線化されている例を参考に

マウスボタンを実装し、マウスボタンを5個まで実装しました。一応全部動きました。

(左右クリック、真ん中ボタン、戻る、進む)

 

 

2.ハードの改造

 

 トラックボールを何とか3Vで動かそうと思い、色々と試しました。

こちらを参考にしました。

 

 

 まず、USBからの給電がない場合、トラックボールへの給電power_VCCに電圧が出ません。これはLEDへの給電にもなっており、LEDへも給電されません。

(これは別にいいですが。)

 

 そこで、power_VCCとバッテリーの3Vを直結してトラックボールへの給電を試みました。しかし、どこかへ貫通電流が流れるのか、20m A程度の電流が流れ、バッテリー電圧も急低下します。

 

 この原因を追求するためにpower_VCCに関する様々な回路を切っていきました。

・マイコンのpower_VCCを切断

 少し良くなった気もするが、変わりませんでした。

・LEDへの給電を切断

 回路図によるとJP_19を切ることで実現可能に見えますが、

JP_19がどこにあるか分からず。

 

 

 またLEDのスペックシートを見ると電源電圧が3.7V以上とあり、そもそも3Vで駆動してはいけなさそう。

 LEDのデータシート:https://akizukidenshi.com/download/ds/opscoled/sk6812mini-e.pdf

 

・power_VCCをトラックボールだけに供給

 トラックボール基板のコンスルーの5V端子だけを切断して、

 トラックボール基板の5V端子とバッテリーの+端子を別配線で直結。これによりpower_VCCをトラックボールだけに供給。

 

 トラックボール基板の実装部品を確認すると、主に以下の部品から構成されているので動くだろうと判断。

  ①入力電圧→1.9V(PMW3360の電源電圧)の電圧生成IC。

   PMW3360:https://d3s5r33r268y59.cloudfront.net/datasheets/9604/2017-05-07-18-19-11/PMS0058-PMW3360DM-T2QU-DS-R1.50-26092016._20161202173741.pdf

   電源IC:https://www.ti.com/lit/ds/symlink/tps732.pdf?ts=1704604503304&ref_url=https%253A%252F%252Fwww.ti.com%252Flit%252Fgpn%252FTPS732

   試しに3Vを入力すると1.9Vが出力されていることを確認。

  ②マイコンVCC⇄PMW3360信号電圧(1.9V)を変換するレベル変換IC。

   入力電圧は3Vでも問題なさそう。

 

  レベル変換IC:https://www.ti.com/lit/ds/symlink/txs0102.pdf?ts=1704627383462&ref_url=https%253A%252F%252Fwww.google.com%252F

 

 全部試した結果、どれも貫通電流の20mA位は改善しませんでした。

レベル変換ICを取っ払ってもトラックボール自体は動作しそうな雰囲気でしたが

流石に直せなくなるかも知れず、これ以上は諦めました。

 

 ここまででハードは元に戻し、諦めてトラックボールはUSB電源による給電かバッテリーを5Vに昇圧することにしました。

 

左側(トラックボールなし)はボタン電池駆動

右側(トラックボールあり)はトラックボールを使う時はUSB等による5V駆動し、

トラックボール不要の時はボタン電池駆動

で落ち着いたかに見えました。。。

 

3.使い始めてからの違和感

 

 少し使うとバッテリーが弱ってくると特定の列のキーが反応しなくなることがわかりました。これは右側も左側も同じでした。回路図を見るとダイオード2段で駆動する列がダメです。

 

こちらは1段で駆動

 

そしてこちらは2段で駆動

試しにダイオードを付け替えてみるとVthばらつきで駆動できたりできなかったりする模様。そもそも5Vで駆動することを考えているから3Vではギリギリで動作しており、少しでもバッテリーが弱ってきて電圧が下がると駆動できなくなる。。。

 

4.そして断念へ

 

 結局、右側も左側も両方5Vへの昇圧が必要と分かり、効率を考えるとボタン電池では無理がありそう。単四電池とか大容量バッテリーを取り付ける場合には見た目が個人的に好きじゃなくなることから、Keyball 61の無線化は諦めました。

有線が安定していていいよね、、、。

 

 

5.ではBLE Micro Proはどうするか?

 

 手持ちのLet's Splitの無線化に使いました。結果、無事に無線化に成功して使えています。ボタン電池もうまく隠すことができて、満足です。。。。

負け惜しみです。

無線化レツプリ

 

6.今後の展望

 

 回路図を見るとkeyball 44は回路がkeyball 61とは異なり全てのキーがダイオード1段であり、トラックボールを諦めればボタン電池の3Vで駆動できそうな気がします。でもKeyball44を別途購入する金銭的余裕がないです。

 

 あと、勇気があれがトラックボール基板のレベルシフタを取り除き、電源ICとPMW3360だけにして3V駆動ができないか試してみたいです。

誰かやらないかな、、、。