法制審議会(会長・井田良中央大大学院教授)は、昨日14日、
子どもの父親を決める「嫡出推定」を見直し、子への体罰を禁止
するなどの民法改正要綱案を古川法相に答申しました。離婚後
300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する規定は維持した
一方、女性が出産時点で再婚していれば現父の子とする例外を
設けます。出生時の夫婦が両親だとみなされるようになることに
伴って、離婚後100日間の再婚を女性に禁じた規定もなくします。
現在の規定は、明治時代にできたもので、見直しが提起されて
いましたが、保守派の反対などで議員立法は提出できないで
きました。これで、無戸籍者が救済される可能性があり一歩前進
ですが、DVなどで離婚が成立せず再婚できていない場合は対象
にならず、課題を残しています。また、子どもの権利を守る体罰
の禁止も、虐待防止などの観点から、ずっと提起されていました。
これまで虐待と指摘しても、民法の懲戒権を盾に、しつけだと
いうケースが多くありました。日本も批准している「子どもの権利
条約」(世界で最も多くの国が批准している国連の条約)にも、
第19条に体罰の禁止と子どもを保護するための立法上、行政
上、社会上、教育上の措置をとることが規定されています。
嫡出推定の見直しや子への体罰禁止が盛り込まれた民法改正案
ですが、政治状況の中で、今の国会への提出は難しいとみられる
と報じられています。是非、一日も早い改正を望みます。
この内容の私が書いた原稿が、毎日新聞ウェブ上の「政治
プレミア」に掲載されています。会員でないと冒頭部分しか読め
ませんが、よろしかったら、ご覧ください。
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20220214/pol/00m/010/004000c