昨日2日、中東海域へ派遣される海上自衛隊の護衛艦
「たかなみ」(約200人)が、海自横須賀基地(神奈川県)から
現地へ出航しました。安倍首相は、派遣隊員などを前に「日本
関係船舶の安全を確保することは政府の重要な責務であり、その
ために必要な情報収集を担う任務は、国民の生活に直結する
極めて大きな意義を有する」と激励しました。国会承認が不要な
防衛省設置法の「調査・研究」に基づき、1年単位の長期で部隊
を海外に派遣する初めてのケースになります。護衛艦は、今月
下旬、現場海域に到着する予定で、1月から任務に就いたP3C
哨戒機と本格的な活動を始めます。今回の活動範囲は、
オマーン湾、アラビア海北部、バブルマンデブ海峡東側のアデン
湾の3海域の公海で、ホルムズ海峡やペルシャ湾は含みません。
そうはいっても、今年になって、米軍によるイラン革命防衛隊
司令官の殺害やイランによる米軍施設への報復が行われるなど
情勢は緊迫しています。政府は、情勢が悪化すれば海上警備
行動(自衛隊法82条)の発令を決めていますが、発令後、武器
使用が許されるのは日本船舶の船を守る時だけで、外国船舶に
できるのは大音量の装置を使った警告程度になります。海自幹部
は「手探り感は否定できない」としています。米国から求められた
有志連合参加と、関係のよいイランへの配慮から、国会承認が
ないまま、中途半端な形で現場の送られる自衛隊員は、どの
ように感じているのでしょうか。今回は、脅威の対象が海賊の
ように明確に定まっていず、国の軍隊や国に準ずる組織から攻撃
を受ける可能性もある、といわれています。「法律と人員の限界
ぎりぎりのところで、少し無理して設計した印象がある」と防衛省
内の検討に関わった幹部自衛官は語っている、と報じられて
います。自衛隊員に犠牲が出ないことを祈りつつ、国会承認を
経た、無理のない形での国際貢献にすべきだと思っています。