社会保障改革について、政府で検討が行われていますが、年末
に向けて、介護保険制度も焦点になっています。介護保険制度が
始まったのは20年前で、ドイツなどでは長い年月を費やして制度
を作ったとされているのに対して、日本では短時間で作り、需要や
提供するサービス、かかる経費などが、制度を作った当初と違っ
てきているのだと思います。社会保障は、保険料6:公費4で
運用されていますが、介護については5:5で、公費を増やさない
とやっていけないのではないかという話が、社会保障と税一体
改革の中でも出ていました。今回の見直しでは、超高齢社会に
なって介護費用が膨らみ、利用者の負担増やサービスの見直し
などが検討されています。主な検討項目は、〇在宅サービス利用
計画(ケアプラン)作成などケアマネジメント費への自己負担の
導入 〇要介護1、2の人への生活援助サービス(掃除・洗濯・
調理など)を市区町村事業に移行 〇介護サービス利用時の自己
負担割合(原則1割)が2、3割となる対象者を拡大、などです。
ケアプラン費を自己負担とすると、最低月1回は本人と面会し必要
に応じてプランを更新するため、要介護者1人当たり月1万~1万
数千円かかる、ということです。そうなると利用を控える恐れが
ありますが、今でも特別養護老人ホームなどでは、一部を利用者
が負担しています。負担の公平性を考えながら、どのようにする
のか検討することが必要だと思います。また、市区町村に要介護
1、2を移行すると、自治体の判断で介護報酬やサービスのカット
が進むことも考えられ、地域格差が生まれ、介護難民が増える
可能性もあると指摘されています。現在の人口構造を見ても、
65歳以上の高齢者が人口に占める割合は、15歳未満の子ども
の割合の2倍を超えています。ますます進む超高齢社会で、
公平にどのように負担し、どのようなサービスを受けるのか、
霞が関の机上での議論だけでなく、現場の、当事者の声を
しっかり聞いて、議論を進めてもらいたいと思います。