厚生労働省は、再編・統合の議論が必要とした424の公立・公的病院の名前を
公表したことに、自治体などから批判が相次いだことを受けて、全国7ブロックで
自治体や病院関係者などと意見交換会を行い、それを終えました。診療実績
データの公表について、「唐突で問題があった」と厚生労働省はおわびをして
歩きましたが、地方の反発は強く、理解は得られず平行線のまま、意見交換会を
終了しました。7ブロックの最初に行われた10月17日の福岡市での意見交換会
では、「医療実態を無視している」「暴挙だ」などと会場から厳しい批判が相次ぎ、
橋本厚労副大臣は、低姿勢で「各地で議論をしてもらうための材料で、医療機関
に何かを強制するものではない」と釈明した、と報じられています。29日に
開かれた関東信越ブロックの自治体や病院関係者などとの意見交換会には、
私が住んでいる長野県内の関係者なども多数出席し、15の病院(統合済みの
2病院を含む)が再編・統合が必要とされたことに対して、「地方には人が住まなく
て良いといわれているようだ」などと厚労省を批判する声が相次いだ、とのこと。
厚労省は、再編・統合は必ずしも廃止や統合を決めるものではなく、機能転換や
病床数の削減といった対応が含まれるとしていますが、全国一律の基準で
「実績が特に少ない」などと突如、名指しされた424病院にとっては、議論の材料
と言われても、それでは済まないことだと思います。名指しされた病院はなくなる
と受け止めた地域の住民は不安になるのが当然です。地方が国への不信感を
抱くことが、考えられなかったのでしょうか。これでは、議論を進めるためといって
も、かえって議論を妨げることになっていると思います。診療実績が少ないと
された病院の中には、山間地などで地域の医療を支えている所もあります。
そして、病院の7割は民間病院ですから、議論をするには、民間病院も含めて、
ということでないとと思います。ところが、厚労省が民間病院の診療実績も公表
予定なのに対して、日本医師会の副会長が「民間病院は自立的に経営している。
公表による風評被害は計り知れない。」と反対を表明しています。総務省では、
「民間病院のデータを出さなければ、今度は知事会など地方団体の理解が得られ
なくなる」としていて、新たな課題とされています。私自身、地方に住んでみて、
地方での医師不足など地域格差を実感しています。超少子高齢社会の日本で、
どこに住んでも安心して医療が受けられるようにということを基本に、厚労省には、
議論に必要な情報を提供し、丁寧に説明してもらいたいものです。